鉞ばばあと孫娘貸金始末 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 75
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087445152

作品紹介・あらすじ

金貸の鉞ばばあお絹から金を借りた商家の主が首を括って死んだ。孫娘のお鈴は、残された妻子のため、真相を……。大江戸事件帖。新シリーズスタート!

感想・レビュー・書評

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  • 2023年4月集英社文庫刊。書き下ろし。シリーズ1作目。合切袋の代金、旗本を強請る、灌仏会の薄闇、の3つの連作短編。16歳の孫娘と言っても看板書きの仕事を持っていて、事件の調査もできるのだからたいしたものだ。ちょっと出来過ぎではないかとも思うが、祖母のお絹の教育の賜物か。偶然なんかも取り混ぜて解決していく事件が面白い。テンポのよい展開であっと言う間に読み進みました。お絹の弟の倉蔵の設定もよくできていて、次巻が楽しみです。

  •  お金を貸すのも借りるのも命懸けということから、鉞を担いで江戸でお金を貸す祖母お絹と両親を火事で亡くして引き取られた孫娘のお鈴が身の回りで起きた事件に巻き込まれたり解決したりするお話です。

     ページ数が文庫サイズで250ページと短めで、内容も決して悪いとは思わない。むしろ江戸で起きた自分に関係のない事件にお節介にも首をつっこんでいくスタイルで、お金にきっちりしているお絹さんのどこか人情のある感じ、割と好きだなと思うんですが、正直なことを言うと何か読後に物足りなさが残りました。

     私の中で、1つ思うところがあるのは、おそらくこれは作者が意図しているところなのかはわかりませんが、「江戸の日常感」を出ていて、その雰囲気は良いものの、どこか盛り上がりに欠けていて、これを物足りないと感じてしまったのかなと思いました。

     ワインで言うところの私はカヴェルネソーヴィニヨンとかオーソドクッスで、飲みやすくしっかり味わえる品種のものを好むように、本作品はピノノワールみたいな味わいの作品なのかなと。

     要するに、今の私には合わなかったという感じですかね。

     ただ、お金にきっちりしている鉞ばばあことお絹さんですが、本人に言うとツンデレばりに怒られそうですが、本当は人情味のある人で、知り合いのためならばお金にならないことでも動いてくれることもあるし、面倒見は凄く良い人で、好きになれるキャラクターだなと思いましたし、お鈴もどこか抜けたところがありつつも、助手役になりきって江戸でいうところの探偵みたいなことをしたりする娘で、この2人の関係はなかなか面白いと思いました。

     また、私があまり歴史もので特に江戸の街を舞台にした町人の日常を舞台にした話を読まないこともあるのかもしれませんが、頭に広がる世界は今までで見たことのない景色や感じたことのないものでした。

     たとえば、江戸時代の夜9時頃なんか、今みたいにネオンや明かりで明るくないし、むしろ真っ暗だろうし、そんな時間に飲み屋から家に帰ってくるのとか、周りに人いないし怖かったやろうなと思いました。

     そういう、ちょっとした江戸の街を感じられる描写などを感じられる作品なので、続刊があるならもう1回読んでみたいなとは思いました。

  • これは、いわゆるダークヒーロー物だろう。意地悪婆さんが、世のため人のために、悪を懲らしめる、のだけれど、ちゃんと利(り)は取っている。「仕事人」みたいな感じだ。これも次回作が楽しみ。

  • ちょっと変わった設定の捕物帳的作品。ただ鉞はまだ具体的な活躍はしていない(過去の事件は別として)。ところで鉞って女性にも振り回せるのだろうか?小型のもので鍛錬していればできるのかも。まあそんな余計なことは考えず物語を楽しめばいいのか。

  • 「豆次郎さんを、四半刻ほど貸してください」

  • 孤児となった孫娘お鈴と引き取った鉞ばばあこと絹。また絹の弟で岡っ引きの倉蔵も一緒に鈴が持ち込んでくるやっかいごとを解決していく連作短編3篇。優しくて人情味溢れるお鈴と世間ではごうつくババアと思われている絹とのやりとりも楽しい。

  • 非情な金貸しと思えて、一本筋が通ってる鉞ばあさん。

  • 2023.06.26

  • 千野隆司の新シリーズの開幕。
    主人公は、鉈を手に、強面の金貸の祖母、お絹。
    お絹の一人娘は駆け落ちしたが、幼い娘を残し二人とも死んでしまう。
    その幼児がお鈴。

    お鈴は、独り立ちしたくて看板や絵を描いて少しづつお金を稼いでいる。

    この二人を中心に、人助けや犯人探しなど、市中の暮らしを描いた作品。痛快でニンマリ!

  • 57

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著者プロフィール

1951年、東京生まれ。國學院大学文学部卒業。90年、『夜の道行』で第12回小説推理新人賞を受賞し、選考委員から“第二の藤沢周平”と賞賛される。以後、時代小説を中心に活躍中。「入り婿侍」シリーズは、評論家の縄田一男氏から「著者の新たな頂点」と絶賛を受けた近年の代表作。他の主なシリーズに「おれは一万石」「出世侍」など。

「2023年 『新・入り婿侍商い帖 お波津の婿(三)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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