梟の一族 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
3.66
  • (25)
  • (52)
  • (50)
  • (8)
  • (2)
本棚登録 : 533
感想 : 49
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (456ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087443523

作品紹介・あらすじ

少女よ、長い夜を戦い抜け!
〈梟〉の一族は眠らない。たとえ最後のひとりになっても――。
サイエンス×忍者アクションエンターテインメント

「異なる存在をただ認めるだけで、生きる喜びが広がることもあるのだと、本書は史奈の姿を通して見せてくれるのだ」
北大路公子さん推薦!

の一族――。誰ともなくそう呼びならわされた人々には秘密があった。限界集落で身を隠すように生活している彼らは眠らないことに加えて、生まれつき常人離れした身体能力を持っているのだ。それゆえに歴史の影で大きな役割を果たし続けてきたのだった。
榊史奈は一族の末裔中、唯一の十代として期待を一身に背負いながらも、平和に暮らしていた。集落が何者かにより襲撃され、一名が死亡し、その他全員が彼女を残して消えてしまうまでは……。
敵の目的とは一体何なのか。単身で逃亡生活に追いやられた史奈は、一族の生存を信じて、また己のルーツに関する真実を知るため、戦い続ける。
なぜ一族は外の人間とは距離を置くのか?
奇病・シラカミが発病する者としないものの差は何か?
なぜ里を守らねばならないのか?
母と父は一体どこで何をしているのか?
そして、なぜ、こんなにも孤独なのか――?

は、死を恐れない。

【著者略歴】
福田和代(ふくだ・かずよ)
一九六七年神戸市生まれ。神戸大学工学部卒業後、システムエンジニアとなる。二〇〇七年、航空謀略サスペンス『ヴィズ・ゼロ』でデビュー。大藪春彦賞候補となったクライシス小説『ハイ・アラート』、テレビドラマ化され話題となった『怪物』など、緻密な取材に裏付けされた、骨太でリーダビリティ溢れる作品を次々に上梓。「航空自衛隊航空中央音楽隊ノート」シリーズ、『緑衣のメトセラ』、『星星の火』、『黄金の代償』、『堕天使たちの夜会』など著書多数。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 酷くおどろおどろしい前時代的な描写から始まって、でもちゃんと現代の姿として納得できる流れ。
    手に取って、さらさらと一気に読みました。面白かった。ついこの間、親の世代(終戦前後世代)にとって、その親の生きた江戸はいまよりずっと身近だったのだと思うことがあったばかりで村のありかたもとてもありそうなことだと思った。

  • 24

  • 読み始めたら止まらない!
    わずか7日間の物語
    サイエンス✖️忍者アクションエンターテイメント
    とある

    滋賀の山間に暮らす、ふくろう、と呼ばれる人々。
    忍者の末裔とされる村が、ある夜襲撃に遭い、1人残された16歳の高校生少女が、持てる力を全て使い戦う。彼等は眠らないのだ。

    解説によれば作者の福田和代さんは実に多くのジャンルを書く作家さんだとか。
    多くのジャンル小説の名手といえば宮部みゆきさん!
    福田和代さんを「現代のエンタテインメント小説界きっての剛腕の持ち主」と評している。

    はじめのシーンからワクワク、あっと言う間にその世界に入り込んでしまう。
    とにかく面白くてとまらない!

  • 滋賀の山奥にひっそりと生きる、忍者の末裔の集落で起きた事件が発端となる物語です

    (他の方のレビューにある、「もっとアクションが読みたかった」に関しては、文庫背表紙についているあらすじがアクションを予想させる煽り文であるのが悪いと思います。特に「襲撃者と戦い続ける」の一文ですね。これがミスマッチの要因かと)

    個人的に、一族の者以外は何者も信用するなとの史奈(主人公)の祖母桐子の教えの故に、史奈自身にとっての敵・味方が目まぐるしいほどに入れ替わる(正確に言うならば、そのように見えてしまうという感じ。後から思えばそれぞれの登場人物は一貫した論理で動いています)のが臨場感があってとても楽しめました。

