「言葉」が暴走する時代の処世術 (集英社新書)

  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087211016

作品紹介・あらすじ

「今、引きこもってるヤツに言いたいね。お前今、哲学者並みにいい経験してるよって」――太田 光
「相手を理解したいなら、食事に誘うこと。同じ動作をしながら会話するのがいいんです」――山極寿一

いつでも、どこでも、誰とでもつながれる時代。
しかし、かえって意思疎通がうまくいかないと感じることはないだろうか。
「分かってもらえない」といった日常の出来事から、SNSでの炎上、引きこもりなど、コミュニケーションが断絶されるケースが増えている。
この問題に、爆笑問題の太田光と霊長類学者の山極寿一が挑む。
ときに同意し、ときに相反しながらたどり着いた答えとは――?
私たちは誤解している。
大切なのは、「分かってもらえない」ではなく、「分かろうとすること」、「そっと寄り添うこと」なのだ。
コミュニケーションに悩むすべての人に贈る処方箋!

【目次と主な内容】
はじめに――太田光
序 章 「新しい」人間の登場─ディストピアへ続く道
●「引きこもり」は「問題」なのか?●もうセックスする必要はない?●ディストピアの原因は「言葉」にある
第一章 「言葉」が暴走する世界への対処法
●あえてスマホは持たない●対面だからこそ伝わる●AIに似てきた子どもたち
第二章 今、失われつつあるもの
●言葉にも身体性が必要●想像力が人を進化させた●「型」を失い始めた日本
第三章 ケンカの目的は和解にある
●対話と討論の決定的な違い●本来、戦いの目的は勝ち負けではない●人を攻撃する武器になった言葉
第四章 「言葉」だけに頼ってはいけない
●親しくなりたいなら一緒にメシを食おう!●主体性を「言葉」で測るのは間違い●プレゼン上手の東大生と下手な京大生
第五章 「伝える」のではなく、「寄り添う」ことを
●プレゼン上手はコミュ力が高いのか?●コミュ力は、表現力より周囲の理解●プライドをちょっと低くする
あとがき――山極寿一

感想・レビュー・書評

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  • 2020-5-24 amazon

  • 博識な二人だが、対談なのでとても読みやすい。

    SNSが普及する今、コミュニケーションとは何なのか、幸せに生きるにはどう考えたらよいのか、といったことを考えさせてくれる。

  • やっぱりなんか太田さん偉そうだよね

  • [NDC] 361.4
    [情報入手先]
    [テーマ] でーれーBOOKS2021/エントリー作品

  • ●ゴリラと言えば山極先生。爆笑問題の大田との対談。「ゴリラは戦わないが負けない」サルは勝ちに行くが、ゴリラはいかない。しかしいざ戦いになれば絶対に負けないと背中で語る。
    ●将来引きこもりという型は消滅するのかも?昔は人との直接的なコミニュケーションが当たり前で、それが苦手な人があぶれてしまう社会。今後は人と接しなくても不自由しない世の中に。
    ●ICTを使ったコミニュケーションは、お互いの時間と場所を共有しなくても良い、というのが便利でウケている。しかし対面と違い、あくまでもテキストデータとして伝わってきた情報だから、読み手が勝手に意味を付け加えてしまう。その結果、対面では決して起こらない誤解が生じたりする。表情や身振り手振りが伝えるニュアンスも全部削ぎ落とされる。
    ●しゃべりは会話は常に重なり合いながら進む。書き言葉にすると一文ごとに途切れる。
    ●今の子供たちはAIに似ている。文章をじっくり読まずに単語だけを見て読んでいくから、単語の並び方が似ていたら、それだけで同じ内容の文章だと思ってしまう。
    ●人間が言葉を持ったことによる宿命で、全ては言葉で説明されなければならない。これが学問ですね。
    ●コミュニティーを作るのは人間であり、異なる世代が、多様な価値観を認め合うことが豊かさにつながる。現状のICTは、同じような価値観の人だけがつながりやすくなっていて、多様な意見を調整するのは難しい。
    ●昭和の時代までは、着物の着こなしなど、見ていて憧れるような佇まいのご隠居さんがいた。現在は老人の服装がトレーナーに変わってきて、弱々しく見える。昔の美しいものを知っているのは高齢者なんだから、もっと美しくならないといけない。
    ●対話とディベートの決定的な違い。対話は勝ち負けではなく、わかり合うため。本来戦いも、相手を殺すためではなく、和解するため。
    ●茶道や花道、武道や神道、演劇や伝統芸能。大切なのは感情ではなく型。思考なんてものは、お前1人のものでしかないけど、型は何百年も受け継がれてきたもので、その重みと含みのあるものに、たった1人の人間の思考が太刀打ちできるはずがないと。
    ●今の日本で吹聴されている個人主義は、責任を伴う個人主義ではなく、無責任な利己主義。滅私は日本人の持っている欠点である一方、美点でもあった。
    ●アメリカの政治家は未だに、戦いは人間の本性であるなどと言っています。猿人は肉食動物に狩猟される餌食だった。動物を狩って世界を支配していたんじゃなく、餌食にならないように逃げ回っているうちに強い社会力を身に付けたと考えられている。
    ●日本の神社には2種類あり、魂振りか鎮魂。鎮魂の神社では敗者を祀る。菅原道真など。なぜなら、負けたものの恨みが、病気や飢饉で襲ってきて、世の中に弊害をもたらすことを恐れたから。こういう文化はアメリカには絶対ない。
    ●相模原事件の犯人曰く「何も表現できない障がい者には生きている価値がない」と。しかし犯人の風貌を見てください。入れ墨をして、整形もして、自己主張の塊みたいなやつです。言葉だって喋れる。なのに彼を理解していた人は周りにどれだけいたんだろう?あの施設に入所していた人々は、家族や施設の人達とちゃんとコミニュケーションは取れていたはずなんだ。
    ●コミュニケーションに大事なのは、共感と感心。共感の橋渡しをするために言葉を使う。言葉が本来持っている、単に意味を伝えること以上のもっともっと大切な意義。

  • 型にハマる方が綺麗なことも
    ➡︎着物きる、動き制限、綺麗な作法、食も食べすぎない。などなど

    型は何百年と受け継がれている深みと重みがあるもの。逆の『思考』は1人で行うもので、太刀打ちできるわけがない。

    戦うのは人間の性というが、違う。政治家は理屈のために言い続ける

    共感
    認知症もその人独自でコミュニケーションを取ろうとしている

  • 山極さんも好き。
    ゴリラ愛がすごい。
    で、今回は言葉。
    うん。いい。

  • 書いてある内容は特に変わったことはない。言葉とは人と人とが関わるためのツールの一つでしかなくて、そこに頼りすぎるのは危険だと言う話。
    特になんの変哲もない話でなぜ★4か、それはコロナウィルスの影響で広まるリモートワークのデメリットを再認識出来たから。
    なんとなく声だけで会話することに違和感を覚えていたが、それを明確に言い表してくれた気がした。
    ただ、この言葉のデメリットに迫る対談集が、書き言葉の媒体に落とし込まれ、他にその対談の様子を知る術がないのは、些か滑稽。

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著者プロフィール

第26代京都大学総長。専門は人類学、霊長類学。研究テーマはゴリラの社会生態学、家族の起源と進化、人間社会の未来像。

「2020年 『人のつながりと世界の行方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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