いつか浦島 (集英社文庫)

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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087487763

感想・レビュー・書評

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  • しみじみと余韻が残る。

  • 集英社文庫『いつか浦島』読了。志水辰夫の短編集。全5編の収録で、いずれも若い男から見た男女の世界のいろいろを描くが、後味もいろいろで飽きない。主人公の男達はいずれもシミタツ系で真正面から突き進むタイプ。それに対して相手の女性はある意味理想的で男達を包み込む度量を備えている。

    表題作は母親の入院で故郷を訪れた主人公が、病院で見かけた女性に一目惚れしてアプローチするが、相手はなぜか躊躇っている様子。何かあるのかと雇い主の叔父に相談するが・・・。結局周囲の気配りよりも真摯な主人公の態度が勝利を勝ち取る決め手だったというお話。

    『君にかぐや姫』はバブルが終わって失業した元不動産セールスマンが、故郷に戻って海外ボランティアをしている女性と出会うお話。出会いをきっかけにやり直そうとする主人公に女性が残したものは・・・。爽やかな後味の佳作。

    『身ぐるみシンデレラ』は大分からのフェリーで金持ちらしい素敵な女性と知り合った主人公が、女性を助けようとして犯罪に巻き込まれる話。ヒロインの由紀が可愛く、犯人達もティピカルなダメ犯罪者で、全編通してユーモラスな犯罪ものなので楽しく読める。

    『プレーオフ』はゴルフ練習場のアシスタントが師匠から女子大生のレッスンを任される。女子大生に惹かれるも、振り切ってプロテストに合格した主人公が何もやる気をなくしていると、師匠からは寺へ籠れと言われ・・・。爆笑必至のユーモア恋愛小説。

    『虹物語』はエリートサラリーマンが一目惚れした女性は、町田近くの片田舎に住む朴訥な女性だった、筈なのだが・・・。この短編集の中では一番不条理でショッキングで話。ある意味現代社会の病理を真正面から描いているとも言える。夢野久作の作品を彷彿とさせる。

  • 読み始めて思い出した
    改題されては…

  • 2007/12/14 Amazonにて購入。
    2008/2/19に読もうとしたら、なんと虹物語の改題品であった。
    やっぱり買い逃していたわけではなかったんだなぁ。

  • 時間があれば。

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著者プロフィール

1936年、高知県生まれ。雑誌のライターなどを経て、81年『飢えて狼』で小説家デビュー。86年『背いて故郷』で日本推理作家協会賞、91年『行きずりの街』で日本冒険小説協会大賞、2001年『きのうの空』で柴田錬三郎賞を受賞。2007年、初の時代小説『青に候』刊行、以降、『みのたけの春』(2008年 集英社)『つばくろ越え』(2009年 新潮社)『引かれ者でござい蓬莱屋帳外控』(2010年 新潮社)『夜去り川』(2011年 文藝春秋)『待ち伏せ街道 蓬莱屋帳外控』(2011年新潮社)と時代小説の刊行が続く。

「2019年 『疾れ、新蔵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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