    睡眠を必要としない、という一族の特性と、それを巡る睡眠研究者、一族の特性を引き継がなかった「カクレ」という者、里を降りた者、それぞれの思惑が交差して、しかしそれぞれの真意がきちんと伝わらないところにヤキモキしました。

    そして、物語は一族の負の歴史、「シラカミ」という一族にしか現れない奇病を患った者と彼らへの一族の非道な扱いに収斂していきます。

    研究者は一族からシラカミになる者をこれ以上出したくなかった。史奈の母希美は、娘がシラカミになるのを防ぎたかった。眠らない一族の中で眠る子供として生まれた者の疎外感、眠りを必要とする人類の中で眠らない特性を持つ一族が感じる疎外感。シンプルに性格が忌避されて希美の許婚になれなかったのを、一家からシラカミが出てからだと逆恨みに走る「村雨」という男の悲哀。

    属する集団が変わるとマイノリティが変わるという史奈の言葉も示唆的です。

    複数人の日誌が入れ替わり現れるような書き方の文章が苦手な方は読みにくいかもしれませんが、慣れれば臨場感をより強く感じられてよいですよ!おすすめです

  • 今度も初読みの作者さん。
    フォローしている方々のレビューに惹かれて買ってきたが、皆さんのお陰で今まで知らなかった作者さんに会えるのはありがたい。
    この本もとても面白かった。

    冒頭、滋賀の山里の集落が襲われ、いきなり巻き込まれ型逃亡劇が始まる。この“いきなり”“巻き込まれ”で話が動きだすというのがいいねえ。
    そこからは、当事者だけでなく警察や記者も入り乱れ、敵味方の見分けもつかない中、〈梟〉の一族という特殊な集団の中で育ったとはいえ普通の高校生だった主人公・史奈が見聞き体験することに一緒に翻弄される。
    真相に近づいていけば、今度はその一族が持つ特異な体質に対する遺伝情報を巡るサイエンスミステリーの体。
    怪しげな研究所や警備会社が跋扈して、睡眠のメカニズムが語られたり、〈カクレ〉や〈シラカミ〉が現れたり、ここでもまた何が正解か分からず、話の行き先を図りかねる展開に惹き込まれる。
    最後は再び山里での忍者もものかわのアクション劇。
    滋賀県に住んでいたことがあるが「河内風穴」のことは全く聞いたことがなかった。ネットで写真を見ただけだが確かにそれらしく凄そうなところだなあ。
    一族の持つ身体能力が出し尽くされたようには見えなかったのがやや不満だが、最後まで次から次へと楽しむことは出来た。
    読み終えて見れば、普通の高校生だった史奈が一族をまとめる統領になるまでの成長譚になっていて、終章の儀式の場面はなかなかに厳か。

    いったん収束を見た話だが、史奈の偽物の正体やお堂の中の書物の読み解きなどまだまだ奥は深そうで、続きが楽しみ。

    • ニセ人事課長さん
      マメムさん

      こんばんは。お久しぶりにコメントいただけて嬉しいです。

      この本もマメムさんの「梟の胎動」のレビューを読んで惹かれるところがあ...
      マメムさん

      こんばんは。お久しぶりにコメントいただけて嬉しいです。

      この本もマメムさんの「梟の胎動」のレビューを読んで惹かれるところがあり、そこに『前作の「梟の一族」を読了しておくことを推奨します』とあったので、こちらから手にしたところです。
      この本のレビューにも『読了を前に続編「梟の胎動」を早々に買い、発売予定の「梟の好敵手」まで購入予約してしまうほど』と書かれてありましたが、そのお気持ちよく分かりました。
      私も早速「梟の胎動」を手に入れたいと思います。
      2024/01/13
    • マメムさん
      ニセ人事課長さん、こちらこそお返事ありがとうございます。

      レビューを参考にして頂き、ありがとうございます^_^
      ただ本作と続編の『胎動』『...
      ニセ人事課長さん、こちらこそお返事ありがとうございます。

      レビューを参考にして頂き、ありがとうございます^_^
      ただ本作と続編の『胎動』『好敵手』は印象が異なるかも知れませんので、番外編?外伝?のような作品だと受け止めるのが良いと思います(^_^;)
      2024/01/13
    • ニセ人事課長さん
      マメムさん、おはようございます。

      ご助言ありがとうございます。了解です!

