- Amazon.co.jp ・本 (546ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087440430
感想・レビュー・書評
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シリーズ第二弾の弔堂への案内役は、本を読むことができなかった若い女性。
家族に隠れて読む本は、どんなにどきどきしたことだろう。
今回も、弔堂を訪れる人は多士済々。田山花袋等作家だけでなく、勝海舟や社会運動家の平塚らいてう、乃木希典など、日清戦争後の時代の変化が写し出される。
なんの事件も起きるわけではないけれど、相変わらずの京極堂節が心地よい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
前作に引き続き、読書はいいなとしみじみ響くお話。死者は思い出の中、人の内で出会える。本も同様。読む人、思う人の内に現れる世界ってワクワクする。
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この時代の女性ゆえの悩みを抱えた塔子の視点がもどかしいような気もしつつ、自分もほとんど何も考えずに諾々と暮らしているのではと思えてきた。
京極先生が書く國男と言えば…なのに最初は名字に引っ張られて松岡譲かと思っていた。
歴史の裏側で一冊の本により行く末が変わったのならば、と思えて面白い。
しかしなかなか読み進まず。 -
やっぱり京極夏彦の作品は凄い。
精神的に安定する。
実在の人物が登場するので
書楼弔堂を読んだ後に読むと色々想像が膨らむ。 -
2020年7冊目
明治時代の書舗「書楼弔堂」を舞台に、本を読むこや学問を良しとしない祖父に何も言い返せない塔子だったが、乃木希典や勝海舟、平塚らいてうといった偉人たちと交流を通じながら自分と向き合っていく。
江戸時代から明治時代にかけての混乱から立ち直ってきた日本。それでも女性蔑視の風潮が色濃く残っていた時代。幸せの価値観が今とは全く異なった時代。それでも本を読むことで知らなかった世界にアクセスできることの楽しみは、いつの時代も変わっていない気がしました。
本書の弔堂の主人は、自分にとっての一冊があるはずだという。きっと、自分が本を読み続けるのもその一冊に出会いたいからかもしれない。そして、そのための本の旅も決して悪いものではないと思う。
そう言えば、初京極作品かも。 -
2024/5/17
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「幽霊は怖い物ではございません。怖がるのは、怖がりたい方だけでございます。何しろ、そんなものはないのですから」
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明治三十年代、塔子は人気のない道を歩きながら考えを巡らせていると、松岡と田山という二人の男と出会います。
彼らが捜している書店は、今東西の書物が揃い、迷える人々に本を引き合わせるという書楼弔堂。
塔子と松岡國男、田山花袋、添田唖蝉坊、福来友吉、平塚らいてうらが交わり、明治時代を生きる人々の姿を描きます。
第二弾も良いなぁ。