限界のタワーマンション (集英社新書)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087210798

作品紹介・あらすじ

災害時の対応や子育て、健康への影響、そして大規模修繕への備えなど、
多角的な視点から、住まいとしてのタワーマンションを検証。
果たして人間の住み家としてふさわしいのか? 不都合な真実を暴く。

感想・レビュー・書評

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  •  ぶっちゃけタワーマンションには住んでみたい。
     高いところが好きだ。
     見晴らしいいところが好きだ。
     展望台とか山に行っても、毎回天気がいいとは限らないから雲で何も見えないという日もある。
     だったら、高くて見晴らしのいいところに住んでいれば、見晴らしいいこと多いでしょ。
     特に、見栄のためではなく、あくまでも高いところが好きだから住んでみたい。

     但し、賃貸で。

     一応、大家業の跡継ぎワタクシ、月一回の業界紙読んでると分譲マンションの矛盾はひどいと思う。
     管理組合とはいっても、住民に管理する意思がなければ荒れるばかり。
     修繕費の積み立てすらしていない分譲マンションは、今後どうなるのか!?
     
     さて、タワーマンションってどうなのよ、という話。
     著者はタワマン大嫌いなんだろうなぁ、なんか恨みでもあるのかなぁという心意気が漏れ出ているが、概ね意見には同意する。
     見栄のためにタワマンに住むべきではない。
     タワマンに住む明確なメリットを感じないまま住むべきではない。
     確かにそう思います。

     1ヶ月くらいタワマン借りるといくらくらいなんだろうなぁ。
     と思って調べてみた、たっか!
     タワマンのシェアルームってないのかな。
     って思ってしまう貧乏人が住むところではないのは確か。

  • タワマンの問題点まとめ
    ・災害に弱い(大きな揺れ、電気ガス水道インフラ停止の危険性、エレベーター停止、避難所不足、湾岸エリアでは液状化の危険性)
    ・健康に悪い(外出不足、後援不足により、子供の近視が進む、引きこもりがちになる、学習能力も低下)
    ・修繕に多大な時間と費用がかかる(2000年代にタワマンラッシュ、15年ごとに大規模修禅が必要。積立金が足りてない)
    ・資産価値の低下を懸念し、不正や問題点が公表されない

  • 本書は予言の書です。

    この本は2019年6月に出版されています。
    つまり、あの武蔵小杉の洪水によるタワマン
    騒動の前です。

    タワマンの修善積立てや、子育てへの問題な
    どを列挙している中の一つに、災害時の問題
    も入っているのです。

    確かに30年〜40年後には大規模な修善が必
    要になることは間違いないですが、果たして
    その時に住民同士の合意は得られるのか、誰
    にも分かりません。

    タワマンには興味が無くても、マンションに
    住んでいる人には他人事とは思えない事例が
    多く書かれていて、必読の予言の一冊です。

  • 住まいの形態を選ぶ上で、参考として読了。

    比較的低層のマンションと比べた時のタワマンの課題は、以下と読み取れた。

    ・世帯数が著しく多いため、意思統一が困難。(これはタワマンでなくとも世帯数の多いマンションには同様のことが言える)

    ・発展途上の建築技術を使っているために、修繕時にも業者間の競争性が働きにくい(高くつく)し、確度の高い費用予測が困難(枯れた技術であれば他マンションの実績から予想できる)

    住まいの広告には、初期費用と現時点での保守費用しか一般に開示されていないことが多い。
    購入希望者でも、管理組合の議事録や、修繕積立金の積み上がり状況、修繕履歴などを閲覧できると分かったことは収穫だった。

    マンションの管理手法は、パッケージングされていないんだなぁ。
    ちょっとエビデンスが弱い記述が多いので、話半分で。

  • タワマンがいかに内外の私利私欲で稼働しているかがわかる本だった。広大な敷地と圧倒的な高さ、キラキラした設備の裏には、先を無視したデベロッパーの欲と全ての悪事を外に出さない住人の強いプライドが存在している。管理組合の話は特に興味深い。たしかに1戸あたり月3ー5万を徴収すれば億単位資金が手に入る訳で、横領なんてすぐできる。やっぱりタワマンはま「社会の縮図」の異名にふさわしいほど、様々な人間の欲で回るひとつの社会だと思う。

