沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史 上(集英社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087467253

作品紹介・あらすじ

戦後日本は、沖縄を米国へ人身御供として差し出すことで、復興と繁栄を手に入れた。沖縄に米軍基地の大半を押しつけて経済発展を享受する構図は、東京のために福島に原発を作ることと何ら変らわない。天皇、米軍、沖縄県警、ヤクザ、怪人、財界人、奄美人など…戦後の沖縄を作り上げた人々の、本土では知られざる「小文字」の物語を丹念にたどり、現代日本そのものを逆照射したベストセラー。

感想・レビュー・書評

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  • 瀬長亀次郎がアメリカの信頼に基づく道を模索していた方が意外だった。

  • 沖縄だれにも書かれたくなかった戦後史
    佐野眞一 集英社

    分厚くて重たい本
    表紙の写真が印象深い

    グローバリストによる傀儡政治が
    最も深く根差し長く続いているのが
    ニホンの本土であり
    更にこのニホン本土が虐げてきたのが
    沖縄であり
    沖縄が差別搾取してるのが
    奄美大島であるという
    第二次世界大戦では
    天皇の盾とされ尻尾とされてきたのが
    沖縄なのである
    読み込むほどに重たくなる内容に
    あっとうさr

  • 沖縄に住んでいたこともあるが沖縄に居るときに読みたかった。沖縄の戦後史を詳細に描いた作品。

  • 「沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史(上)」佐野真一著、集英社文庫、2011.07.25
    494p ¥780 C0195 (2020.08.17読了)(2016.01.18購入)(2012.06.06/5刷)
    題名を良く読まずに購入し、読み始めました。沖縄戦のことや米軍基地のことが書かれているものと、勝手に思い込んで読み始めました。
    期待した内容ではなかったのですが、これまで知らなかった沖縄の戦後について書いてあるので、興味深く読みました。

    【目次】
    文庫版のためのごく短いまえがき
    はじめに
    Ⅰ 天皇・米軍・沖縄県警
    「お約束」の島から「物語」の島へ
    歴史に翻弄された沖縄県警
    スパイ蠢く島
    米軍現金輸送車強盗事件
    エリート議員の失踪と怪死
    Ⅱ 沖縄アンダーグラウンド
    花街・映画・沖縄空手
    沖縄ヤクザのルーツ“戦果アギヤー”
    山口組の影
    沖縄旭琉会VS三代目旭琉会
    「ユートピア」組長狙撃事件
    あるヒットマンの独白
    密貿易の島―与那国
    空白の琉球弧―奄美群島
    伝説の義賊・清真島
    Ⅲ 沖縄の怪人・猛女・パワーエリート(その1)
    弾圧・拷問・右翼テロ
    第三の新聞・沖縄時報顛末記
    沖縄を通り過ぎた男たち
    ゴッドファーザー・國場幸太郎
    オリオンビール創業者・具志堅宗精
    沖縄のパワーエリート「金門クラブ」
    川平家四代の物語

    ☆関連図書(既読)
    「沖縄」比嘉春潮・霜多正次著、岩波新書、1963.01.25
    「琉球王朝記」童門冬二著、三笠書房、1992.10.31
    「琉球王国」高良倉吉著、岩波新書、1993.01.20
    「琉球の風 一」陳舜臣著、講談社、1992.09.24
    「琉球の風 二」陳舜臣著、講談社、1992.10.14
    「琉球の風 三」陳舜臣著、講談社、1992.11.05
    「沖縄ノート」大江健三郎著、岩波新書、1970.09.21
    「沖縄のこころ」大田昌秀著、岩波新書、1972.08.21
    「米軍と農民」阿波根昌鴻著、岩波新書、1973.08.20
    「命こそ宝」阿波根昌鴻著、岩波新書、1992.10.20
    「ひめゆりの塔をめぐる人々の手記」仲宗根政善著、角川文庫、1982.04.10
    「ひめゆりの沖縄戦」伊波園子著、岩波ジュニア新書、1992.06.19
    「海に沈んだ対馬丸-子どもたちの沖縄戦-」早乙女愛著、岩波ジュニア新書、2008.06.20
    (「BOOK」データベースより)amazon
    戦後日本は、沖縄を米国へ人身御供として差し出すことで、復興と繁栄を手に入れた。沖縄に米軍基地の大半を押しつけて経済発展を享受する構図は、東京のために福島に原発を作ることと何ら変らわない。天皇、米軍、沖縄県警、ヤクザ、怪人、財界人、奄美人など…戦後の沖縄を作り上げた人々の、本土では知られざる「小文字」の物語を丹念にたどり、現代日本そのものを逆照射したベストセラー。

