メランコリア (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087472370

感想・レビュー・書評

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  • どうも合わない。
    すごく知性を感じるし、博識だと思うけど、
    こねくり回してて、本質的じゃない。
    「好きなのにある人と別れるというのは、結局自分に力がないということ」

  • ヤザキの欲望と無力感に関する発言が心に刺さった。哲学を学ぼうと思う。

  • エクスタシー」、「メランコリア」、「タナトス」の三部作の真ん中です。



    きっと小説のタイトルってそれなりに意味があって、内容に示唆的なんだと

    おもうけど、メランコリア=鬱。

    本の裏表紙あらすじにも、人間存在の奥底に疼く、「ゆううつ」と「癒し」の

    物語、とある。



    何が「ゆううつ」で、何が「癒し」なんんだろうか?

    物語の中にもこのキーワードは度々出てきますが、僕には理解出来ない。

    理解せずにとばして読んできた。

    この二つのキーワードが物語の中でどんな意味を持つのかを理解しないと、

    物語自体を理解したとは言えないのかもしれない。



    しかし、この小説は前作も同様だけど理詰めで理解しながら読めない。

    どちらかと言うと感覚的に読む、いや直感的に読む。

    「コックサッカー ブルース」のようなえげつない描写があるのかなと

    期待したけどエクスタシー同様にそれ程でもなかった。

    コックサッカーが感覚的ならこのシリーズは直感的。



    物語のフォーマットはこれまたエクスタシー同様に長い独自と動きのある

    展開だ。メランコリアではヤザキの独自にミチコとのメキシコ旅行。



    長い独自で思い出したのが、平井和正の「幻魔大戦」

    中3の時にアニメ映画化されて、和歌山の映画館へ観に行きました、面白かった。

    そして、小説も読みました。

    映画化されたのは全20巻の内、最初の3巻目まで。ほぼ忠実に映画化されていて、

    小説も面白かった。



    が、4巻目以降から内容は様変わりする。

    それまでは正体不明の「幻魔」に対し、世界中のエスパーが闘い地球を救うと言う

    SF小説。超能力大戦もダイナミックな描写で感覚的で面白い。

    が4巻目以降はその傾向が薄れる。たしか7巻だっと思うけど、主人公が生徒会立候補

    演説だけで、いわば独自だけで終わる。その前の6巻は仲間の応援演説と、おそらく

    幻魔らしい悪の化身の妨害が入る、確か。

    次の巻では3巻目までの様なエスパーバトルが繰り広げられるのだろうと期待しての

    まさかの独自のみ。8巻では幻魔により主人公の友達が高校生でありんがら子宮がんに

    おかされてしまう。幻魔の地球への攻撃はこれが最後、らしい。



    らしいと言うのは、もう独自ばかりでストーリー展開がほどんど無いので読むのが

    苦痛になり、全巻読破した姉貴に聞くと、3巻までの様なものを期待するなら読まない

    方がいい、と言われ10巻あたりで読むのを止めた。



    で、メランコリアですが1冊まるごと独自ではないですが、僕も大人になったんだろうか、

    エクスタシーに引続き、読了できた。

    その独自は、いったい話題はなんなんだ、ボールがあっちこっちに行く感じです。

    これが面白い。ボールを追っかけながら読む。

    きっと、追っかける事に必死でゆううつや癒しの意味がつかめないんだなと思う。



    ヤザキの幼少時代、飼い犬を捨てるくだりがあるのだが、ここが一番面白かった。

    なんと言うか、暗夜行路の序章を思い起こされる。ああ、これが「ゆううつ」なんだな

    とは思うけど、その先がない。



    それとエイズにホームレス、ジェファーソンだったっけ、トーマソンだったっけ、

    名前を失念したけど、彼のくだりはなんと言うか知的だ。僕自身のコアな部分を

    くすぐりかけてくる。

    ヤザキがメキシコ旅行に行くきっかけを与えるのは彼だし。

