抱擁、あるいはライスには塩を 上 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
3.78
  • (98)
  • (155)
  • (116)
  • (22)
  • (9)
本棚登録 : 1939
感想 : 114
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087451504

作品紹介・あらすじ

東京・神谷町の洋館に三世代で暮らす柳島家。子供たちを学校にやらないという教育方針だが、四人の子供のうち、二人が父か母が違うなど、様々な事情を抱えていた。風変わりな一族の愛と秘密を描く傑作長編。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 江國香織の作品の中で一番好きかも。上流階級の話なのだが、キャラクター設定がうまい。特に桐叔父はすごい。主人公の一生を描いているが、どこかノスタルジックで切ない寂しさを感じた。物語の中で出てきた、聞いたこともないイタリア?料理を食べたくなった。オッソブッコ リドヴォーなど。

  • いろいろな形の家族があると感じた。最近は話し合うことの大切さを実感しているところだったのだが、小さい子供のうちから言葉でお互いの感じたことを示すことができる知性は羨ましいなと思った。
    本の構成として時代が前後しているのととにかく登場人物が多いので、最初はややこしく感じた。

  • 登場人物があまりにも多くて、
    親の違う子供とか一族とかなんか重くてめんどくさい…と思って1度読むのを挫折していた作品。

    読んでみると、わたしの大好きな江國香織調でするする読めてしまった。柳島家のご飯が食べたい。

  • 神谷町に三世代で棲む柳島家には変わった教育方針があり、それは大学入学までは学校に通わせないというもの。子どもたちは家庭教師の元で勉強をし、それ以外の時間は思い思いに家で過ごす。そんな浮世離れした一族だが、世代を経るにつれて少しずつ変化が訪れる──。

    柳島家を何世代にも渡って自分の目で見てきたかのような江國さんの筆致力。章ごとにひとりひとりにスポットライトが当たり、現在と過去を行き来しながら物語は進んでいく。世間に馴染めず元の住まいに戻ってくる柳島家の人たちは、人間らしいというよりはどこか動物的な、帰巣本能に従っているように感じた。まるでここでしか生きられないよう育てられているかのように。百合の元義家族のほうがおかしいことは誰の目にも明らかであるのに、世間との交わりを絶ってきた百合自身にはそれが分からないことにはなんだかやるせない気持ちになった。閉じられた世界で生きることの幸福と絶望が上巻では描かれてる。

    本を閉じても、図書室の空気、食堂室の鳩のステンドグラスをすぐそばで感じている。これから彼らはどうなるのだろう。下巻も楽しみ。

  • 昔読んで(七、八年前くらい)大好きな本。江國さんのお話の中で一番好き。
    百合ちゃんの結婚生活の苦しさについて当時は特に何も思わなかったけど、なんて酷いのだろうとびっくりしてしまった。

  • 「なんでも好きなことをすればいい、ただし僕の手のひらの上で」


    駅まで送ってしまうと、帰り道が危ないという理由で、岸部さんは決まって私をアパートまで送ると言いだす。抗議しても無駄で、事実私たちは――おそろしく馬鹿馬鹿しいことだが――夜道を何往復もしたことがある。話し足りなくて、あるいは、別れがたくて。最近では、駅から一度ひき返し、半分まで来たところで互いに手を打つことになっている。きょうはそれを省いた。時間をかければかけるだけ、淋しくなるからだ。

  • 小川洋子の「琥珀のまたたき」をちょっと思い出した。
    相関図書きながら読んだ

  • 一人称だったり、語り口だったり、周りとの関係性だったりで章ごとの語り手が誰なのか推理するのがワクワクした

  • 三世代にわたる柳島家の歴史物語。時代がかわり、語り手がかわり、連作短編集のように物語が進む。
    子供達は学校に通わず、自宅で家庭教師や親たちから勉強を教わっている。3ヶ月だけ通った学校での様子が「世間」と「柳島家」の距離をあらわす。幸せの定義、ふつうの定義ってなんだろうと考えさせられる。
    とにかく叔父がどういう人なのかが気になったところで下巻へ。

  • 読後感かいまいち

全114件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。1987年「草之丞の話」で毎日新聞主催「小さな童話」大賞を受賞。2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞、2010年「真昼なのに昏い部屋」で中央公論文芸賞、2012年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、2015年に「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」で谷崎潤一郎賞を受賞。

「2023年 『去年の雪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

江國香織の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
三浦 しをん
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×