仙台ぐらし (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
3.50
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本棚登録 : 2656
感想 : 217
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087453263

作品紹介・あらすじ

タクシーが、見知らぬ知人が多すぎる。仙台に住み執筆活動を続ける著者が、日々の暮らしを綴ったエッセイ集。あの傑作小説はこうして生まれた! 短編小説「ブックモビール」も収録。(解説/土方正志)

感想・レビュー・書評

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  • 絶対この人にしか書けない、という独特な作品を生み出している人気作家・伊坂幸太郎のエッセイ集だ。
    タイトルにある通り、著者が仙台に暮らす日々を描いていて、期せずして、3.11の震災前と震災後、を記した内容になっている。

    あとがきや文庫版解説がわりの対談でも「エッセイは苦手」「もうエッセイは書かない」と言っていて、確かに伊坂さんて作品ほどになぜかエッセイは面白くないんだよなあ、と昔(甚だ失礼ながら)思ったことがあったのだけれど、ご本人もやっぱり苦手意識があるんだな、苦手なものを10年書き続けるのは大変だっただろうな、としみじみしてしまった。

    全編エッセイ、というわけではなく、震災後の東北で移動図書館を運営している男ふたりを描いた、まさに伊坂さんらしい飄々としていながらふっと胸にしみ込むような短編が収録されているのだけれど、それがすごく良かった。

    震災で、仙台は三陸ほどには壊滅的な被害は受けなかった。けれど、倒壊したビルがないからといって、津波が街を破壊しなかったからといって、人が傷ついていないわけではない。
    そういう当たり前のことを、今更ながら、そうだよね、と思えるような、そんな短編だった。

  • 伊坂さんの仙台ぐらしを綴ったエッセイ集。
    街中で物事をよく見てることや、やたら心配性なところに作家さんらしさを感じた。
    創作は少しだけ。それなのに面白い街みたいに思えた。

  • その土地のエッセイとは言え、地名やご当地グルメなどを特段入れなくても味わいのある文章になっていた。

  • 仙台。僕は仙台市の、隣りの隣りのまちに住んでいます。仙台市の南の方です。震災があって、僕のまちにも海岸線があって、ということは沿岸の集落は当然のように津波の被害を受けました。僕の父親の父親、つまり祖父は、その集落の出身で、ということは縁をたどれば、遠い親戚も居たわけです。現在その集落は内陸部への集団移転の対象区域になり、縁者たちは、思い思いにそれぞれの地で生活を再建したと“思われます”。
    “思われます”…ということは、すなわち現時点において、もはや彼らの消息すら定かではありません。いまどこに暮らしているのか、などまったく知る術がありません。それぞれの立場で、それぞれが遠慮し、互いに本心を明かさずに、そっとしておこう、などと手前に都合の良い言い訳などを用意して、集団移転を期に縁が切れたと言っても過言ではない現状に至りました。同じ被災地に居ながらも、被害の度合いはさまざまです。そのことについては、著者も悩んでおられますね。被災地の住民としては、有り余るほど共感します。僕も、何もできなかったし、言えなかった。僕よりも苦しい方々ばかりなのですから。僕だって苦労はしたけれど、僕より苦しまれた方々のことを思うと、かける言葉も見つかりませんでした。

    仙台という地理のコンパクトさ加減については、僕も常々思っています。一方的な膨張を良しとしない、バランス感覚というか、潔さのような、東北の人の、まちの気質であるともいえるでしょう。
    コンパクトな仙台だからこそ起こりうる日常の出来事が、愛おしく描かれておりました。仙台ならでは、どこか僕自身も思い当たる節が…?

    著者の本を読むのは初めて。これから長い付き合いになりそうです。仙台のまちで、いつか僕も著者に出会うことはできるかな。多すぎる見知らぬ知人の一員になれるかな。その日を楽しみに!

  • 良かった!
    わたしはやっぱり伊坂さんが好きなんだ。
    読んでて楽しかった。
    笑った。
    オマケのように掲載された小説も良かった。

  • 「タクシーが、見知らぬ知人が多すぎる。仙台に住み執筆活動を続ける著者が、日々の暮らしを綴ったエッセイ集。あの傑作小説はこうして生まれた! 短編小説「ブックモビール」も収録」

  • いつものコーヒーブレイクが100倍
    楽しくなりました。
    ミルクコーラ、どんな味なのか気になる。 
    いつか何処かで
    「見知らぬ知人」の一人になれたらいいな。

  • 大好きな作家、伊坂幸太郎さんのエッセイ。
    あんなにハラハラ面白いストーリーを作る作家の普段の顔を見られる気がして、ワクワク読み始めた。

    伊坂さんの作品に度々出てくる、心配性のキャラは伊坂さんがモデルなんだなと知った(笑)

    今度仙台に行ったら、珈琲チェーン店に伊坂さんがいるかもしれない、と探してしまいそう。

  • 『仙台で暮らすということのすべて』

    仙台といえば・・・と聞かれたら、牛タンと萩の月と、七夕祭りくらいしか答えられなかった私。

    この本を読んだあと、タクシーの数が日本一多い場所と伊坂幸太郎が住んでる街が追加された。

  • ほっこりする内容やクスッとする内容が多くて読んでいて楽しかった。
    震災の話、映画化が多すぎるの話は特に心に響いた。

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著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。

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