  • ノンフィクション作家による、月間プレイボーイに連載されていたコラムに一部追加して文庫版化されたもの。取材を基に書かれているため、内容が細切れになっているが、それぞれのテーマについてよく調べられていると思う。沖縄の裏の部分の一端を理解することができる。
    著者に政治的な意図はないにしろ、やや狭史眼的な記述があり違和感を感じる点があった。

    沖縄経済を裏で支配しているのは軍用地主。p385
    過剰なまでの保護政策によって、沖縄が公共投資依存体質になってしまったことも、また厳然たる事実である。p403
    東シナ海のノド元に突き刺さった沖縄は、日本にとって依然、絶対に欠かせない軍事防衛上の要衝である反面、金ばかり食う厄介な南の楽園となっている。p403
    ライカムとは、在沖米軍を統括する琉球米軍司令部(Ryukyu Command=RYCOM)の略称。p467
    平和=共産党=悪魔という時代、平和と言っただけで、すぐに共産党だとやられる。p471

  • 著名なジャーナリストである佐野眞一が沖縄を余すことなく取材した結果をまとめた本。

     上巻では、①(昭和)天皇や米軍を巡る沖縄県警の動向、②沖縄ヤクザや密貿易といった沖縄におけるアングラ勢力の動向、そして③國場組といった沖縄経済四天王や米国留学組、などをまとめている。
     文献的な調査もさることながら、キーパーソンに対する詳細な取材が裏付けるリアルな沖縄が垣間見えてくる。
     沖縄に関わる場合、必読書。文句なしに5つ星。

  • タイトルに釣られて購入したが、「はじめに」での何とも鼻につく筆致と、約200ページを費やした沖縄ヤクザの話「沖縄アンダーグラウンド」には辟易した。『小文字』の歴史? すみません、意味が判りません(--) 下巻は買うことはないだろう。

  • 雑誌「月刊PLAYBOY」に「沖縄コンフィデンシャル」のタイトルで
    連載されていた記事が単行本として発行されたのだが、文庫版は
    東日本大震災を機に大幅加筆されている。

    先の大戦で唯一アメリカ軍との戦闘が行われ、多くの住民が犠牲と
    なり、戦後は長くアメリカの占領下に置かれ、本土復帰後もアメリカ
    軍の基地を押し付けられている沖縄。

    左派文化人が言う「被害者としての沖縄」ではない、もうひつの沖縄
    を掘り出すというのが趣旨らしい。

    でも、上巻はほとんど沖縄ヤクザのお話だった。映画「仁義なき戦い」
    シリーズや実録ヤクザ物は好きなので面白くはあるのだが、凄まじい
    抗争やリンチの様子はお腹いっぱい。

    沖縄に限らず、敗戦後の日本ではどこでも愚連隊などが跋扈していた
    のだから沖縄だけに限った問題でもないと思うのだけどね。それでも
    男性器の先端をペンチでねじ切るっていや~ん。途轍もなく痛そう。

