ホテル探偵ストライカー (世界の名探偵コレクション10) (集英社文庫)
- 集英社 (1997年5月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087485646
感想・レビュー・書評
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集英社文庫の世界の名探偵コレクション9。ウィリアム・アイリッシュ名義で発表された『幻の女』『裏窓』が有名。
「九一三号室の謎 自殺室」「九一三号室の謎 殺人室」「裏窓」「ガラスの目玉」「シンデレラとギャング」を収録。
これは全作品とも面白かった!ストライカーの執念の推理が実を結ぶ「九一三号室」の前後編、映画の原作「裏窓」、少年が活躍する「ガラスの目玉」。どれも個性的。少女が巻き込まれる「シンデレラとギャング」は特にお気に入りで、一見ギャグにしかみえない勘違いのオンパレードから、徐々にシリアスな展開になっていくところに引き込まれた。見事なタイトル回収も素敵。親分(ボス)(1957)というタイトルで映画にもなっているそうだけど、現在見る手段はなさそうで残念。っていうか、ストライカー関係ないやんけ。出演してるのは「九一三号室」だけ、そもそもホテル専属の探偵って……?。自分は知らなかったが知名度的にはどうなんだろう?ミステリー門外漢の自分でも聞いたことのある『幻の女』、ヒッチコックの映画で有名な『裏窓』などのことも考えると、名探偵をピックアップした本シリーズではあるが本書に限っては、探偵ストライカーというよりも作家コーネル・ウールリッチ=ウィリアム・アイリッシュを紹介する性格が強い一冊だったといえる。
ごちゃごちゃと書きましたが、こんな面白い作家がいるとは、嬉しい発見、収穫でした!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
久しぶりに再読。
表題作他、『裏窓』『ガラスの目玉』『シンデレラとギャング』収録。
表題作は今だったら問題になりそうな捜査手法を取ったり、犯人の動機だったり、そもそもホテル探偵という存在自体が時代。これでOKだったんだよね。
『裏窓』は言わずと知れたのヒッチコック映画の原作。短くてキリッと締まって、なお孤独。
残り2作はジュブナイル。
主人公の子供が大人の世界の厳しさを覗いてしまう。
実はウールリッチ(=ウィリアム・アイリッシュ)はこの短編集しか読んでいないんだけど、そろそろ高名なあれを読むべきかw -
阿津川辰海さんが紹介していたので。
ホテルの913号室に宿泊すると、人が飛び降り自殺する
。すぐに駆けつけても部屋はもぬけの殻で、遺書があって…
設定も興味をそそるし、著者は別名義で「幻の女」を書いていた。なんと超有名人ではないか。
他の収録作も面白く読めた。 -
「913号室の謎自殺室」Mystery in Room913
「913号室の謎殺人室」
聖アンセルム・ホテルづきの探偵ストライカー(The House Dick Streiker)の推理。913号室に泊まった客が窓から飛び降り自殺した。ストライカーは他殺ではと睨んだが刑事は自殺でかたづけた。ほどなくしてまた同じ913号室から飛び降り自殺が。ストライカーは自身が客になって真相をさぐる。このアンセルム・ホテルはウールリッチ自身が半生を過ごしたホテル・マルセイユを下敷きに描かれている。
「裏窓」Rear Window
ヒッチコックで映画化された。裏窓で向かいの窓をみやる男は長身痩躯となっているので、映画のジェームズ・スチュアートは合っているといえる。
「ガラスの目玉」Through a Dead Mans Eye
降格になってしまった刑事の父。難しいサツジンジケンを解決すれば、まと元に戻れるかもしれないと言う。ぼくは取り換えっこごっこでガラスの目玉を手に入れた。これはあやしいと睨んでこの義眼の主を探し出すが・・
「シンデレラとギャング」Cinderella and the Mob
まちがい電話でギャングの女と勘違いされた高校生のペニー。成り行きからギャングの使いをすることになるが・・
ガラスの目玉、シンデレラとギャングは少年と少女が大活躍をし事件?が解決する。おとぎ話のような進展だが、話の進みはおもしろい、えい、うまくいってくれ、と応援している。シンデレラとギャングではギャングの隠語がアイスはダイヤモンド、レタスは現金だが、高校生のペニー(シンデレラ)が意味をしらずに交わす会話がおもしろい。
1997.5.25第1刷 図書館 -
こんな探偵は知らなかった。解決に数年かかるミステリーもちょっと珍しいけど。
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未読