流塵 神尾シリーズ4 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 88
感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087484618

作品紹介・あらすじ

ボクシングの師・長坂の依頼を受けた神尾修二は、謎の失踪を遂げたウィグル人ボクサーのジューを追って、中国・新疆ウィグル自治区の町・カシュガルへ着いた。偶然知り合った元北京大学生の陳を案内役としてジューの探索を始める。さまざまな妨害を乗り越え、やっとジューの居所を突きとめるが…。好評シリーズ第四弾。

感想・レビュー・書評

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  • 神尾 4/6

  • 「地獄にまで、ついてくるのか、おまえ」
    ラストの一言に心臓鷲掴み・・・!!

    また日本じゃないです。
    舞台は中国からウィグルへと向かう奥地。
    神尾が「とりあえず」なんていうほど、先の見通しも立たない仕事始めでした。
    ボクシングの師である長坂からの依頼で、ウィグル人のジューを探しにきた。そして連れ戻す。
    その仕事のために、神尾はまた眠れない夜が増える・・・

    なーんて、暗い神尾は置いといて!(主人公なのに・・・
    秋野は秋月くんにむちゅー☆
    上記のセリフは、自分でも死んだと思った神尾が秋月の顔を見たときのもの。
    ついていきますとも!!
    弁護士で英語スペイン語フランス語中国語も話せて司法試験に通ったお祝いにパパにフェラーリを買ってもらった男!
    この二年で半端なく強くなっちゃった男・秋月!
    それは自分のせいだって、気付いているのかしら神尾!
    秋月くんの登場はすごく少ない。
    だけど、神尾に信じられて、頼りにされる男になった秋月くん。
    これが惚れずにいられようか!

    神尾は強い男と見えて、本当は誰より弱いのではないかと思う。
    弱いだけ、誰より強い。
    それが、悲しい気持ちにさせる。
    カシュガルという地に着いて、右も左も言葉もわからない神尾に声を掛けてきた中国人の陳。
    一度は持っていた志を折られ、頭が良いだけに卑屈になっていた男。
    神尾は出会ったころの秋月を思い出す陳に仕事を持ちかけ、一緒に動くうちにもう一度陳に志と男を取り戻させる。
    神尾は相手を突き放すような言葉を選ぶけれど、誰よりその相手を強くしたいと思っているのだ。
    そして、強くなった相手を好きになり、先に旅立たれることに涙を流さず悲しむ。
    こうして、神尾はまた夜が辛くなってしまうのだ。
    陳の最後、神尾が欲しがった煙草をあげるシーンは淡々と書かれているようで、ぐっと秋野の心を掴んで離さない。
    神尾の夜と一緒に、秋野の夜も長くなりそうです。

  • 2008年6月

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著者プロフィール

北方謙三

一九四七年、佐賀県唐津市に生まれる。七三年、中央大学法学部を卒業。八一年、ハードボイルド小説『弔鐘はるかなり』で注目を集め、八三年『眠りなき夜』で吉川英治文学新人賞、八五年『渇きの街』で日本推理作家協会賞を受賞。八九年『武王の門』で歴史小説にも進出、九一年に『破軍の星』で柴田錬三郎賞、二〇〇四年に『楊家将』で吉川英治文学賞など数々の受賞を誇る。一三年に紫綬褒章受章、一六年に「大水滸伝」シリーズ(全五十一巻)で菊池寛賞を受賞した。二〇年、旭日小綬章受章。『悪党の裔』『道誉なり』『絶海にあらず』『魂の沃野』など著書多数。

「2022年 『楠木正成(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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