みんなで一人旅 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087441703

作品紹介・あらすじ

三十歳にして初めての海外。不安な佳乃子は「お一人様限定ツアー」に参加するが……。ほろ苦くて切ない大人の旅を描く、七つの物語。

感想・レビュー・書評

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  • 題名に惹かれて手に取った本です^_^読んでいると、息子から「『みんなで一人旅』って変なの〜」って言われました笑。読んだら理由は分かるんだけど、確かに題名だけだと矛盾しているね笑。

    旅は旅でも色んな切り口で描かれている短編物だったから、ちょっと怖かったり苦かったり、時には前向きになれたり、親の有り難さを感じたりと感情がとても忙しかったです。一口に旅といっても色々あるなぁ〜。

    そしてなぜだろう、やっぱり旅に行きたいーーって気持ちにあまりならなかった読後の私。。私には旅のトラブルの苦味の方を本書では余計に感じてしまったかもです笑
    最後のお話『幸せへのフライトマップ』はとても好きでした^_^

  • 旅行がままならない今だからこそ、本の中で擬似体験してみたい。「みんなで一人旅」、ちょっと矛盾しているようなタイトルではあるが、何となく言わんとすることがわかるような気がして、手に取ってみた。
    だけど、100%楽しい思いとはいかないのが旅ですよね。どんなに気心知れた関係性だって、たとえ友人でも恋人でも家族でも、若干の「イラッ」を感じること、ないわけではないだろう。それが他人なら、尚更!本書は、それぞれ事情を抱えた登場人物達が、思いがけず「トラブル」に見舞われる「トラベル」を通じて、己の生き方を見つめ直すきっかけを見出だす7つの短編集である。
    遠藤彩見さん作品は今回が初読みだが、脚本家デビューされていた方とのことで、起承転結にメリハリがあってドラマを見ているかのよう。テーマもそれぞれ秀逸。パワースポット旅、整形大国韓国の整形ホテル、マイル修行、節税対策の社員旅行、VRトリップ…。そこに絡む事情がなかなかに不穏、意外な展開に驚きおののき、旅先で露わになる本音に慌てふためき、結構ビターな流れに!でもどこかコミカル、時々ホロリ。
    どの話も楽しく読めたが、一番印象的だったのは最終話の「幸せへのフライトマップ」。VRでのハワイ旅行ってのがなかなか斬新。そこにバツイチアラフォー娘と高齢の母の親子愛が描かれ、グッときたな~。
    そしてどの話も、旅先の情景の描写がとても美しい。トラブル続きでささくれだった心に、その美しさがしみわたる場面は、実際にその場にいるわけではない自分にまで伝わり、胸が熱くなった。
    藤田香織さんの解説もすごく的確に作品の魅力を伝えてくれた。「譲り合い、助け合い、同じ景色を見て違うことを考え、語り合って認め合う。」本当に、その通り!こんなときだから、読んで欲しい一冊だなと思う。

  • 偶然見つけて手に取った一冊。

    楽しいばかりじゃなく、ハラハラ、ザワザワ、
    色々な感情が湧き起こる短編集だった。
    実際に旅に出たときも、こんな風に楽しいばかりじゃないよなぁと思いながら、
    登場人物と一緒に世界を旅できる作品だった。

  • 最後の「幸せのフライトマップ」は好きだった。
    旅にまつわるいろんな関係の人々の短編集。のっけからギョッとするようなテーマでのスタートで正直引いたけど、読後感は悪く無かった。ただ、旅の楽しさを純粋に書いた本ではないので、今度はそういう本に巡りあいたい。

  • 楽しいばかりじゃないけど、やっぱり旅はいいですね。

  • 「男二人は聖地を目指す」「みんなで一人旅」「癒やしのホテル」「空飛ぶ修行」
    「氷上のカウントダウン」「誰も行きたがらない旅」「幸せへのフライトマップ」
    7話収録の短編集。

    楽しい旅の物語かとワクワクしていたら、ヒリヒリ、ギスギス、トゲトゲ。
    あちこちに毒が散りばめられていて不穏な展開に心がざわつく。

    其々の人物描写が巧みで嫌~~な登場人物の顔が脳内に浮かんで来る。
    中でも「氷上のカウントダウン」の琴里は超自己中。
    怒りが込み上げ主人公の露子に同情した。

    けれど最終話ではホロリ。

    悲喜こもごも、盛り沢山の7つの旅を満喫した。

  • あーすすみはあんまり良くなかったんだけど、
    半分以上は好きなお話でした。
    コロナ禍で旅から離れている現在に
    たびにいった気持ちになりたいなと思って
    借りてきた本でしたが、予想外に一つ一つが深くて
    心に沁みるメッセージがあったのがすき。

    世界の綺麗な景色を連想させる美しい表現の文章も
    とてもとても好きで、行きたいリストに入れちゃったくらい。
    人生のことを考えられるくらい、
    心が洗われるような生まれ変わるような景色を
    生きているうちにみたいなと思うし、
    お話の中にあったように両親に見せてあげたいと思う。
    親孝行ってどんなことなんだろうって思ってたけど
    自分が幸せであることで、喜んでくれるのが両親だなって納得した。
    それを理解した上で、きちんと恩返しをしたい。
    大好きな両親のことを大切にしたいな、と思えました。
    いい本でした。

  • 氷上のカウントダウン。よくある旅先での価値観の違いによるすれ違い。私も経験あるけど、読んでてイライラしちゃいました。宇美ちゃんの気持ちわかるわ。だから彼女のとった行動はあっぱれです。逆に琴里、ありえない。絶対に友達になりたくないタイプ。でも世にこんな娘大勢いそう!




  • 航空会社のロイヤルクラブ会員になるための「修行」をする話がよかった。

  • ひとりではない。
    煩わしさはありながらも、ふたり(複数人)旅も悪くないなと思える、そんな心情描写が見れる作品でした。

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著者プロフィール

東京生まれ。1996年、脚本家デビュー。1999年、テレビドラマ「入道雲は白 夏の空は青」で第16回ATP賞ドラマ部門最優秀賞を受賞。2013年、『給食のおにいさん』で小説家としてデビュー。同作はシリーズ化されている。他著に、『キッチン・ブルー』『イメコン』『バー極楽』など。

「2020年 『二人がいた食卓』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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