      今年も宜しくお願いします。
      マメムさん、おはようございます。

      ご助言ありがとうございます。了解です!

      今年も宜しくお願いします。
      2024/01/14
  • 「梟」とよばれる忍者の末裔。梟が住む集落が何者かに襲撃され住民が行方不明になる。誰に何のために襲撃したのか…。唯一残った高校生の史奈が行方不明の住民を探す話。

    帯にミステリー×化学と書いていたが、化学はあまり?出てこず。設定が面白くて、楽しく読めた。
    続編も読みたい。

  • なんか展開が遅いのは「私おばあちゃんっ子だから礼儀正しく心優しくて何でもそつなくこなせちゃうの〜」感を出したいがためのエピソードが毎度挟まれているからではないかと思ったらもう読むのがしんどいです。

  • 梟の一族の特性は単純に人生において、知識を得られる可能性が増えると言う点でとても羨ましいです。
    また、野生で生きるにはデメリットになる部分を、何故DNAが受け継いでいるのか興味を持ちました。

    「ひとつずつ、新しくしていこう。」

    • マメムさん
      初コメです。
      装画含めて史奈のファンになりました^_^
      初コメです。
      装画含めて史奈のファンになりました^_^
      2024/01/01
  • 23/12/13〜12/20

    梟の力を個性として認めてほしい
    特別視しないでほしいと願う史奈

    成長、アクション、サイエンス、忍者、いろいろな要素がバランスよくあって楽しめた

    続きももちろん読む

  • 非常に面白かったです。

    梟の一族の里をなにものかに突如襲撃され、家々は焼かれ里の人たちは行方不明に。
    祖母の言い付けで身をひそめ、ただ1人難を逃れた榊史奈が消えた里の人たちを探しにゆく。

    ストーリーのテンポの良さと、視点の切り替わりでわかる事実と新たな疑惑に、読む手を止められず一気読みしました。

    梟が常人でない一族なんだけど、その梟の資質もあろうが、若干16歳の史奈をあれだけの人物に育てた祖母がすごい。

    • マメムさん
      ひろさん、読みたいと思った時に読むのが良いですよ^_^
      読書って、そういう楽しみ方が魅力ですので♪
      ひろさん、読みたいと思った時に読むのが良いですよ^_^
      読書って、そういう楽しみ方が魅力ですので♪
      2023/11/09
    • ひろさん
      マメムさん、言われるとおりです。しかしジェノサイドは気になっている&おすすめとあらば絶対に読破します。ありがとうです♪
      マメムさん、言われるとおりです。しかしジェノサイドは気になっている&おすすめとあらば絶対に読破します。ありがとうです♪
      2023/11/09
    • マメムさん
      ひろさん、では感想を楽しみに待っていますね。ゆったり読書時間を満喫して下さいませ♪
      ひろさん、では感想を楽しみに待っていますね。ゆったり読書時間を満喫して下さいませ♪
      2023/11/09
全49件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

福田和代一九六七年、兵庫県生まれ。金融機関のシステムエンジニアとしての勤務を経て、二〇〇七年、航空謀略サスペンス『ヴィズ・ゼロ』でデビュー。主な著作に『TOKYO BLACKOUT』『ハイ・アラート』『怪物』『迎撃せよ』『潜航せよ』『生還せよ』『繭の季節が始まる』『梟の一族』など。

「2022年 『ここだけのお金の使いかた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

福田和代の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×