    興味深かったのは沖縄内での差別の話だ。戦前戦中の本土では
    沖縄出身だと言うだけでの差別があったが、沖縄本島でも他の
    離党出身者への差別があった。

    沖縄に先駆けて日本復帰を果たした鹿児島・奄美群島出資者への
    差別も酷かったようだ。就ける職業も限られ、しかも賃金には大きな
    格差があった。

    差別された者は自分より弱い者に対して更なる差別をするとの連鎖
    なのかな。

    オリオンビールの創業者や沖縄最大のゼネコンの創業者など、「沖縄
    四天王」と呼ばれた経済界の大物や、沖縄県警の辿った軌跡なども
    綴られている。

    佐野氏のこれまでの著作同様、同じ言い回しの多用はくどいが当事者
    や当時を知る人々に多く取材しているのでエピソードはてんこ盛り。

    気になったのは沖縄戦を体験した大田昌秀元沖縄県知事へのインタ
    ビューのなかで出来たアメリカ軍のことだ。

    沖縄本島に上陸したアメリカ軍部隊のなかには沖縄の非戦闘員を救出
    する為の兵士がいたらしい。この辺りのことが書かれている作品はない
    かなぁ。詳しく知りたい。

    上巻後半から沖縄怪人伝のようになっているので下巻が楽しみ。ヤクザ
    の話もおおけれど、偉人・怪人はヤクザ以上に魅力的だもの。

  • 2011年刊行。

     戦後の沖縄社会の実像を多様な人物からのインタビュー等を軸に解説していく。
     裏社会、スパイ、米軍、沖縄内での奄美島人差別、米国管制下時代の密貿易、与那国島。暴力や売春をはじめ、本書では人間の暗黒面が渦巻いており、非常に生々しい。
     なんだかんだ言いながらも、アンダーグラウンダーをテーマにして叙述させると著者は生き生きしてくる。

  •  戦中戦後に国全体で負わなければいけなかった負担を、沖縄に押し付けてしまった。だから本土の人間として沖縄に謝りに行く、という姿勢で進歩的文化人などによって語られてきた沖縄。本土=加害者、沖縄=被害者。多くの日本人も、この認識をもとに沖縄を捉えてきた。でもすでに戦後70年。戦後沖縄がたどってきた長い歩みを、いまでもこの凝り固まった歴史認識をもとに見ても、本当の沖縄は見えてこないのではないか。

     といった問題提起から書かれた本。


     悪漢小説のように悪い奴、図太い奴がたくさんでてきる。法になんて従ってられない。生きるか死ぬか、体を張って生きている。被害者というイメージだと弱弱しい、枯れた花みたいで、ここに登場する沖縄人のイメージと合わない。向日葵かな? 違うな。皇帝ダリアかな。他を押し退けて、俺が!、俺が!とグングンくる感じ。


     戦後の密貿易での繁栄。富を蓄え頭角を表す財界人。ヤクザの抗争。革新勢力の拡大。警察の汚職。などなど。
     法に縛られず、生き方は自分で見つけ出す、という強い意志を感じる。


     沖縄本島と奄美の間に「離島差別」というものがあったことは初耳だった。本土から差別されてきた沖縄。差別される辛さを知っているから差別しないというのは、どうやら幻想のようで、蔑まされたら、その憤りを他に向ける。それが奄美などの離島だった。人間の悲しい性とでもいおうか。


     本のタイトルの「だれにも書かれたくなかった」という意味がよくわからない。猥雑でパワフルな沖縄戦後史だから? 
     
     沖縄をひとくくりにする現知事の発言のおかげで、県民性に興味をもって読み始めたのだが、けっしてひとくくりにできるような県民性じゃないことがわかっただけでも読んでよかった。

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著者プロフィール

1947年東京生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。編集者、業界紙勤務を経てノンフィクション作家となる。1997年、民俗学者宮本常一と渋沢敬三の生涯を描いた『旅する巨人』(文藝春秋)で第28回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。2009年、『甘粕正彦乱心の曠野』(新潮社)で第31回講談社ノンフィクション賞を受賞。

「2014年 『津波と原発』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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