「考える力」を伸ばす AI時代に活きる幼児教育 (集英社新書)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087210620

作品紹介・あらすじ

AI時代に必要な能力は、これまでの暗記・教え込み教育では育たない。
「思考力を育てる幼児教育」を長年、研究・実践してきた著者が、
その理念と方法論を紹介し、これからの時代に必要な教育を提案!

感想・レビュー・書評

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  • 認知能力と非認知能力を二極化して考えていた自分に気付かされた。非認知能力は認知能力を通して育てるという視点を持っておきたい。知育=教え込み教育という印象があり毛嫌いしていたが、事物教育・対話教育を重視した教えない・自分で考える教育を知育と呼ぶのであれば共感できる。

  • ・こぐま会KUNOメソッド ①モンテッソーリの集中②ピアジェの可逆的思考③ブルーナーのらせん型教育カリキュラム④ヴィゴツキーの背伸び教育⑤遠山啓の原数学
    ・考えるための10の力 ①特徴や共通点や相違点を掴む②比較③順序付け④全体と部分の関係⑤元に戻したり観点を変えたりしてとらえる⑥相対化⑦逆に考えたり、時間経過を入れ替えて考える⑧ひとまとまりに考える⑨法則性⑩AとB、BとCの関係からAとCの関係を推理する
    ・幼児期の考える力は大人と子どもが一緒のアクティブ・ラーニングでしか育たない
    ・幼児期は数字を使わない原数学が大事、事物教育(身体→手→紙)と対話教育(納得した事を自分の言葉で説明する)、高校時期でも自らが考える授業(教えない授業)が学力を伸ばす
    ・小学校入試の行動観察は、集団行動課題での立ち居振る舞いと「遊べない子は伸びない」
    ・「Education」の元(ラテン語)の意味は「諸能力を引き出す」

  • AI時代に生き延びる人間になるためにも幼児教育が大切。幼児教育は詰め込みではなく、考える力を養うものだから。
    日本の幼児教室はかなり世界的にみるとかなり遅れている。お受験の教室では名門私立に受かるための対策をしてくれるが、本当に大切なのは幼児期に考える力を育むこと。
    早いうちから読み書きや計算を覚えさせるより、言葉に興味を持ったり数の概念を理解させる方が今後の学習をしていく上でも大切。ひらがなを覚えた後も読み聞かせを続けたり、生活の中で足し算引き算を伝えていく。
    非認知能力の重要性。

    著者が代表を務めるこぐま会の宣伝も少し含まれるが、お受験をしない家庭でも読んで参考になると思います。
    幼児教育はお金をかけずとも親の努力で子どもの考える力を育むことが出来るのだと思いました。

  • 幼児を育てる親としてかなり参考になった。
    細かい話は置いておくが、普段の生活の中に能力を伸ばす鍵はたくさんあるので、親が意識して問いかけをしていくことが重要そう。参考にする。

  •  幼児教育の重要性の話。10人に10の教育論があって、自己中心的な思い込みによって大学教育、入試改革などが散々振り回されてきたことは論を俟たない。これを読むと就学前教育はなおのことお寒い状況であることがわかる。しごくまっとうな内容ではあるが、それを保育園・幼稚園での集団保育でどれだけできるかというと、システム的にも指導能力的にも懐疑的にならざるをえない。となると家庭教育で補うしかないことになる、つまり親の責任だ。本書が「子ぐま会」へ放り込んでおまかせ、という短絡者を増やすだけに終わらないことを祈りたい。

  • 久々に、納得感のある育児書…というか、幼児教育の本。
    詰め込み教育から、自ら考えられるように変わらなければと言いつつ、つまりそれはどういうこと?と思っていたのが少しクリアになった。

