- Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087212662
作品紹介・あらすじ
読書会、勉強会、NPO、趣味の集い……あなたのコミュニティは大丈夫?
一人ひとりは心優しい人間だとしても、全てのメンバーが互いをよく知っている小規模で親密な集いには、親密でよく通じ合っているが故に発生してしまう「毒」がある。
その集いは人々の間のミクロな違い、その隙間に巣くうコミュニケーションによって「有害な小集団」と化し、わたしたちを日々毒す。
本書はロシアに由来する小集団「サークル」を、小林多喜二からサークルクラッシャーまであらゆる切り口で再考し、開かれのなかの閉ざされ、閉ざされのなかの開かれという逆説を原理的に問いながら、集団性の解毒法を提示する。
◆目次◆
第一章 男女の数は同数に?
第二章 男たちの解毒史
第三章 政治と文学とサークル――人文主義の暗がり(1)
第四章 『サークル村』の周辺――人文主義の暗がり(2)
第五章 鶴見俊輔のサークルイズム
第六章 閉ざされること、開かれること
第七章 プラグマティズムと共同体の問題
第八章 現代の種の論理
終 章 楕円のほうへ
◆著者略歴◆
荒木優太(あらき ゆうた)
1987年東京生まれ。在野研究者。専門は有島武郎。明治大学大学院文学研究科日本文学専攻博士前期課程修了。2015年、第59回群像新人評論賞優秀作を受賞。主な著書に、『これからのエリック・ホッファーのために』『無責任の新体系』『有島武郎』『転んでもいい主義のあゆみ』など。編著には「紀伊國屋じんぶん大賞2020 読者と選ぶ人文書ベスト30」三位の『在野研究ビギナーズ』がある。
感想・レビュー・書評
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『在野研究ビギナーズ』で著者の名前に馴染みがあったのと、『なぜ小集団は毒されるのか』という副題に気を引かれて手に取った。姫野カオルコ『彼女は頭が悪いから』を糸口にフェミニズムおよびインターセクショナリティについて述べられるのを、ほうほう、と読んでいくと、いつのまにか鶴見俊輔入門みたいになり、この本の副題は『鶴見俊輔の仕事を振り返りながら』とでもしたほうがよかったんじゃないの?と思いつつ、あとがきにたどりつくと「本書は『すばる』二〇二一年一月号に発表された「円を歪ませるもの—鶴見俊輔とサークルの思想」を大幅に加筆修正したものである」(p205)とあって、やっぱり、となった。オビなりそでなり、どこかに鶴見俊輔の名前くらいいれたほうがいいんじゃないかしら。とはいえ、ただの紹介で終わるのではなく、終章で、著者なりの、鶴見俊輔の思想を現代に活用する方法が示されている。
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「中身とタイトルと帯が全然違う」ことに目を瞑って読むと面白い随筆。むしろもっと書いてほしいくらいだ。
でも(やはり)ここまで羊頭狗肉だと怒る読者が出てきて不思議ではない。 -
ふむ
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TEA-OPACへのリンクはこちら↓
https://opac.tenri-u.ac.jp/opac/opac_details/?bibid=BB00612138 -
サークルは有害だ、という話なのだが、書いているのはフックとして姫野カオルコの『彼女は頭が悪いから』を使いつつも、単なるホモソーシャルサークルなどにとどまらず、谷川雁のサークル論だったり、ベルクソンやフロムなど、色々なサークル観に深く入り寄っていくので難しい。
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期待したものとは違った
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【配架場所、貸出状況はこちらから確認できます】
https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/565740 -
東2法経図・6F開架:361.61A/A64s//K
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小難しい。解らない。でも一気読みしちゃった謎の引力。オタサーの姫や、サークルクラッシャーから始まり、サークルの有害性を説く前半。中盤では、サークルの歴史を文学史を中心に紐解く。このあたりで、サークル研究って案外盛り上がってるんだなと。終盤に至っては、サークルの毒性を認めたうえで様々なサークルの形態においても有毒性を見つけていく。ここまでくると小集団に集まること自体が悪なのか、と思いきや、集まりたいは人間の自然欲求のように書かれており、それに違和感がないから不思議。集まりたいけど集まること自体が有毒性あることを知っておこうよ、という結論だな。
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「時間と共同体のなかで変わる私」の有意性は認めるが、世の中のサークル全てが探究の共同体を目指しているわけではないし、各人によってサークルに求めているものも違うので、ある種の「有害」化は避けられないように思える。肝心なのは、有害だと感じたら解毒するよりも、さっさと離れることなのかと。そういう意味では1つのサークルにどっぷり漬からないで、複数を掛け持ちするのが有効と言える。