小説フランス革命 12 共和政の樹立 (集英社文庫)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087452471

作品紹介・あらすじ

1792年8月の蜂起で王権が停止され、立法議会に代わって国民公会が開幕。フランスは共和政へと突き進む。やがて開かれた国王裁判でルイ16世の死刑が確定し──。王政の最期を描く、衝撃の第12巻。(解説/安達正勝)

感想・レビュー・書評

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  • 死んだあぁぁぁってお話し

  • ルイ16世が処刑された。その直前まで王だった者としての威厳を保ち続けた。ところがその効能もはやない。ランバル大公妃の首が小タンプル塔の窓から晒され、挙句にはルイカペーと呼び捨てにされる始末。最終的に死刑に追いやったのは国民公会の、サンジュストの演説がきっかけだった。ルイが呼び出され、罪状を読まれた中には頓珍漢なものまであった。それはもはや形式的な裁判であり、旧来のガニカニスムを潰すための決定事項だった。運命というものは恐ろしい。歴史の潮流においてはいかなる争いも虚しく終わる。その一部始終を見て恐ろしい思いをした。

  • 第68回毎日出版文化賞特別賞
    著者:佐藤賢一(1968-、鶴岡市、小説家)
    解説:安達正勝(1944-、盛岡市、フランス文学者)

  • 人民裁判で多くの血が流され、革命は暴走し、そしてルイ16世改め、ルイ・カペーの首が落ち、時代が変わる。
    サン・ジェスト、デビュー戦でいきなり鮮やかな勝利。(原理原則を重んじる『支持者』の存在が、純粋化・過激化を生むのだろうか?とか<ロベスピエールとサン・ジェストの関係から

  • ヨーロッパ近代史の中でいくつかの王政が倒れ、共和政に移行したが、両大戦に起因しない内発的なものとしてはフランス革命が唯一の例と言って良い。というより、フランス革命において国王を断罪し首をはねたことが、19世紀に各国の旧体制の動揺を招き、第一次大戦の原因の一つになったと見ることができる。

    本書の物語は1792年8月政変の後から始まる。既にルイ16世は自ら身を処す力を失っていて、彼をどう裁くかがジロンド派とジャコバン派の政争の具になる。国民公会の最大勢力は平原派であり、左右両派が中間派を取り込もうと演説を繰り広げる。革命が過激に突き進むことを警戒するジロンド派と、進まないことに苛立つロベスピエール。ジロンド派はバランスある政治を担おうとするが、リーダーシップを欠き国王裁判ではジャコバン派に敗北する。その後革命はどう進むのか、それは次巻以降の楽しみということになるのだろう。

  • サン・ジュストやロベスピエール達議会の熱さと騒々しさ、ルイ16世がたどり着く静謐さの対比が印象的な巻。歴史の物語であるからには避けがたい結末を持つルイ16世に対して、彼の悟りの心を描いたのはあるいは佐藤賢一の優しさなのだろうか。「共和制の樹立」というタイトルが皮肉に響く巻の終わり方にも感じられた。

  • 以前の巻から思っていたことだが、ルイ16世の描き方が非常に好ましく感じられた。そのルイ16世の最後、作者のイメージであるとはいえ、それが小説の醍醐味だと思う。

  • 2015/03/22

    議會熱烈地論戰,ジロンド派原本想要暗地保住國王的性命,但是丹頓支持了雅各賓派,サン・ジュスト嶄露頭角發表了聳動的演說,最終議會還是決定將國王處決。於是,這部小說中我喜愛的角色,宅王路易十六終於上了斷頭台。雅各賓派和ジロンド派還是一直在紛紛擾擾之中論戰,國政無法順利推行,淪為兩派的口水戰,令人焦急。米拉波提倡的中道政治終於一去不復返,矛盾的尖銳化,焦急的無套褲漢和民眾,內憂外患,終究將法蘭西帶往激化的路線。

  • ルイ16世の処刑が描かれる。ベルばらのせいか、ボーっとした王様のイメージが強かったけれど、本作では政治的感覚に長けたしたたかな国王として描かれていて新鮮。

  • ルイ16世の幽閉から処刑までが描かれる

    いつも自意識過剰ながら、状況に流されやすいルイ16世のモノローグが聞けなくなるのか。。。

    長年続いてきた王政の心理的障壁を論理で越え、国王の処刑にまで漕ぎ着けた。
    長く議論を戦わせる中、一人の出した意見が状況を一変させ、歴史を動かしてしまう。

    折しも国政選挙のさなか、今日本の議員の中のどれだけの人が、これだけの熱い議論を戦わせているのかと思うと、やるせない。

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著者プロフィール

佐藤賢一
1968年山形県鶴岡市生まれ。93年「ジャガーになった男」で第6回小説すばる新人賞を受賞。98年東北大学大学院文学研究科を満期単位取得し、作家業に専念。99年『王妃の離婚』(集英社)で第121回直木賞を、14年『小説フランス革命』(集英社/全12巻)で第68回毎日出版文化賞特別賞を、2020年『ナポレオン』(集英社/全3巻)で第24回司馬遼太郎賞を受賞。他の著書に『カエサルを撃て』『剣闘士スパルタクス』『ハンニバル戦争』のローマ三部作、モハメド・アリの生涯を描いた『ファイト』(以上、中央公論新社)、『傭兵ピエール』『カルチェ・ラタン』(集英社)、『二人のガスコン』『ジャンヌ・ダルクまたはロメ』『黒王妃』(講談社)、『黒い悪魔』『褐色の文豪』『象牙色の賢者』『ラ・ミッション』(文藝春秋)、『カポネ』『ペリー』(角川書店)、『女信長』(新潮社)、『かの名はポンパドール』(世界文化社)などがある。

「2023年 『チャンバラ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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