    情報は調べる時代。
    調べ方、使い方、考え方を身につけるために。

    ただ問題を解くのでなく、目の前の子がどう考えているかを推測しながら導くのか…先生のあり方も変わりそう。

  • 必要だと分かっているけれど、なかなか子供に備えてあげられない、「考える力」を身に着ける為の本。


    うーん、本を読んであげることは継続しよう、しか思いつかなかった。あと、簡単な計算をしてあげるしか。難しい。

    P8 「思考力に富んだ人とはどんな人」か?
    →ジョブス氏には、「セルフマネジメントができる」
     つまり、自己を管理して問題を解決できる能力の有無。

    P32 非認知能力には「やる気」「根気」「意志力」「対応能力」「創造性」「協調性」といった幅広い内容が含まれており、もっと評価すべき。

    P33 KUNOメソッドとは、思考力を育てる基礎をつくる体系的な教育法

    →魅力的ですね、確かに、それが身につけば。

    P55 問題解決の実践的な手法

     汚れたトイレを綺麗に掃除する手法を考えるのではなく、そもそもトイレを汚さない方法を考える、という思考

    P67 生活の中から問題を作り、考える力を育成する

    「電車に6人乗っていました。次の駅で2人降りました。
      何人残っていますか?」
     →求残

    「リンゴが6個とバナナが2本あります。どちらがいくつ多いですか?」
     →求差
     
    「6人いる子供の中で男の子が2人です。では、女の子は何人ですか?」
     →求補

    P75 知識偏重の日本の教育の弊害は、その知識を使い、
     応用して問題を解決していく力が弱く、
     その力を育てる「アクティブ・ラーニング」が重要

    P87 らせん型教育カリキュラム

    P94 「歩きはじめの算数」
     数学と言う学問を構成する原初的な姿から学ぶ
     という、「原数学」という考え方を根本に置く。

    P135★対話教育

     こどもが自分の思考のプロセスを言語化できるかどうか、あるテーマをめぐって子供同士で話し合いができるかどうか。

     単なるコミュニケーション能力の強化ではなく、
     答えにたどり着くプロセスを言語化させる目標。

    p145 国語の4本柱
     「聞く力」「話す力」「読む力」「書く力」

    P170★非認知能力を育てる6つのコツ

     ・一方的な知識の教え込みは行わない。
     ・成長段階に合わせて、学習内容を適切に定める。
     ・学ぶことの楽しさを伝えるために、
      事物教育を徹底する。
     ・集団活動を取り入れながら、良い意味での競争心を育てる。
     ・考えたことが感じたことを言葉で表現する機会をたくさん与える。
     ・何よりも学ぶ意欲を、どう育てるか。最後までやり抜く姿勢を、どう育てるか。

    p184 Educationの語源は、ラテン語の”引き出す”
     こどもの持っている諸能力を引き出すことが
     Educationである。

    P188 家庭教育の在り方
     ・ものごとに働きかける実体験を積むことで、
      「考える力」の基礎をしっかり作る。
     ・教え込みはしないで、自らの力で解決できるよう、
      「待つ」姿勢が大事。
     ・常に前を向き、常に子供に寄り添って成長を見守る

  • 読みやすい。著者の根底にある推しメン:モンテッソーリ、ピアジェ、ヴィゴツキー、ブルーナー、遠山啓の概要が1ページ以内に凝縮されていて、教育に疎い方でもよくわかる内容になっている。
    しかしながら賛否両論あるネタなので、旧来の教育思想のネガキャンじゃないかと捉えられてもしょうがないかなと。でも一理あるなという面もある。

  • 幼児教室「こぐま会」の代表をつとめる著者が、「思考力を育てる基礎をつくる体系的な教育法」として世界から注目される「KUNOメソッド」を解説し、「思考力に富んだ子ども」を育てるヒントを紹介する

    思考力をつけるために必要な「10の力」、幼児期に必要な6つの学習領域などの具体的な方法論は、子育てにかかわる親にとってもおおいに参考になる

    幼児期にこそやるべきことは「聴く力」を育てること、「読み・書き・計算」は小学校に入ってからの課題で良い、などの提言は、“お受験”とは一線を画した幼児教育論として著者の矜持を示していて興味深い

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