  • [図書館]
    読了:2020/8/2

    これまでの本の焼き直し感が強いな〜。タワマン育ちの子どもの学力低下や健康悪影響などのエビデンスの弱さもそのまま。

    交通の便がよく、駅から近く、通勤に便利だから武蔵小杉に住んだはずなのに、「駅が混んでるから30分早く家を出る」という皮肉に苦笑いしてしまった。

  • タワーマンションに親でも殺されたのかというくらいタワーマンションへの怒りを書き連ねた本。

    なんかこれまでの数冊が割と中立的なまともな本だったことから、本書の異常さがうかがえる。

    以下、中立性に欠けるなと思った点

    基本的に批判が「湾岸沿いのタワマン」、「武蔵小杉のタワマン」に集中。
    >>個別銘柄の事象を市場全体に持ち込むまさに木を見て森を見ず理論に終始している。

    修繕積立金と管理費が高い!
    >>そんなのカバーできる人が買うんだから良くね?お前が心配することではない。というか修繕積立金と管理費は低層マンションで戸数が少ないほうが割高やぞ

    高層マンションに人が住み始めたのなんかここ50年くらいの話!それまでは低層戸建てだった!戸建てこそ人間本来の生活空間!
    >>そりゃ、昔は建設技術なかったから当たり前やん

    タワマンは階層ヒエラルキーがすごい!住人はヒエラルキーのせいで病む!精神衛生上良くない!
    >>住む場所によるヒエラルキーなんて戸建てだってあるだろ。住所が〇〇丁目は格下。なんて話し腐るほどあるぞ。タワマンに限った話じゃない

    タワマンは地震にもろい!
    >>タワマンが崩れるレベルの地震なら戸建ても低層階もやばいと思うぞ

    ヨーロッパでは高層階に住む人なんていない!友達も言ってた!
    >>お前の友達誰やねん。欧州の住宅事情と日本の住宅事情一緒に語るな。てかイギリスも高層アパート多いぞ

    本来、良し悪し両方のデータ、情報をもとに論理を展開し、両者を天秤にかけて、自分はタワマンが良い、悪いっていう議論をするべきなのに、最初から「タワマンは悪」という結論が先にあって、それをサポートするデータと事例(時々妄想)を積み上げていくから、議論に無理が生じる。いわゆる確証バイアスってやつだ。

    あとこの手の本に言いたいんだけど、で、じゃああなたは何を薦めるの?というところに議論が及ばない。ひたすら徹頭徹尾悪口を言って終わりというのはなんとも稚拙で浅はかなものである。

    物凄く頑張って中立に読もうと思ったが、思えば思うほど論理の穴が多くて読むに堪えなかった。こういう過激タイトルは読むに値しないとさえ思ってしまう。タワマン万歳系本もしかり。こっちは読んでないけど。

    何がすごいってこんな本の評価が高いこと。タワマン憎しの人が読むとその通りだ!ってなるのだろうか。確証バイアス怖し。

  • 今年(2019)の台風19号は記憶に残る台風となりました、首都圏・私の住む埼玉県の真上を台風が通過していきました。金曜日の夜に予報がでて、土曜日の午前中から雨が降り出し、月曜日には台風一過の晴天となりましたが、台風が近づいている時は、近くの川が一部決壊するなどして、私の家の目の前の道路も川のようになったのを覚えています。

    今回の台風では、タワーマンション銀座と言われてるエリアで、大規模な浸水が起きて大変だったようです。東日本大震災の時もそうでしたが、災害が起きた時には高いところに住んでいるのはリスクがあるなと思っています。それでも、そのような気持ちは、数年も同じ被害が起きなければ忘れてしまいますが。

    この本はタワーマンションについて、業界をよく知っている本書の著者である、榊氏が現実について述べています。タワーマンションを買う人たちの動機はそれぞれだと思いますが、リスクを理解したうえで、それ以上の「自分の感じる魅力」を確認したうえで購入したいものだな、と思いました。私はちなみに中古の4階建ての2階のマンションを買って20年が過ぎましたが、見渡す素晴らしい景色は楽しめないものの、駅近くで歩いて生活できるのでとても気に入っています。

    以下は気になったポイントです。

    ・マンションで資産価値が下がらないのは、港区表参道周辺・千代田区番町・代官山、である(p57)

