「謎」の進学校 麻布の教え (集英社新書)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087207583

作品紹介・あらすじ

東大合格者数ランキングのトップ10に50年以上名を連ねながら、「進学校」のイメージを裏切り続ける麻布の魅力に迫る。現役の生徒から保健室の先生、麻布が輩出した各界のOBまでを徹底取材!

感想・レビュー・書評

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  • 日本屈指の進学校、麻布高校のルポルタージュなんですが、一読して「ここの生徒はすごい」というのと「ここの生徒は大丈夫なのか?」という相反する感想が混在する不思議な感覚になりました。著者は本の帯にもあるように「この学校、何かが「変」だ」と書いていますが、私と同じような感覚なのか、この手の本にありがちな「マイナスなように見えて実はこれはすごいんだ」的なものではなく、批判するところはしっかりと批判しています。ただ、このような毀誉褒貶相半ばする本の出版を認めた麻布の先生方には脱帽します。
    まず何がためかというと、教室を片付けないためごみが散乱しているところ、時間にルーズ、人が前に立っても着席をしてその人を向かないところなど。これを駄目だと思うのは私の頭が古いから、堅いからではないと思います。基本的な社会のルールはきちんと学ばせるべきでしょう。
    一方でやっぱり彼らの力はすごいと素直に感心します。文化祭などの企画・実行力、いったん火がついたときの集中力、知的関心の高さetc・・・
    例えば社会科に限っていえば、中学生は3年生でグループによる卒論、高一での「社会科基礎過程修了論文」通称「修論」はタイトルを聞いただけで、本当に高一で完成させたのかと半信半疑になるくらい重厚なタイトルが並びます。本書で紹介しているのは
    「アメリカの宗教右派とG・W・ブッシュ政権との関係性」
    「現代日本におけるトランスジェンダー」
    「東ドイツ国民から見た東西ドイツ統一と東ドイツ」
    「刑法39条は必要か~精神障害者をどう裁いていくのか~」
    (まあ、ブッシュ政権の時はブッシュとネオコンやキリスト教右派との関係はかなり取り上げられていましたが・・・)こういうことに興味・関心を抱き、また一つの形にまとめることが出来る能力には脱帽せざるを得ません。
    それにしても、おそらく私はこの学校に勤めることはできないでしょう(立場や能力ではなく、教育観の問題で)。今の学校では私はおそらく生徒に認めている自由の幅は他の先生方より広いだろうと思います。それは私の教育観(というほど大げさなものではないのですが)、人として、生徒として基本的なことをきちんと踏まえているのならば、あとはいろいろと自由にさせて失敗を経験させようというものだからです。けどこの「人として、生徒として基本的なこと」にはもちろん“ごみは捨てない”“時間を守る”“人の話をきちんと聞く”などは含まれています。これを(生徒ができるできないではなく教壇に立つ側として)出来ないことを許容する学校は私には耐えられません。多くの進学実績があり、また多くの優秀な人材を輩出している学校で、高い社会的地位ではなく人間的にも素晴らしい人も多く卒業しているであろう麻布高校を私が批判することは出来ませんが、合う合わないくらい言う自由があるのならば、やっぱり私には合いません。ただ、とにもかくにも一度この目でどういう生徒たちが通っているのか、どういう授業が展開されているのかなどは見たい気がしています。そういう機会が訪れれば良いのですが・・・

  • たまたま本屋で手に取った一冊。
    ルールは自分達で作る自由すぎる高校時代を過ごしましたが、上には上がいました。

    脳みそを使って遊ぶ人間が集まると自ずとスリリングな環境が生まれていくと実感します。

  • 社会にでてからの輝きかたが“開成”と“麻布”とでは違うことを感じることが多くなってきたのでその理由をちょっと知ってみたくなった。
     “なるほど”という側面を“麻布”の側からは覗けた気がする。
     が、この日本の中で“麻布”を維持していくのは難しいのも感じた。ましてや未来に向けて発展させていくのは。
     これは“麻布”といったいった具体的な機関に限ったことではないのだろう。
    日本が問われているように思える。
    もしかしたら、“麻布”に代わる異彩を放つ学校が出現していくかもしれない。いや、期待したい。
    ということは、日本の教育にということになるのか?

  • 社会人になってから麻布を知った人の書いた本で、外から麻布がどのように見えるかがわかって面白かった。
    麻布出身者の書いた本で麻布についても書いたものを読んだことがあるが、他の中高一貫校との対比がされているものの、各校の持つカラーの一つとして麻布の独自色が示されているだけで、それぞれの突出の程度がわからなかった。
    公立校で育った筆者から見て数ある首都圏の一貫校の中で突出した特徴を持っていたからこそ俎に乗った、ということがわかった。

    現代の麻布に取材したものだから自分の時代とは違うところもあるだろうが、一番印象的だったのは、麻布の教員が実によく生徒個々人に気をかけているということ。言われてみればそうに違いない。
    対照的に、「似たような私立校」が問題行動をとる生徒を退学にするという話が引用されていて、それには衝撃を受けた。それは粛清ではないか?

    そして、「麻布卒」でやって行けるだけの教養を授けるという方針に納得する。
    その一方、進学成績と人間形成の「二兎を追え」と言われたのは意外であった。進学は「やりたければやれば」と放任されていたように感じていたから。

  • 面白い学校との噂は何度か聞いていたけど、ここまでとは。教える側はとても大変だけど、全ての生徒に居場所を与えられると言う考えはとても魅力的。誰でも入れるらしいから、学校説明会に行ってみようかな。

  •  めちゃくちゃおもしろかった!ためになった。
     読了したけど新品を買ってトイレに置いておきたい。

     全然勉強しなかった生徒が、部活を引退したらスイッチが入って勉強して、浪人する率は高いけどしっかり進路を決めるという話があった(メモ参照)。そしてその原動力は小学校3年生からの塾通いにあるという。小学校生活を塾通いまみれにしてしまうのは可哀想と思っていたけど、一生モノの集中力がそこでつくのなら呑気なことも言ってられないなぁ。大変でもやらせる価値があるのかないのかは、その時々の息子をしっかり見て決めないとね。

  • 近くにいる麻布出身者の自由さ、起源が上がった気がする。

  • 購入しました。

  • 麻布の内情について赤裸々な内容も含む。
    子を持つ身としては、浪人の多さは気になる。
    子供の自由を許容するのも、お金がかかる。

    男子校進学校特有の感覚は麻布に限った話ではないであろうかと

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