- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087464146
感想・レビュー・書評
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テーマは重くて、どこか不気味で先を知るのが怖かったりするんだけど、一気に読めた。
設定が重力ピエロと似てた。
家族の定義って何?
昔読んだJohn SteinbeckのEast of Edenが何度か話に出てきた。
桐人と優太は現代のCainとAbel. (East of EdenでいうCalとAron)
言葉じゃなくて行動が人を動かす!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
中学生の兄弟が出生の秘密を知る。
強いのに少女のような母が魅力的。 -
上巻に感想済み
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優等生の兄とは対照的な弟。弟は、ある日父の形見のぬいぐるみの中から、謎の手紙を見つける。それは、家族という存在を問いかける旅の始まりだった。
帯に「現代を生きるカインとアベルの物語。感動の巨編」とあるので、なんとなく察しがつくといえばつくんだが、その辺はやっぱり今邑彩はテクニシャンなのである。
物語は、吉村という男が画廊の個展で「日向沙羅」という画家の絵を見るところから始まる。
そのためか、主人公といえる弟・優太の旅が、まるで入れ子のように見える。それこそ、母親が描く絵の一枚のようであり、TV画面を通してみるRPGのようでさえある。
だから、主人公の不安や慟哭も、なぜかよく知ったもののような手触りがある。
ジュブナイルなのだと思う。
きっと序章と最終章をカットして、中のしみ込ませた毒のようなものを、取り除けば、「少年ドラマ」にすればいいようなジュブナイルになっていたのだろう。が、ただの少年の成長物語にならないのが、今邑彩の毒なのだと思う。
今邑彩の毒は、透明で芳香を放っている。
優太の兄・桐人は、結局その毒にとらわれてしまったんじゃないかと、本を閉じて思った。 -
展開が早く、次へ、次へと一気に読みたくなる、
さくさくっとテンポがいいミステリー。
次から次に謎が明らかになり、また謎が出る。
キリスト教と絡められた諸処の関わりも興味を引き寄せられるし、
読んだ後に心地よい爽快感がある。
面白かった。時間が経ったらまた読みたい。 -
兄ちゃん…
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久しぶり(5年ぶりぐらい?もっとか?)に手に取った今邑彩さん。面白かった~。ものすごく陰惨な話にもなりそうな素材なのに、こんな風に料理できるのか~。すごいなぁ。
昔読んだのも引っ張り出してみたくなった。 -
今邑彩さんの作品の中でも、少し違った嗜好での展開。後半の兄と弟の会話のキャッチボールは興味深い。ほのぼのとさせてくれました。
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カテゴリーをミステリーにしてもよいか悩んだけど・・・・。
後半は涙、涙だった。
優太の一生懸命さが伝わってきて。
私は母親目線でこの話を読んでいて、沙羅の深い愛を感じてまた涙。学生の頃読んでいたら、今とは違う受け止め方をしていたかも。
読了感のよい作品だった。
文庫本にかけてた書店のカバーを外すと、上下巻を合わせると一つの絵になることに気付いた!
凝ってるな~。 -
優太は、ぬいぐるみの中の父からの手紙に書かれていた福田ヨシを訪ねた。
その老婆は、優太を待っていたと言い、父から預かったノートを渡した。
そのノートには、三十年前の母親の一家殺人事件の事、父が何故自殺したのか、優太の出生の事が書かれていた。
育ての母親(今の母親)の両親と姉を殺したのは、血の繋がった父だった。
そのあまりにも残酷な事実を知った時、兄の桐人に助けを求めた。
桐人は、弟の優太の為に行動を起こす。
そして、桐人が知った真実とは・・・・。
家族愛、兄弟愛を書いた渾身の一作です。
まず、愛をテーマに・・て所が今邑さんらしくない。
たぶんこういう感じの作品は、初めてじゃないでしょうか?
初期の頃は、ミステリーが多く中間期ではホラーが多く今は、円熟期で作風が変ったのかな?
下巻では、今邑さんらしく二転三転として文章が畳み掛けてきます。
この辺は、今邑さんらしい所です。
下巻は貪るように読みました。
ぜひ、読んで欲しい本です。
思わずホロリとする感動の作品です。