- Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087474633
感想・レビュー・書評
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深川の男女の恋物語短編6編。
深川の地域を舞台に、それぞれ切なかったり悲しかったり、微笑ましかったりの六つのお話。
宇江佐真理さんが編むお話は、いつも素敵だ。
江戸弁なら「イッチ素敵!」とか「乙粋!」とでもいうのかしら?
主人公たちは、思うに任せない恋心を通して、大人になってゆく。苦悩も織り交ぜながらも、決して醜悪にならないお話の作り方は宇江佐さんならでは!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
時代小説というものを避けてたというか読まず嫌いな所があった。でも、今年の初めに読んだ西條奈加さんの『雨上がり月霞む夜』ですっかりハマりました。そして、宇江佐真理さんという素晴らしい時代小説家がいると聞き、本著を手に取りました。江戸・深川の市井の人々を描いた物語で、人を愛する気持ちや切なさ、やるせなさなどスーッと入ってきて、めっきり涙腺ゆるゆるの私は何度も涙を拭いました。特に「さびしい水音」が切なすぎるけど好みかな。
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短編集
切ないお話もあるが、温かくて救いがある。そこが宇江佐さんの好きなところ。
気っ風のいい台詞まわしもいいな。 -
小説すばる1998年1月号:下駄屋おけい、4月号:狐拳、7月号:凧凧揚がれ、10月号:がたくり橋は渡らない、1999年1月号:さびしい水音、4月号:仙台堀、の6つの短編を1999年9月集英社から刊行。2000年に第21回吉川英治文学新人賞受賞。2002年7月集英社文庫化。再読。デビューから5年め辺りの作品で、いずれも素晴らしい深川ものばかり。
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宇江佐さん初読み。なんか不思議な感覚。すーっと流れていく。もう少し引っかかるものがあってもいいかも。 好みは、「がたくり橋は渡らない」「さびしい水音」「仙台堀」。
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初の作家さん。時代恋愛小説。時代小説は、前回の猫の手屋シリーズから2冊目。恋愛小説は、記憶の限り初か…な? イニシエーションラブも、基本的にラブストーリーだけど、個人的にはどっちかっていうと「どんでん返しを確認するために読んだミステリー」という認識で読みました。純粋に読んだ恋愛小説としては初かなあ、多分。
中学生時代、ティーンズハートから出てたものも結構読み漁ったけど(勿論恋愛)、大人になってからは、逆に恋愛は手を付けていなかったのです。
だからそういった意味で、恋愛小説、しかも読み慣れない時代物、というのは新鮮でした。
連作短編集なのだけど、初述のとおり初の作家さんなので、最初の一話目・下駄屋おけいを読んで、ハッピーエンドを目指す作家さんなのだな、と一話を読んだだけで勝手に当たりを付けて読み進めていたけれど、その浅はかな考えは、すぐに打ち砕かれました。ま、一話読んだだけで分かった気になった自分もどうかと改めて思うけれど。
どれも良かったけど、特にのめり込んで読んだのは、「仙台堀」。
2人の女性に挟まれた久助どうするの、どうなるの、と思いながら読み進めました。結末は、未読の人のために伏せますが、久助の性格考えたら、そうだよね、ととりあえず納得しました。
最後の「狐拳」も一波乱あったけど、丸く治まって良かったあ。「がたくり橋は渡らない」「さびしい水音」「凧、凧、揚がれ」「仙台堀」と切ない話が続いて、歯痒かったりもしてたので、最後の「狐拳」でほっとしました。
現代でも、「身近にいそう、こういう人」というような人物しか出てこないので、余計感情移入しやすいかもしれないです。だけど現代人とはどこか違う雰囲気も漂っているのも、江戸時代という設定のなせる業なのでしょうか。
江戸の日常を切り取った6つの恋物語は、じんわりと心に残ります。 -
切ない。
登場人物がみんな暖かい。
けど、切ない話ばかり。 -
大店のお嬢さんがお仕着せの人生を捨て、
真に愛する人と共に生きようとする姿が
清清しい「下駄屋おけい」、
互いを想う気持ちがすれ違っていく夫婦の
やりきれなさが胸に迫る「さびしい水音」ほか
6つの切ない恋物語。