- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087204483
作品紹介・あらすじ
熊が徘徊する里山の森の一角に個人で立ち上げたワイナリーとレストラン。その道のプロの誰もが無謀だと断言した素人ビジネスが、何故客を呼び寄せ成功に導かれていったのか?ビジネス上の計算はなくとも、やりたいことのコンセプトは明快にあった。里山の自然の恵みとともにある仕事をやりながら暮らしを成り立たせる、それが里山ビジネス。拡大しないで持続する、愚直で偽りのない生活と共にあるビジネスとは?グローバリズムの嵐の中での日本人の生き方を問う一冊である。
感想・レビュー・書評
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玉村さんらしい、ご自身の経験を細かく教えてくれる本で、長野県の山の土地を開いて、ワイナリーを作った体験談。ワイナリーを始めるのにお金がかかること(免許を取ろうとするとたくさん製造しなくてはいけなくなる、など制約がある)、実際にいくらくらいかかるのか、野菜もつくっていて、レストランで食事ができるようにしていることなど。
事業内容自体は、(自分が飲食店やワイナリーをするつもりはないという意味で、)そんなに興味はないのだけど、玉村さんが始めたワイナリーという、個人としてはかなり壮大な事業は、人生の秋に差し掛かった身には、とてもぐっとくるものがあった。
・ブドウの木は4~5年で成木になる。早いものは2年位ですこし実をつける。15歳から20歳のとき、最もエネルギーに満ちている。ワインをつくるブドウの木は、古いほうがよい。40歳、50歳。50歳をめどに木を植えかえるが、もっと長生きする木もある。人とブドウが、それぞれ世代交代をしながら一緒に生きていく。
・ワイナリーを土台に、いろんな人が集まってきて、例えば農業をする人の奥さんがワイナリーでバイトをして、農業がうまく行ったら、独立。その人たちが作った野菜をワイナリー併設のショップで売ったり、料理で使ったり・・・。ブドウ畑だけやっている人が、玉村さんのところでワインを醸造したり。ワイナリーを作ったことで、地域にインパクトを与えている。そして、それが、自分の死後も続くことを願っている・・・。
そして最後まで読んでやっと、本のタイトルがワイナリーとかではなく、里山ビジネスだということにピンと来た気がする。
自分だったら何をするか、何ができるか、したいか、考えたくなった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
"里山でワイナリーを始めた著者の体験談。ワイン販売の許可を得るための規制や、県単位に保健所の規制が異なることや、失敗談の数々を惜しげもなく語ってくれているありがたい本。
日本の地形を生かしたビジネスを考えている人への応援本だ。" -
・成功した事例は、一人か何人かのエネルギーある個人が先導して、
それに刺激されて周囲が動き始めるというパターンがほとんど。
・そこでしかできないもの。そこへ行かなければ食べられないもの。
・生きたミュージアムとして示す。
・里山ビジネスの要諦は、持続すること。
できるだけ、拡大しないで持続することが大切。
持続しながら、生活の質をあげる。 -
地元ではちょっと有名な「都会から農業しに来てレストランやってるおじさん」のイメージしかなかったけど、読みやすくて面白い本だった。
ワイナリーとレストラン経営のこと、里山のこと、食べること、作ること、生きること。利益とやりたいことのバランスの取り方が上手というか、好感が持てた。
自分で作った野菜とワインを楽しめるなんてすごく憧れるけど、実際は大変なことが多そうで手が出せないけど、春が来たらヴィエアデストに行ってみたいな〜と思った。 -
読み易い内容。
田舎でワイナリーとレストランを営んでいる著者の経緯、考えが書かれている。
確かに、全てのものを自分の畑や身の回りで賄えたら、原油の価格高騰で、、やアメリカがどうのこうの、、なんて関係ない。
著者さんにあやかりたいと思っても、種は自分の中から生み出さないといけない。
オープン初日は少なかったのに、予想以上にお客さんが来だしたのは何故だったのか、そこの所が分からなかった。
必要以上に地元産にこだわらない、というのは確かに!と思った。 -
自慢話は好きじゃない。
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里山ビジネスの成功事例として自らのワイナリーとカフェレストランを紹介。
著者はエッセイストとして食に関するエッセイをこれまで沢山出版している。最近は田舎に移り、以前程本は出していないように思える。読むのは随分久しぶりだ。
仕事の関係で里山には少し興味はあったのだが、一読してみるとやはり人に尽きるということであった。強い意志と目的を持った人がいないと里山ビジネスは成り立たない。
うーん、それはわかっているんだけれど…