音楽が聴けなくなる日 (集英社新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087211238

作品紹介・あらすじ

電気グルーヴのピエール瀧が麻薬取締法違反容疑で逮捕された翌日、レコード会社は全ての音源・映像の出荷停止、在庫回収、配信停止を発表した。
近年ミュージシャンの薬物事件ではこのような対応が即座になされ、また強化されてきたが、その「自粛」は何のため、誰のためのものだろうか?
こうした「自粛」に異を唱える著者たちがそれぞれの立場から問題の背景と構造を明らかにし、現代社会における「音楽」「薬物」「自粛」の在り方について考察を深めていく一冊。
巻末の音楽自粛小史は必見。

◆目次◆
はじめに――永田夏来
第一章 音楽が聴けなくなった日――永田夏来
ピエール瀧逮捕で電気グルーヴが聴けなくなる/署名提出とその後/自粛と再帰性/友達と、社会と
第二章 歴史と証言から振り返る「自粛」――かがりはるき
音楽自粛30年史/事務所、ミュージシャン、レコード会社それぞれの言い分
第三章 アートこそが社会の基本だ――宮台真司
快不快は公共性を持たない/アートの思想こそが近代社会の基本だ/好きなものを好きと言おう
おわりに――宮台真司
音楽自粛史年表

◆著者略歴◆
宮台真司(みやだい しんじ)
一九五九年、宮城県生まれ。社会学者。東京都立大学教授。東京大学大学院社会学研究科博士課程修了(社会学博士)。著書多数。

永田夏来(ながた なつき)
一九七三年、長崎県生まれ。社会学者。兵庫教育大学大学院准教授。早稲田大学で博士(人間科学)を取得。専門は家族社会学。

かがりはるき
音楽研究家。ブログやSNSを拠点に研究・調査等を行っている。

感想・レビュー・書評

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  • コカイン所持でピエール瀧が逮捕されたことは、残念だったし、衝撃だった。
    罪は償わねばならないのはわかる。
    だけど、所属している音楽ユニットの全音源の発売と配信を停止する必要まであるのか?
    作った人が犯罪を犯したからといって、自分が好きな音楽を聴く権利を、なぜ奪われないとならないのか?全く理解できない。
    SONYの措置には怒りしか感じない。
    一年経った今でも、未だ解除されないことも非常に遺憾に思っている。

    石野卓球が最近呟いている。

    ー おいSONYよ。
    さっさと俺や前科者と作った曲を解放しろよ。

    ほんとだよ。

    いくら原盤権があるからと言って、電気グルーヴやファンへの嫌がらせを続けるのは誰のためなんだ!


    …という、疑問に答えてくれる本。

    特に第3章がよい。
    いろいろな意味でキレている宮台真司さんの文章は、難解なのでまだ全てを理解できていないけど、スリリングで心を抉られる。圧巻。
    芸術論として、とても深いです。

    特に「アートは人の心を傷つける目的のを目的とする」という言葉には深く感銘を受けた。
    「アートの目的は、それを体験した以上は以前の日常に戻れなくさせることにある」という。

    電気グルーヴの「ビタミン」というアルバムは、僕にとってそんなアートな音楽だった。出会った瞬間、心がヒリヒリして、ゾクゾクして、息が苦しくなって幸せになった。
    以前の僕には戻れなくなった。

    電気グルーヴの楽曲の販売や配信が早期に再開されることを強く希望します。

  • ‪アーティストが逮捕されると過去の作品が自主回収や配信停止などの手段で速やかに世間から消えるというバカすぎる風潮を分析した一冊。音楽に閉じずに他の事例も交えて社会の在り方を考察している。正直このレベルのことを書籍化してわざわざ論じなければいけない時点で気が遠くなるわけだが、音楽や映画を愛する人ならば改めて読んでおきたい。‬

  • ピエール瀧さん逮捕による電気グルーヴ作品回収・販売停止がテーマ。
    個人的にはおかしなことだと思ってたから納得できた。
    何かあるとすぐに叩こうとする風潮が問題なんだな。レコード会社もそれを恐れてる、っていうことであれば一方的に責めることはできないな。

    国際的に「薬物使用を犯罪として扱うよりも治療に切り替えるべき」流れになっている話で、
    薬物依存は薬物に依存して縛られているので不自由
    →依存しなければ自由になる
    →治療は依存者を自由にする
    はすごく分かりやすかった。
    これは薬物依存に限らず全ての依存症に当てはまる。日本にはこういう考え方は広まってないよな。

  • 後半の宮台さんのパートから、
    まったくついていけなくなりました泣

  • ピエール瀧の薬物による逮捕からの一連の音楽業界の対応について、本来あるべき姿を問う論評。
    最近の日本の過剰なコンプライアンスには違和感があったのだが、宮台先生の「法の奴隷」「言葉の自動機械」という言葉はとてもしっくり来た。

  • 法は、法でしかない。社会に、正解を委ねすぎ。
    みんな本音ではわかっているくせに、見て見ぬふりばかりする。こういうことを世の中の大多数の人は直感しなさすぎ、あるいは、目を背けすぎ。従う側も従わせる側も。頑張ればなんとかなる人こそ、社会のゲームの中に時限爆弾を埋め込むべき。不安なのはわかるが、それは人類が抱えた共通の問いなのだから、あきらめましょう。

    知人の披露宴帰りに久々の三宮をふらつき古本屋で偶然出会った最近の本。

  • ゾーニング あらかじめ暴力や性についての表現がある

    必要なのは尊厳。自信とプライドは違う。自信がないから仲間内の面子にこだわり所属集団でのポジション取りに右往左往する

    好きなものを好きだと言う 

    敗北を受け入れる覚悟 昔はマウントの後には知らない方が知っている方に弟子入りのような形で教えてもらっていた。

  • 対処療法から、経過の分析、生活習慣の見直しまで、一括したこの種の社会的病への処方箋。根本的には、健康の捉え違えによるものだった。

  • 本なのにフジロック好きでも盛り上がる読書でした。そして、悪い人は叩くメディアの歴史もわかりやすかったです。それから宮台さんのクズ3つの定義(言葉の自動機械、法の奴隷、損得マシーン)の毒舌が相変わらずで、「レミゼ」や「あいトレ」問題を取り入れながら「アートこそ〜」を教えてくれました。本当にいつもわかりやすく勉強になります。もっとたくさんの人たちが宮台さんの本を読んでほしいです。もちろん電気グルーブファンです。

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著者プロフィール

宮台真司:1959年宮城県生まれ。社会学者、映画評論家。東京都立大学教授。1993年からブルセラ、援助交際、オウム真理教などを論じる。著書に『まちづくりの哲学』(共著、2016年、ミネルヴァ書房)、『制服少女たちの選択』(1994年、講談社)、『終わりなき日常を生きろ』(1996年、筑摩書房)、『私たちはどこから来て、どこへ行くのか』(2014年、幻冬舎)など。インターネット放送局ビデオニュース・ドットコムでは、神保哲生とともに「マル激トーク・オン・ディマンド」のホストを務めている。

「2024年 『ルポ 日本異界地図』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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