    ・神戸以外にもタワマンを規制している市町村として、京都市、鎌倉市、金沢市、軽井沢町などがある(p65)

    ・不動産業界の人は、分譲マンションを購入して住んでいる人は少数派、賃貸マンションに住んで引越しをする、購入しても10年も住まずに売ってしまう(p68)

    ・日本のタワマン1号は住友不動産による1976年与野市が最初だが、本格的に竣工し始めたのは、2000年から。背景として、建築基準法改正による規制緩和がある、大きな転機は1997年の容積率の実質的な大幅緩和、2002年にはさらに緩和された、日照りを規制の斜線制限の適用が除外された(p70、71)

    ・日本の総住宅数が総世帯数を上回ったのが、1968年、敗戦後25年かかったが、人々の住宅への飢餓感は解消されなかった(p77)

    ・通常の板状型マンションは施工法が確立されているが、タワマンはゼネコンによって工法は微妙に異なる、また免震や制震の技術は日々進歩している(p90)

    ・デベロッパーは品確法により、引き渡しから10年を過ぎるとすべての保証を免れる、大規模修繕工事を辞退することも可能、売った後は基本的には区分所有者の責任(p97)

    ・マンションの管理を行っているのは、基本的には管理組合であり、管理会社はただの業者にすぎない、だから管理会社の業務遂行に不満がある場合には、管理組合を通してそれを伝えるのが正式なやり方である(p99)

    ・マンションの管理業務の主なものは、清掃とゴミ出しである、管理会社が逃げたマンションはたちまち薄汚れて、ゴミが散乱した状態になる、そして廃墟化への道へ加速する(p119)

    ・イギリスやEU加盟国では、1991年以降にはほとんど高層住宅が建設されていない、欧州では高層住宅では子供を育てるべきではないと結論した(p179,199)

    ・タワマンを建設して分譲することでデベロッパーは利益が得らえる、自治体は住民が流入し固定資産が築かれることで税収を増やせる、投資目的に購入して喜ぶ人もいる(p186)

    ・都心部のタワマン適合僧としては、1)青年単身世帯、2)老人単身世帯、3)子供いない夫婦世帯、4)子供が独立した夫婦世帯等があべられる(p187)

    ・日本では石造り、レンガ造りの建物はありえない、地震で倒壊するから、なのでより頑丈な鉄筋コンクリートで集合住宅を建設する、しかしこれは鉄とコンクリートでできているので、この物質は経年劣化する、鉄はさびて、コンクリートは中性化(劣化)する(p192)

    2019年12月15日作成

  • 今回の武蔵小杉のことも暗示していたねー。子供に悪影響ってあると思う。

  • ●多くのタワーマンションの寿命は築30年で尽きることが見えてくる。そこをなんとかクリアして、築45年前後に必要な第3回目の大規模修繕工事を無事にやり遂げる物件は一体どれぐらいあるのだろうか?
    ●神戸市の久元市長は、タワーマンションに待ったをかける。タワーマンションが林立する町並みの未来やコミュニティーのあり方について問題意識を持っている。他にも、京都市や鎌倉市、金沢市、軽井沢町など。
    ●鉄筋コンクリートとサッシの間はシーリング材と言うゴム状の接着型素材で接続されている。これはおよそ15年で劣化する。
    ●管理組合が「施工不良」だと叫べば、「騒げば資産価値に悪い影響がでますよ」と脅す。
    ●デベロッパーは引き渡しから10年を過ぎると、全て保証を免れる。大規模修繕工事を辞退することも可能だ。

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著者プロフィール

住宅ジャーナリスト。1962年京都府生まれ。同志社大学法学部および慶應義塾大学文学部卒業。1980年代後半からマンションの広告制作や販売戦略立案などを手がける。現在は、一般ユーザーを対象にした住宅購入セミナーを開催するほか、新聞や雑誌などに多くの記事を執筆している。著書に『2025年 東京不動産大暴落』『すべてのマンションは廃墟になる』(ともにイースト新書)、『マンションは日本人を幸せにするか』『限界のタワーマンション』(ともに集英社新書)、監修に『コロナパニック最前線 不動産大暴落がはじまった』(宝島社)など多数。

「2020年 『激震!コロナと不動産 価値が出るエリア、半額になる物件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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