- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087464177
作品紹介・あらすじ
沖縄、イタリア、ニューヨーク、旅から旅へ行ったり来たり…。各地を忙しく訪ね歩きながら、その風景を楽しみ、出会う人びとに元気をもらう。晴れた日には根津神社で昼寝をし、大好きなあかぢ坂の上でのびをする。変わりゆく眺めと遠い旅先の町を重ねては、ふと考える身のまわりのあれこれ-。町に寄り添う著者ならではのまなざしで、日々の暮らしを見つめたエッセイ集。
感想・レビュー・書評
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「旅暮らし」という書名に惹かれて買った本。
「旅暮らし」という言葉から自分で勝手に「寅さん」のような暮らし、というイメージをつくり、それに惹かれて買ったわけであるが、内容はそういうも
のではなかった。
楽しんで読めた本ではなかったけれども、それは、自分で勝手につくったイメージ通りの本ではなかったというだけの話であり、僕が悪い。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
本当は☆ひとつだってつけたくない。まさに愚本。
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3月の3連休のストックを…とのぞいた書店で発売日に見つけ、即レジへダッシュ!集英社文庫の『〜暮らし』シリーズ、3冊目です。今回は「旅」がテーマのエッセイ集。森さんの旅エッセイには、『その日暮らし』収録の「サン・シーロ・スタジアム」を読んだ時に、「あのインテル・ミラノのホームの熱狂を、こんなに静かに、しかも熱を持って書けるなんて!」と驚いたものです。そんな旅エッセイが満載なのかと思って開きました。「旅」がテーマなので国内外の旅でお考えになったこと(特にまちづくり)がメインです。町のたたずまいや、それを支える人たちに注ぐ目は温かいし、上っ面だけ見ずに、その1つも2つも奥を探ろうとする目は鋭いです。旅とともに、日々の暮らしの中でお考えになることもつづられています。まちづくりの中でも、なくなっていくものに対する考えや、ご自身をふくめた子育てのこと、など。地域雑誌の編集をされているからといって地域バンザイ一辺倒じゃなくて、そこに潜むイヤらしさ(ヘンな嫉妬や色分けとか)も、きちんと見つめて書いておられる。「地に足のついた、それでいて周りとはつかず離れず」の関係を大事にし、目指しておられるのがよくわかります。狂信的なまでの正義感や、1歩も2歩も引いた目線で冷ややかに語るわけではなく、ほどよい距離感が作品にも表れていて心地よいです。改題前のタイトル『にんげんは夢を盛るうつわ』というフレーズの出てくる項があり、このふんわりとした響きが素敵。甘い夢ばっかり盛れるわけじゃあないけれど、そういうところがないと、生きててちょっとしんどいですもの。杉田比呂美さんのイラストも静かに絶妙な瞬間を描いていて、相変わらず素敵です。別に改題しなくてもいいんじゃないの?と思う内容ですが、この題で本棚にそろって並ぶとやっぱり嬉しい(笑)のと、穏やかで達者な文章に、ゆっくり語りかけられる感じが私は好きで、この☆の数です。