- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087207248
感想・レビュー・書評
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出口治明著『ビジネスに効く最強の「読書」』で紹介
天文学の歴史の中で、神と科学者たちが積み上げてきた宇宙論の移り変わりを描く。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2014/11/01
神話的宇宙像から物理学的宇宙像へと、我々は2000年もの間、宇宙の認識論を展開してきた。本書は物理学者の立場から、その認識論の歴史を辿るエッセイ的内容である。
短い新書の中で、多数の内容を盛り込んでくれている。一つ一つを、とても理解することはできないが、タイトルにあるように、神は何処に居るのか、神は何を為すのかを軸として時空を越えた神探しの旅を追体験できるというのが、本書の魅力だろう。
以下、部分的抜粋を載せる
ニュートンの重力理論では、近代科学の方法は、現象の記述を完成させることを目的としており、現象の原因を明らかにすることではない、という記述が出てきた。
またブルーノの宇宙論では、空間的無限性と時間的無限性が唱えられていた。
1956年、宇宙背景放射が発見され、ガモフのビッグバン宇宙論が裏付けられた。ところが膨張宇宙論ではいくつかのパラドックスが指摘された。宇宙項の導入による理論的解決を経て、2003年、年齢が138億年で、空間の曲率が平坦で、ダークエネルギー72%, ダークマター24%, バリオン4%の宇宙モデルが確立するに至っている。 -
[ 内容 ]
古来、宇宙とは人々が住む村の界隈のことであった。
そこで語られる宇宙創成神話が彼らの宇宙観を形成し、やがて太陽や月、惑星などが織り成す秩序立った美しい世界が明らかになると、人間は天と神の存在を結びつけていく。
そして望遠鏡の発明を機に、人々が認識できる宇宙は太陽系を越え、銀河宇宙へと広がっていった。
天は幾層にも重なった構造を持つことが分かり、そこに鎮座する神は次々と居場所を変え、容易にその姿をつかませない。
本書は、宇宙と神の関わりをひもとき、天文学の歴史の中で科学者たちが積み上げてきた宇宙論の変遷をたどる。
[ 目次 ]
宇宙における神の存在
神ならざる神―神話の世界
神の啓示―中国、日本、インドの宇宙観
神に頼らない―古代ギリシャの宇宙観
神は複雑―アラビアの宇宙観
神の仕掛け―練金術と自然魔術
神の居場所―天と地の交代
神の後退―無限宇宙の系譜
神を追いつめて―島宇宙という考え
神は唯一なのか?多数なのか?―大論争〔ほか〕
[ 問題提起 ]
[ 結論 ]
[ コメント ]
[ 読了した日 ] -
人間がいかに宇宙を認識してきたか、神の居場所に絡めての宇宙認識の歴史。はじめは神話の世界からはじまり古代、中世を経て近代・現代の宇宙論までがコンパクトにまとめられている。望遠鏡が使われるようになってからの記述が多くなるが、科学的発見が多くなり、どんどん宇宙の見方が変わっていくのがおもしろい。もっともビッグバン以降はとても常識を越えているので理解度は相変わらずだが、平易に書かれていてわかりやすい。
池内先生の後書きがまるで遺言のように感じるのは私だけだろうか。中日新聞で夕刊コラムも書かれているが、写真を見るとかなりお年に見えるのでちょっと寂しい気がした。 -
古代の東西の宇宙観から最先端の宇宙論の歴史を振り返りながら、絶対神に肉薄してきたと思われながら、神が地上の神から、無窮の宇宙の神として遠ざかるように見えて大きな存在になっていくことを感じさせる。意外にも神話の宇宙観に今先祖がえりしているかも知れないと著者は主張しているようだ。ベルギーの司祭・物理学者ルメートルが1927年にビッグバンをなぞる宇宙卵説を唱えた!驚きであり、キリスト教会の開放性を感じる喜ばしい話。著者は神を信じていない?と思われるが、謙遜な思いで神の存在を容認している?のだろうか。神を追い詰めているように見えて、神の掌から逃げられないことを科学者は知っており、一番神を意識しているかも(P17)とは自分のことか。インフレーションがビッグバンの後にあったという最新の説などにも詳しい。
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古代から現代までの宇宙論のあゆみ。内容はごくオーソドックスで,「神」にこじつける必要性は乏しかった。一冊通してほぼ毎ページに神が出てくるのはかなり不自然で,記述は淡々としているのだが何かちょっと鬼気迫るものを感じてしまう。
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古代から現代に至るまでの宇宙像の解明の歴史を物語風に著す。未だ解明されない宇宙像に神の存在を重ね合わせるロマンに満ちた書。