- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087477443
作品紹介・あらすじ
欲しいものは欲しい、結婚3回目、自称鮫科の女「るり子」。仕事も恋にものめりこめないクールな理屈屋「萌」。性格も考え方も正反対だけど二人は親友同士、幼なじみの27歳。この対照的な二人が恋と友情を通してそれぞれに模索する"幸せ"のかたちとは-。女の本音と日常をリアルに写して痛快、貪欲にひたむきに生きる姿が爽快。圧倒的な共感を集めた直木賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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軽快に書かれているけれど、何か真理をついてくるような恋愛小説、かな。
27歳の二人の女性は、5歳からの付き合い。美人で強欲なるり子、自由に生きる為の3回目の結婚。きちんと自分で生きたい、自分さえ信じられない萌。とうてい合わないそうな二人だけれど、どこか依存し合う。
対象的な二人の恋愛。
るり子に語らせる、女として生きる人生観が、激しい。わがままを通す方が、我慢するより難しい。聞き分けの良い女は、癖者。なるほど。耳が痛いところ。
そこに、新宿2丁目界隈の男性陣が、彼らの性別関係ない恋愛観を語ってくる。真理をついてくる。
るり子は、最後まで自分を貫き、彼女の美学を認めさせてしまう。
直木賞としては、カジュアルな感じはするけれど、
自分の幸せを追う痛快さがありました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2004年(発出2001年) 331ページ
第126回直木賞受賞作です。
著者の唯川恵さんは、若い頃にコバルト文庫で作家買いしていた小説家です。やさしい雰囲気の恋愛小説が大好きで新刊が出ると買っていた記憶があります。小説をめったに読まなくなっていた時期に直木賞受賞のニュースを見て、ジュニア向けから大人の小説へシフトしてたんだなあ、と思いました。久々の唯川恵さんでしたが、読みやすさは変わらず、軽快なテンポで物語が進んでいきました。
対照的な2人の女性、るり子と萌は5歳の頃からの腐れ縁。るり子はまさに『女の敵』という表現がピッタリの女性。わがままで強欲。自分の欲しいものは手に入れないと気が済まない。『女』という自分の武器を最大限に駆使して他の女から奪った男は数知れず。対する萌は、普通に常識的な女性。
しかし、るり子の3回目となる結婚相手の男性はなんと萌の元カレ。その3回目のるり子の結婚式のシーンから物語はスタートします。
私は萌タイプなので、るり子には最初反感を抱きました。萌の視点に立ち、るり子を腹立たしく思いました。しかし、あまりにもるり子が一貫性のある突き抜けた性格だったので、最後の方はるり子に好感を抱いてしまったほどです。るり子にも共感できる部分はあります。こと恋愛に関しては、好きな相手に可愛く思われたい、家庭的なふりしたり、一生懸命おしゃれして相手に気に入られようと努力するのは一緒だな、と過去の自分を振り返りました。痛い。一方の萌の方は、なんかわかりにくいと思ってしまいました。他人も自分も信頼できない萌に思うところは、いくら幼なじみでも、彼氏を盗られたら絶縁するでしょ!
で、最後の萌の決断がぶっ飛んでいるが、おいおい、ちゃんと高校生に避妊を教えてあげなさい、とツッコミたくなったのでした。
対比されている2人の生きざまと読後感のよい結び方。2人とも強い女性でしたね。おもしろいお話でした。
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読み友さんの絶賛高評価がなかったら、序盤で本を放り出してしたかもしれない。
女を「ウリ」にして生きている、るり子。女の風上にもおけないo(`ω´ )o
一方の萌は、るり子と正反対の女性として設定されているけど同類では⁈ 「寝た男」を共有するなんて、下品極まりない。それでも親友というのか⁈ と、ムカつき、本当に直木賞受賞作品⁈と、疑った。
が、読み進めていくと、女性の人生観、価値観を見直す展開が待ち受けていた。女は自分の年表を持っている、と聞いたことがある。どんどん前に進む勇気に乾杯! -
るり子のキャラクターがたまらない。
解説で江國香織さんが言及しているように、女のダンディズムを貫いている。
女の子に人気があって、男の子に全然モテない女の子が、世の中でいちばん不幸なの
女が得に決まってるじゃない。生まれ変わっても、私は絶対女だわ。女でなきゃ、生きてる意味がない
絶対になれないものに、無欲の人間がある。そんなのになったら、自分は死んだも同然だ。
こんなぶっ飛んだ女に嫌われる女、るり子に彼氏を横取りされても親友で居続ける、萌の女っぷりもまた見どころだ。
最後の展開はこの2人だからこそ描ける未来かもしれない。
I love these strong women.
I hope they get their happiness in the future even though it will not be an ordinary shape. -
恋愛小説だけどそれだけじゃない!!
性格が真反対な萌とるり子の生き様がすごい好き!女だからなんだって強く生きたい気持ちと女ということを武器に生きてやろうって気持ち、どちらにも傾くことがあるから、この2人をみているとどっちだって間違いじゃないんだって思える!
女であるという時点で既に共犯者。みんな仲間でみんな敵。みんな欲望に忠実でそれはつまり何も欲してない。生きるっておもろいやんっ!って思える作品だった。一気読み間違いなし! -
著者、唯川恵さん、どのような方かというと、ウィキペディアには、次のように書かれています。
唯川 恵(ゆいかわ けい、1955年2月1日 - )は、日本の小説家である。本名は宮武泰子。
で、今回手にした作品、『肩ごしの恋人』の内容は、次のとおり。(コピペです)
欲しいものは欲しい、結婚3回目、自称鮫科の女「るり子」。仕事も恋にものめりこめないクールな理屈屋「萌」。性格も考え方も正反対だけど二人は親友同士、幼なじみの27歳。この対照的な二人が恋と友情を通してそれぞれに模索する"幸せ"のかたちとは-。女の本音と日常をリアルに写して痛快、貪欲にひたむきに生きる姿が爽快。圧倒的な共感を集めた直木賞受賞作。
この作品は、恋愛小説になると思います。
恋愛小説はあまり読んだことがありませんが、時には読むのも良いかなと思い始めました。
最近は、複雑な展開のミステリーにはついていけず、ミステリー読者を引退しようかと思っているところ。
そのかわりと言っては何ですが、恋愛小説は良いかもしれません。
●2022年12月15日、追記。
著者は、山本文緒さんと親交があったようだ。
ともに、軽井沢町に居住していた、とのこと。
また、ともに、直木賞を受賞をされているとのこと。 -
るり子や萌のようなドラマちっく?な女っているのかなぁ?私の周りにいないように思うけど。
だけど微妙な年頃のるり子と萌が悩んだり怒ったり不安になったり…そんな気持ちは理解できる。なまじ経験を積んでから生きる道を決めるのは難しいのかもしれない。
人生には勢いって事も必要なのかも。 -
久しぶりに納得出来る直木賞受賞作品に出会った気がした。
萌もるり子もたくましいなー -
途中まで登場人物の誰も好きになれなくて、
不愉快というかなんというか
なんとも言えない気持ちで読んだ。
読み終わったらみんな嫌いじゃなくなってた。
不思議。