- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087451177
作品紹介・あらすじ
忘れたくても忘れられない。心に爪あとを残した26本の映画を映画評論家の著者が場面写真を交えて紹介。ときにエロティックでときに暴力性を帯びた映画の魅力を存分に語った一冊。(解説/川本三郎)
感想・レビュー・書評
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トラウマになりそうな映画ばかり集めた評論集。
面白かった。
解りやすかった。
でも夜読んだら眠れなくなった。
怖くて...
映画って深いな...
いかに自分が表層で楽しんでいたか...
ソフト化されてないものもあるので、TSUTAYAかなんかで貸し出しして欲しい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
町山智浩の『〈映画の見方〉がわかる本』は名著だと思う私だが、同系列(「温故知新系」というか)の著作である本書は、取り上げられた映画がマイナーすぎて観たことのないものがほとんどだったので、読むのをためらっていた。なにしろ、著者が少年時代にテレビなどで観てトラウマになった、ビデオ化もDVD化もされていない作品が大半なのだから……。
だが、読んでみたら、知らない映画についての章もほとんどが面白く読めた。一つの回を読み終えるころには、その映画が元々自分のお気に入り作品であるような気さえしてくる。それほど巧みに、町山は当該映画の魅力を文章化しているのである。たいへんな芸(文章の芸)だと思う。
くわえて、町山の幅広い教養にも唸らされる。映画のみならず、カルチャー/サブカルチャー全般や歴史についても恐るべき該博な知識をもっているのだ。
だからこそ、1本の映画を語るとき、関連する文学・音楽・マンガなどが自在に引用され、話が広がっていく。そして、その映画の意義が映画史、カルチャー/サブカルチャー史の中に的確に位置づけられていくのである。
忘れられたマイナー映画の紹介書で、こんなに豊かな読後感が得られるとは思いもよらなかった。やはり、町山こそ当代最高の映画評論家だ。 -
タイトルから、ウケ狙いのキワモノかと思っていたら(そういうの好きなんだけど)、いやどうしてどうして、ちゃんとした映画論で、とてもおもしろかった。語られるのは、著者が小中学生の頃主にテレビで観て、強く記憶に残ったマイナー映画25本。どれ一つ観ていないが、それも当然だと思われる作品ばっかり。ひどく不評でほとんど上映されなかったり、諸般の事情でビデオ化もされていなかったり。そのあたりのことを、映画そのものの出来だけでなく、当時の社会や映画界の状況からも考えているあたり、至極真っ当な感じがした。
と同時に、著者があくまで当時の自分の感覚に基づいて書いているところが実にいい。今のように情報があるわけではなく、テレビ欄の2、3行の紹介だけが予備知識で、さあどんな映画が始まるかとワクワクした気持ち、タイトルからは想像もできないエグイ内容だったときの衝撃、特に思春期の少年にはえらく刺激の強いものだったりした時のズーンとくる感じ…、いやわたしは男ではないけれど、わかる気がするなあ。
マイナーな映画ばかりだから当然かもしれないが、宗教と暴力とセックスを扱った映画が多い。そればっかり、と言ってもいい。こなれた娯楽映画では味わえない、ザラザラした引っかかりのある感触…、長いことそういう映画を観ていないような気がした。
この本を読もうと思ったのは、カーソン・マッカラーズ「心は孤独な狩人」を映画化した「愛すれど心さびしく」が取り上げられていると知ったからだ。すっかり忘れられていた感のある(わたしも忘れていたけど)マッカラーズの「結婚式のメンバー」の新訳が最近出た(それも村上春樹訳で)。おお、懐かしい。こうなったら「心は~」も出してくれないかと思うが、Aさんがレビューで書かれていた通り、内容的に難しいだろうなあ。新潮文庫版はとうの昔に絶版。アマゾンの検索で本書が出てきたのだった。原作のエピローグに強烈な印象を受けて忘れられないのだが、映画ではやはりカットされているそうだ。
小ネタで感心したことを一つ。アルフィーの往年のヒット曲「メリーアン」(好きなんだよね)、てっきりGSを意識したものだと思っていたが、もちろんそうではあるのだけれど、元は1955年のフランス映画「わが青春のマリアンヌ」をイメージした歌詞なんだそうだ。森の中の湖(または泉)、そのほとりに立つ古城(お屋敷)、バルコニーには美少女。「メリーアン(マリアンヌの英語読み)」だけでなく、繰り返し飽きることなく歌われてきたその源は、やはりおフランスだったのか。 -
映画は基本的に好きなものを繰り返し見る派。そのため知らない映画がこの世にたくさんあることは知っている。
もちろん本書に載っている25の映画の、どれもを見たことも聞いたこともない。そして見ていないで、得意の活字から入ってよかったと思った。
トラウマと冠されているだけあり、お年頃の時代に掲載されているどの映画を見ていても、超ド級のトラウマを抱えていたと確信している。
だからと言って、ただ「ヤバイ」という陳腐な単語で片付けられる映画ではないものばかりだ。
本書では、映画が作られた時代背景、監督や脚本家がどんな意味を持たせて作品を作ったのかを丁寧に解説しているので、作品を理解する助けになるはずだ。
トラウマ作品になるということは、世界が、社会が持っている膿を、ありありと見せつけているからではと今では思う。 -
「映画というものは、親や学校が教えてくれないことをこっそり見せてくれた。人間というものの不可思議さを」
著者が心に抱えた、決して名作でもヒット作でもない、忘れられた映画作品を、史実と思いをたっぷりに紹介するコラム集。
読後には全ての作品が観たくなる。トラウマになりたくなる。至極の映画本だ! -
映画館でなくテレビだから、トラウマ洋画劇場としたほうが感だが、片手ぐらいしか見ていない。子供時分に自由にテレビ見られた環境は羨ましい。
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映画評論家の町山さんが、幼き日にテレビで観て胸を深くえぐった作品を解説した本。
まず町山さんの文章が素晴らしすぎる。普通に短編小説集と言っていいくらい、読み物として面白い。
町山さんの深い考察や映画への愛などに触れ、自分ももっと映画について知りたいと思いました。
町山さんの書かれた本はこれから全部読みたいと思います。これからもガンガン執筆して頂きたい、素晴らしい文筆家です。 -
どれも観たことのない映画の評論だったが面白かった。
ただ観点がトラウマなので、読みながら映画へのトラウマ的イマジネーションが頭をぐるぐる駆け巡り離れなくなる。実際に映画を観ればそれ程ではないのかもしれないが、読み進めるうちに、だんだん悪夢を観ている気分になってくる。こんな救いのない映画、誰が観るんだろう?なんて気分になる。
それでもこの本は面白かった。取り上げられた映画に興味はもったが、実際には観ないと思う。 -
本書では25本の映画と、
各章ごとにそれらの作品に関連する幾つかの映画が紹介されています。
そのうち観たことがあるのは
〝愛すれど心さびしく〟をはじめ数本だけ。
あとは観たことも聞いたこともない映画ばかりです。
知っている監督や俳優も、ほんの数名でした。
感受性豊かな思春期の頃に観た映画は、
深く心に突き刺さるものですが、
タイトルに使われている〝トラウマ〟という言葉は、
そういう意味合いが強いと思います。
ここに紹介されている
〝わが青春のマリアンヌ〟や〝カモメの城〟などは、
機会があればぜひ観てみたい作品です。
べそかきアルルカンの詩的日常
http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/
べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え”
http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a
べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
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