悪魔の発明と大衆操作 ―メディア全体主義の誕生 (集英社新書)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087201987

作品紹介・あらすじ

現代の大衆である我々と大衆文化は、二〇世紀前半、メディアの揺籃期に誕生した。ラジオ、テレビが出現した時期である。今日、それらは当たり前のように存在し、我々は一方的な情報の受け手として、なんの疑問もなくそれに接している。しかし初めてそれらが登場したとき、人々はとまどいながらも果敢に接していた。いったい我々は、メディア大衆としてどのように飼い慣らされていったのか。何が獲得され、何が失われたのか。今や第二の自然となった「ラジオ」と「テレビ」、個人情報問題の先駆けともいえる「パンチカード」、個人性を排した大衆管理の象徴である「火葬」の発明をめぐって考察していく。

感想・レビュー・書評

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  • 【要約】


    【ノート】
    ・「人はなぜ逃げおくれるのか」のカバーの「関連本」で

  • 第2章に、ナチスがユダヤ人識別・登録に使った「パンチカード」について解説があります。

  • [ 内容 ]
    大衆操作を目的としたラジオとテレビの普及、ナチスがユダヤ人選別に利用したパンチカード、個人性を排除して広まった火葬の発明など、大衆文化の裏側にある衝撃的な歴史的事実を明らかにする。

    [ 目次 ]
    第1章 「テレビ」料理番組と遠隔誘導ミサイル―テレビ大衆文化の落とし穴(探偵はテレビ電話がお好き 軍国少年はモニターに見入る ほか)
    第2章 「パンチカード」個人情報は悪魔の囁き―高速情報処理と人間中心主義の崩壊(『地球最後の日』 科学時代にも迷信はある ほか)
    第3章 「火葬炉」機械仕掛けの埋葬―個人が個人として死ねなくなる日(ゲーテの傑作小説『親和力』 技術官僚の生真面目 ほか)
    第4章 「ラジオ」バベルの電波塔あるいはガレージキット―ラジオ愛好家と現代的リスナーの誕生(ラジオ教則本、大ヒット 積極派と消極派 ほか)
    第5章 「ラジオ定時放送」フォルクス受信機VE301型―電波の一方通行は情報ゲリラを制圧する(『断腸亭日乗』の憂鬱 昭和一〇年のワースト番組 ほか)

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 2007年9月26日

  • 著者はドイツ文学、メディア論が専門の学者。テレビ、パンチカード、ラジオなどをナチスの戦略に関連させながら、ソフトとハードは分けられない一つのもの、と定義する。戦中の日本へも話が飛ぶため、いまひとつ焦点が分散。いっそドイツに限ったら、もっとつっこんだ読み物になったのでは。
    最終章にわずか著者のスタンスが滲むが、全体的には事実をメディア論の立場から軽く語るのみ。あっさりと読む。
    アウシュヴィッツでパンチカードがユダヤ人の管理に使われたとは、初めて知った。ところが最後の註で小さく「刺青に代替。死者の数が多く、パンチカード用の数がパンクした」と語られる。もし本書がナチスの弾劾ならば(さほど強い語調では語られないが)、この点により着目したら、意図が強調されたと思う。

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著者プロフィール

1954年生まれ。早稲田大学教育学部教授。専門は表象文化論、ドイツ文化論。著書に『暮らしのテクノロジー』『ポピュラーサイエンスの時代』『サラリーマン誕生物語』『OL誕生物語』など、訳書に『DJカルチャー』(ポーシャルト)などがある。

「2017年 『流線形の考古学 速度・身体・会社・国家』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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