ばけもの好む中将 十 因果はめぐる (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087441833

作品紹介・あらすじ

宜能の妹・初草は、共感覚の持ち主ゆえに読み書きができない。彼女を助けるべく、宗孝の姉がある発明をするのだが……? 他2編。

感想・レビュー・書評

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  • 多情丸とか狗王とかが強圧的に関わって来て、不穏な雰囲気になってきた。ばけもの好む中将の宣能は妹の初草をなんとか幸せにしようと画策するつもりであるし、乳母を殺した多情丸のことを決して許さない。十郎太こと十の姉君が多情丸と関係があることも分かってきた。先行きが気になる処だ。

  • 怪異大好き中将・宣能と、彼に振り回される右兵衛佐・宗孝コンビシリーズ第十作。
    段々怪異探しが脇に置かれているような気がする。シリーズ序盤のような、ほのぼのモードが好きだったのだけど。

    シリーズの焦点としては東宮妃になることが決められている初草の君と宗孝の関係、そして東宮と宗孝の十二の姉君の関係。前途多難な上、まだ何も始まっていない恋人たちがどうなるのかだが、幸い両カップル共に想いは通じ合いつつあるようだ。今回は宣能が東宮を取り込み何かを企んでいる。しかしこれはまだ四、五年先を見据えた長い計画らしい。ということはシリーズもまだまだ続く?

    もう一つ気になるのは宣能の父・右大臣が汚れ仕事をさせている多情丸が予想以上に危険人物であること。どうも先代はこんなに狂暴ではなかったらしいのだが、先代の死に乗じて上手いこと後釜に座った末に邪魔者を消しまくったらしい。その中で宣能の乳母も巻き込まれたということか。
    逆に多情丸の手下・狗王が思っていたより話の解る者に見えてきた。

    今回は宗孝がそんな多情丸のやって来たことを知ってしまい、多情丸に命を狙われて窮地に陥る。
    民間陰陽師・歳明とコンビを組むが、意外と歳明も頑張っている。

    シリーズを読んできた読者からすれば、宣能はとっくに多情丸のやって来たことを知っているのだから宣能に相談すれば良いのにと思うのだが、そうとは知らない宗孝は宣能を傷付けまいと宣能に秘密にしたまま自分たちで解決しようと奔走する。こんな時でも宣能を思いやる宗孝に滑稽さよりもいじらしさを感じて本当に良い青年だなと改めて思うと同時に、宗孝にとっては宣能がそれだけ大事な存在なのだと知る。
    そんな宗孝だからこそ宣能は初草の君を託そうとしているのだろうけれど。宗孝の滑稽なまでのいじらしさを知った宣能の『君は優しいね』に思いが溢れていて良い場面だった。

    終盤、神出鬼没な十の姉君と多情丸との因縁がついに明らかに。何故神出鬼没なのか、何故様々な変装をするの、何故男顔負けの闘い振りなのかがやっと分かった。次回は十の姉君と多情丸との闘いになるのだろうか。

    相変わらず五の姉君夫婦の発明品が楽しい。そのおかげで初草の君は文字が読めるようになりそうだ。

  • シリーズもはやいもので10巻目。
    宗孝のお姉さんズが今回も至るところで活躍してくれています。
    文字の読めない初草のために、九重が5の姉を連れてきたり。
    姫君を産んで里帰りしてる梨壺の更衣のもとに姉君達が集ったり。
    ピンチに陥った宗孝の元には颯爽と10の姉が現れたり。

    春若と真白の恋の行方や、多重丸と十郎太の因縁、そして当然宣能と右大臣、初草と宗孝の今後などなど、気になることばっかりで今後の展開から目が離せません。

    しかし当初は、怪異を探し回る中将と、それに付き合わされ振り回される公達、という話だったはずなのに、ずいぶん違う展開になってきたなぁと…もはや怪異探しはとってつけたような感じ、、、まぁそこから事件になって話が進んでいったりもするのだけど。
    この展開がそもそも筆者の計画通りなのか、いつの間にかこうなったものなのかよく分かりませんが、最初のほのぼの路線に戻れないものかなぁと思ったりはします。

  • 右大臣にも人の心はある。
    そしてついに十の姉上の謎に迫るのか迫らないのか。
    また続きが気になる。

  • 今回も楽しく読ませていただきました。
    シリアスとボケの絶妙な塩梅は最高でした。
    続きが楽しみですね(^^)

  • シリーズ第十弾。

    宜能が、初草と宗孝をくっつけようとしている中、当の二人は、字が読めるようにと五の姉上が発明した謎の笊を、初草が被っていた姿を、宗孝が“物の怪”と勘違いしたことから、ちょっとだけギクシャクっぽい事に・・。とはいえ、却ってお互いの事を想うようになった感じで、微笑ましいです。
    そして、多情丸と右大臣、そして宜能の関係をついに宗孝も知ってしまう事になります。
    さらに、十の姉上(十郎太)と多情丸も因縁がありそうで、何だかシリアスモードになってきました。
    続きが気になるところです。
    ところで「てもて、てもて」のくだりは、思わず吹いてしまいました。これって、シャンプーの“ティ〇テ”でしょ~ww。

  • 中将がばけものさがしに行ってあてがはずれる展開からだんだん不穏な状況が見えてきて心配でならない。
    あの決意が辛いことになりませんように。。。
    父との確執が何かの誤解となってほどけていくことを切に願う。
    初草が文字を読めるようになるかもなのはとても嬉しい。
    その希望がどれほどの救いになることか。
    東宮と真白の可愛い恋、(いや、片恋か。)大人の思惑なんてぶっとばしちゃえればいいね。
    みんながハッピーな大団円がきますように。

  • 初草の君が字が読めそうなのはすごい進歩!
    宗孝の5の姉の活躍で叶えられそう!
    2人の間もますます仲が良くなって微笑ましい
    頭の中将重成は、誤解で奥さんに家出されたが
    こちらも更に仲良くなって。
    雨降って地固まるでしたw
    最後に十郎太の秘密が一つ分かる!

  • いよいよ本筋に入ってきたのかな?という展開。
    2021/1/26

  • 「騒がしい神」「季節の狭間に」「因果はめぐる」の3篇からなる10作目。
    前巻からの雅平に始まり、五の姉と初草の眼鏡をからめつつ、五の姉から繁成の恋物語へと流れる。と並行しつつ春若と宣能の同盟が結ばれ。。。まさに因果はめぐるのか!?
    狗王、多情丸、右大臣、そして宣能の因果には十の姉十郎太も絡んでいる模様!?そして狗王の優しさ(?)が垣間見れた!?
    右大臣の忘れられない恋が初草にいい感じにつながるといいのにと思う。宗孝と初草もお互いの恋心に気付いた!?( *´艸`)だからなおさら、宣能の思惑がどうかうまくいきくように願う。だってそれでみんな幸せになれるもの♪え?弘徽殿の女御はって!?(^^;

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著者プロフィール

1964年生まれ。91年『闇に歌えば』でデビュー。
「ばけもの好む中将」、「暗夜鬼譚」シリーズ(ともに集英社文庫)、『怪奇編集部「トワイライト」』(集英社オレンジ文庫)など著作多数。

「2019年 『百鬼一歌 菊と怨霊』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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