プラハの春 上 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 80
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  • Amazon.co.jp ・本 (472ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087471731

作品紹介・あらすじ

1967年3月、プラハ。チェコスロバキアは共産主義の抑圧から脱し、経済改革と自由化への気運を高めつつあった。そのさなか、堀江亮介はビーナスのようなカテリーナ・グレーベと出会った。だが、亮介は日本国大使館員、カテリーナは東ドイツ人の反体制活動家。東西対立の最前線の地では、禁断の愛だった-現役外交官が自らの体験をもとに描いた、国際ラブ・ロマン。

感想・レビュー・書評

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  • 旅好きの友人が中欧がいちばんよかったとのこと、こちらの本を旅のお供にして号泣したという。
    チェコスロバキアの変革運動に関する、歴史上のことは丁寧に描かれており、じっくり何度か読み返す。ラブロマンスはちょっと醒めた目でさらっと読んだ。表紙の赤い薔薇については後半で理由が分かる。
    1968年8月21日未明、ソ連軍に制圧されるプラハの光景、その前後の市民の生活や恐怖、社会主義における市民活動に対する弾圧を魅力的な登場人物で描かれている。
    クラシックは万年入門レベルですが、作品内で主人公が聴いていた、ドボルザークの『ユーモレスク』、スメタナの『ブルタバ』、モーツアルト『クラリネット協奏曲』イ長調K622,イ長調K581 をBGMに。
    主人公堀江亮介の上司中沢大使は「すべての国際紛争は領土や資源の争奪をはじめとし、宗教、文化そして民族を原因とするものであり、外交官の任務は、それぞれの要因をよく理解すること」、「本国政府と任国の間に立って仲介役を務める外交官は、人間としての正義感と人類愛に基づいて行動すべき」という持論を語る。
    ヒロインの娘、シルビアに救われる想い。「赤いチェックのワンピースに白いストッキングと赤い靴。白いバスケット。ドイツ風の三つ編みおさげ髪に赤いリボン。」これは超可愛い子にしか似合わない。
    下は閉架図書だったようでやっと届きそう。

  • 歴史の部分が知識不足で、読むのに時間がかかりましたが、読み応えがありました。
    読了後には達成感。まだ下巻がありますが…。

    もっと世界史、社会主義についてお勉強したくなりました。

    恋愛の部分は男と女の恋の落ち方、その後の悩み方や気持ちの変化がとてもわかりやすく描かれていて、共感ポイントがたくさんあります。

    シュテンツェルの言葉が心にどしんと残る。
    「耐える勇気がない愛情は本物ではない。
    情欲を愛情と勘違いしておるだけのことよ」

  • 高評価。
    チェコの国民が自由を求めた運動『プラハの春』をからめた小説。
    ヒロインがあまりにも美人なので、そのロマンスがちょっと嘘っぽいけれど、時代の激動には合っている。
    作者が外交官なので、そこらもリアリティありそう

    検閲からの自由、商売の自由など、自分たちの国のありようを決めようとするチェコ。
    それを、チェコは自国の領土であるとみなすソ連からの圧力、最終的には武力侵攻。
    言葉で、デモで、説得で、無言の反抗と忍従で、ソ連の支配と戦う人々。

    では、今の日本は、こういう危機を感じるだろうか。
    人々は、そのときに自分たちの意思を表明するだろうか。
    ほんの30~40年前の出来事なんだよ。
    世界はまったく不穏で、他国と渡り合える政治家を持っていた彼らがうらやましい。

    主人公の堀江が日本人であることも影響したろうけど、他国の革命で、自国のことを考える。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「そこらもリアリティありそう」
      事実を、とっても上手く弄ってあって驚きでした。その後の話(「ベルリンの秋」「ウィーンの冬」)は読んでませんが...
      「そこらもリアリティありそう」
      事実を、とっても上手く弄ってあって驚きでした。その後の話(「ベルリンの秋」「ウィーンの冬」)は読んでませんが、面白いかな?
      2013/07/16
  • 当時の東欧の政治情勢がとても詳細に描かれいます。ただその反面、登場人物も多く、馴染みのない東欧系の名前ばかりなので、なかなか読むのに時間がかかりました。プラハは訪れてみたい街ということもあって読み始めたのですが、旅行気分に浸れるというよりも歴史の勉強になったという感じです。

  • チェコのプラハに旅行に行く時、飛行機の中で読んだ。この本を読むのと読まないのではプラハの見え方が全然違う。歴史についてもわかりやすく学べた。

  • 事実を基にしたフィクションらしいです。
    「プラハの春」って現代史でちょっと習ったくらいなのでよくわかりませんが、それでも当時の雰囲気が伝わってきて。
    まだ上巻しか読んでいませんが、下巻に向けて加速していく出来事。
    これは期待大です。

  • プラハ滞在中から読み始めた。
    裏表紙に、「自らの体験を元にした」ラブロマンという紹介があり、正直それにはドン引きしたが、プラハの街で起きた歴史を勉強するために読んでいます。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「プラハの街で起きた歴史」
      史実を上手く活用しているなぁ~と感心した(元外交官の作品に、偉そうなコトを書いちゃいました)。。。
      「プラハの街で起きた歴史」
      史実を上手く活用しているなぁ~と感心した(元外交官の作品に、偉そうなコトを書いちゃいました)。。。
      2013/02/08
  • 久しぶりに読み返した!
    プラハの春、ベルリンの秋、ウィーンの冬の中欧3部作
    いずれも分厚く読み応えのある国際恋愛小説(笑)

    プラハの春を最初に読んだ時の感動がよみがえる。

    少々、ロマンチック過ぎるきらいはあるが、著者の年代の
    特徴かと思えば…。

    三部作とも小説ではあるが東西冷戦、東欧の社会、
    ソ連邦の崩壊と現代史の勉強にもなる。

  • 実際の史実に基づいたストーリー。冷戦当時の東側諸国の支配関係が克明に表現されていて、歴史を知らなくても楽しめる。いや、私のように結末がわからない方がスリルを感じながら楽しめるかもしれない。
    人々の不安や刻一刻と迫るソ連の脅威がひしひしと伝わり、ページをめくる手が止まらないとはこのこと。国家の事態の進展にもハラハラするし、恋愛小説としても切なくなる想いを感じることもできる。
    非常に面白い小説でした。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「結末がわからない方が」
      結末って言うのは歴史的事実としてのってコトですよね。或る意味、「プラハの春」は忘却の彼方にある事象になってしまった...
      「結末がわからない方が」
      結末って言うのは歴史的事実としてのってコトですよね。或る意味、「プラハの春」は忘却の彼方にある事象になってしまったので、若い方にも判るようにと言う配慮からか、丁寧に説明されていましたね。
      2012/08/30
  • プラハ旅行のお供として購入。
    亮介とカテリーナの展開が気になる一方で政治的状況の説明が長く読むのに非常に時間がかかった。

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