無戸籍の日本人 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 279
感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087456929

作品紹介・あらすじ

1万人はいると言われる戸籍を持たない日本人。なぜ無戸籍になるのか? なぜこの状況は変わらないのか? 無戸籍者の厳しい現実を浮き彫りにし、大きな反響を集めた話題作。(巻末対談/是枝裕和)

感想・レビュー・書評

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  • 書いてあることが全て事実だと受け入れたくない。「市子」の何倍も現実は壮絶で、現代社会に絶望を感じる。ただこの本は厳しい現実を提示するだけではなく、度重なる取材と当事者との対話の記録、そして戸籍取得にはどういう障害があるのかなど、無戸籍の人たちが少しでも生きやすくなるように著者が奔走し、その軌跡を辿っていく。全て著者の経験、取材、対話、記録で構成された、まさに血と汗の結晶。当事者たちが勇気を出して、告白した辛い過去に、我々がどうあるべきなのかを問われている気がした。苦しんでいる人が今もいる為、ありがとうございますとは簡単に言えないけど、感謝してます

  • あまりにも自分の生きてきた世界と違いすぎて唖然とした
    そんな多種多様な地獄ある?というエピソードばかり
    政治家の本音を知れたりやり口も学べるし色んな「世界」が覗けて有意義でした
    複数人のケースをザッピングしながら話が進むので少し読書の間をあけると記憶容量が極小の私は この人どのケースの方だったっけ?? となってしまい中盤あやふやなまま読み終わりましたけどそれでも十二分に学びがありました
    終盤は歴史の話になっちゃうからちょっと退屈だったかな
    あーしかし「留守中に夫(35)が母親(70)と肉体関係を結んでいた」の下りは本当に気分が滅入った
    イミフ、どういうことだよ…

  • ねほりんぱほりんという番組で知った、
    無戸籍者の実態をもっと知りたくて手に取った。

    読んでみると、さまざまな事例が挙げられていた。
    育児放棄や貧困が主な原因なんだろうと、無知な私が持っていたイメージよりもずっと根が深く、親や祖父母の代まで原因が遡るケースも。
    そのせいで、親子で無戸籍の連鎖が怒るケースも少なくないということに衝撃を受けた。

    一番ショックだったのが、本来ならば彼らを救うためにあるはずの日本の法律が、無戸籍者が戸籍を取得することを拒否する壁となっているということ。

    離婚後300日問題、
    日本人である証明がないから取得が困難で、それを証明したくても親が亡くなっている、
    学校に通っていないはずなのにコミュニケーション能力や文章力が高いのは疑わしい等、

    なぜここまで何の罪もなく生まれてきた彼らが苦しみを持たなければいけないのか、あまりに理不尽だと感じた。

    確かに生きているのに、制度上「存在しない者」として生活している人たちの声が届いてほしい。

  • 無戸籍で苦労している方々が少なくない事実は知らなかったし、大変驚いた。
    ストーリー性があってとても読みやすく、法律問題の説明もわかりやすい。
    法や政治に関する様々な本が、この本くらい読みやすければ、もっと色んな人(自分も含め)に政治に触れるきっかけができそうなんだがなあ。

  • 小説かのようなストーリー性があり、とても読みやすかった。
    さらに内容に関しても小説、フィクションではないかと疑うようなものばかりで自身の無知さを実感した。
    無戸籍は遠いようで身近。そして身近であってはならない。そのための法制度や、戸籍の目的を今一度考え見直さなければいけない。
    誰しも生まれたくて生まれてきたわけではないのだから、当たり前の人権くらい与えてよ!

  • なるほどな、民法772条か。特に貧困やら親がいい加減だったりしなくても、現夫の名前では出生届が受理されずに無戸籍になるパターンがあるんだ。よくわかってなかった。俺みたいな素人が考えても、誰かが生まれた時に戸籍の無いままで放置しておくことと、整合性の取られた出生届と、どっちが大事なんだよバカか?と思うような問題なので早急に法改正しろよ、思うけどな。無戸籍は離婚のペナルティ、ってのはすげえと思った。いやいや、19世紀の法律なんだってよ?しかし無戸籍の人の母親の元夫がその母親と肉体関係があったとか、鎌投げられたとか、この辺りはダラダラと冗長だったなあ。

  • 一口に無戸籍といっても様々な事情を抱えている様子が描かれている。解説はわかりやすいものの、Aの場合1、Bの場合1、Aの場合2……というように同じ人物の様子がとびとびで書かれており(おそらく時系列順なのだと思うのだけれど)まとまった読書時間がとれない私としては、この人はどんな事情の人だったっけ……?と混乱することも多かった。ただ、それぐらい特殊で複雑な事情を抱えている方が多いと言うことでもあると思う。少しずつ法律が変わっていっているようだが、それでもまだ少しずつでしかない。法律の改正は、どうしても問題が起こった後になってしまうことが多いこともまた難しいところだなと思った。人々の意識が変わるのに合わせ、もしくは人々の意識を変えるためにも、時代に即していない前衛的な法律は変えていく必要があると思った。

  • 自分の子どもが無戸籍になってしまったこと等をきっかけに、無戸籍の人が戸籍や住民票を取れるようにサポートしたり、法律や離婚届を変えようとした政治家の書いた本。作者はこの問題に”召命された”かのように、力強く活動している一方、どうやら無戸籍の問題を親の咎に矮小化して、むしろ現状に合わない民法772条をそのままにしたい一派の政治家も出てくることから、政治家にとっての課題や理想像が全然違うことが分かる。世の中の問題は多岐にわたっているので、それぞれに関心を持ってもらうために、政治家自体に多様性が必要だなと強く感じた。

  • 制度の欠缺に苦しむ人たちの話。

  • 難しい内容ですが、整理されていて大変読みやすかったです。
    これは年齢、性別問わず多くの人に読んでもらいたい本だと思いました。

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著者プロフィール

井戸 まさえ(イド マサエ)
政治家、元民主党議員
1965年、仙台市生まれ。東京女子大学文理学部史学科卒業。松下政経塾9期生。5児の母。
東洋経済新報社勤務を経て、経済ジャーナリストとして独立。2005年より兵庫県議会議員を2期務め、2009年、衆議院議員に初当選。無戸籍問題をはじめ「法の狭間」で苦しむ人々の支援を行う。民主党東京第4区総支部総支部長。
「戸籍のない日本人」で第13回開高健ノンフィクション賞最終候補作品に残る(『無戸籍の日本人』と改題して2016年1月刊行予定)。「『クローズアップ現代』“戸籍のない子どもたち”など無戸籍者に関する一連の報道」で2015年貧困ジャーナリズム賞受賞。
佐藤優氏との共著に『子どもの教養の育て方』がある。

「2015年 『小学校社会科の教科書で、政治の基礎知識をいっきに身につける』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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