    ホームレスから足を洗わせるのも彼かもしれない、きっと彼だろう。

    彼が癒しなのかな?いやミチコが癒しなのかも?そんな単純なものではないと思うけどね。



    独自、すなわちインタビューが終わってからの物語としては後半戦は、

    エロくて面白い。インタビューの終わり方は小説の表現としてとても秀逸だと思う、

    おお、さすがプロの小説家だ、と読んでる時では無くて、すこしたってから思わされる。



    エロく面白くなってきたぞ!ってところで突然のジエンド。

    今回、電子書籍で読んだので、残りページ数が分からずに読んでいたので、唐突感は

    尚更だった。これ、紙書籍で読んでたらどんな感じだったろうか?

    そろそろ終焉に近づいているのに、なんだこの展開感は!?ってそれはそれで楽しめた

    と思う。



    多分、旅の続きは、次作「タナトス」へそのまま引き継がれる事はないだろう。

    もしかしたら、いやきっと、メランコリア終盤の旅の続き、旅自体すらタナトスでは

    出てこないだろう。予告編ではタナトスはレイコの独自がメインだからだ。

    ヤザキ、ケイコ、レイコの謎の関係が、最終章タナトスで明らかにされる!的なものも

    期待しない方がいいだろう。布石を打ってそれを回収するタイプの、そんなタイブも

    面白いけどね、そんなタイブの連作ではないから。



    メインテーマなのかもしれない「ゆううつ」と「癒し」、今はあまり理解できなかった

    けど、何回か読み返したら少しは分かるだろうか?

    前述のコックサッカーブルースも後半は読解が難しかった。

    が、前半読みたさで3回程読み直したら、分かってきた。

    この三部作も何回か読み返したら読解できるかもしれない。

    そして11巻目からの幻魔大戦も今ならよめるかもしれない。

  • 断片的に語りたいことをひたすら語らせて、それを物語にしてしまった作品。その姿勢が潔い。
    満足度6

  • 危険な匂いのするおじさんにホイホイついてったキャリアウーマン。性愛とか母性とか知的好奇心とかマゾヒズムとか、そういうあらゆる欲望に勝てなくて、ホイホイついてっちゃった。ついてったら、やっぱヤバかった。おじさん怖い人だった。

  • セックス描写がど~のこ~のじゃなくて。ロマンが描かれているんです。

  • 文字がびっしり。
    村上龍の世界観は堪能できます。
    でも、私は疲れました。

  • 学生時代から村上龍にはまっていた。
    内容はほとんど覚えていない。
    記憶力の頼りなさを感じさせられる。 111009

  • 三部作の中で一番微妙。失速してる。そもそもヤザキを掘り下げる必要があったのかどうかも謎。

  • 「タナトス」の方は読んでいて、三部作のなかのもう一つの作品。
    こちらは、主な登場人物3人のうち、男「ヤザキ」にスポットをあてた作品。
    二冊目を読んでみて、3つ読んでパズルのように完成する作品だって言うことに初めて気づく。

    実際、SMを描くことで人間関係を浮き彫りにする作品であり、「関係」というのは一つの、一人の視点だけでは語れないという事なのだろう。

    最初から最後まで、徹底して独白文で語られ、麻薬や性的なテーマも絡まって異常な告白に引き込まれていく感覚は、小説を超えて実験的だと思う。

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著者プロフィール

一九五二年、長崎県佐世保市生まれ。 武蔵野美術大学中退。大学在学中の七六年に「限りなく透明に近いブルー」で群像新人文学賞、芥川賞を受賞。八一年に『コインロッカー・ベイビーズ』で野間文芸新人賞、九八年に『イン ザ・ミソスープ』で読売文学賞、二〇〇〇年に『共生虫』で谷崎潤一郎賞、〇五年に『半島を出よ』で野間文芸賞、毎日出版文化賞を受賞。経済トーク番組「カンブリア宮殿」(テレビ東京)のインタビュアーもつとめる。

「2020年 『すべての男は消耗品である。 最終巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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