- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087495669
作品紹介・あらすじ
舞台は新宿裏通りのバー街。「ルヰ」のバーテンダー仙田を主人公に、彼の前を通り過ぎて行く、いろいろな男と女の哀歓漂う人間模様を描き出す連作。直木賞受賞の表題作をはじめ、「おさせ伝説」「ふたり」「新宿の名人」など八篇を収録。
感想・レビュー・書評
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半村良といえば「戦国自衛隊」だけど、まずは、1975年直木賞作品。
半村良といえば、SF。若かりし頃、何作か続けて読んだ記憶。「雨やどり」は、夜の新宿を舞台にした艶っぽい人情小説。
新宿のバーでバーテンから人脈を築き、店を持った男仙田を主人公とした連作短編8編。
「おさせ伝説」のみにSFっぽさが仕込まれている。
「雨やどり」が直木賞受賞。
決まった女性を作らなかった仙田が、店を持ちマンションを買い、さてこれからという時に 彼のマンションで雨やどりをしていた女とのあれこれ。
情は深いけど後腐れもない新宿の粋な男の生き方。
夜の新宿のことは、今も昔も知らないけれど、カラオケなるものが世に出る前の世界観なのでしょうか。
ペンネームが、イーデスハンソンからっていうのは、誰かのイタズラみたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
1974年の直木賞受賞作を含む連作短編集。新宿のバーテンダーが主人公。知りもしないのに1970年代の新宿歓楽街に想いを馳せてしまう。
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新宿歌舞伎町の夜の世界を、連作短編で描く。
1990年に文庫化されているので、古き良き時代?
人情や仲間意識が強く、何かあると皆が集まる。
バーのオーナーやバーテンダー、ホステス。
みんな何かと訳ありである。
そんな一昔前の夜の世界を垣間見ることができる。
2019.10.10 -
バーテンの仙田を主人公に新宿の夜の世界に生きる人々の人情話による短編連作。プロに対してこういう言い方は大変失礼なのだが、本当に小説が上手い作家だなぁというのが率直な感想。文章に安心感、落ち着きのようなものがあり、それがまた描かれる夜の世界の人間模様にぴったり合っている。作者は作家になるまでバーテンを含めいろんな職業を経験されたそうだが、この小説はその経験の中で常にアンテナを張り人間観察を続けた賜物ではないだろうか。
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直木賞作品の表題作を含む8編の連絡短編集。第1話の「おさせ伝説」を読むと、さすが「戦国自衛隊」の作者だけあってSF的作品が連なるのかと思いきや、残りは昭和の古き良き新宿を舞台にした酒と人情の世界を描いた作品ばかり。
どの短編にも登場するのがベテランバーテンの仙田。彼が主人公や狂言回しとなり、様々な新宿の夜の顔を紹介する。
ちなみに、作者曰くバーやクラブ、キャバレー、スナックに違いはないとのこと。その店が名乗れば、それはバーとなり、スナックとなる。こうした境界のない混沌した世界を、住民たちは堪能する。 -
新宿をバーを舞台に展開する物語。
短編集だが、けっこうそれぞれにつながりがあったりする。 -
『新宿馬鹿物語』
おさせ伝説
ふたり
新宿の名人
新宿の男
かえり唄
雨やどり
昔ごっこ
愚者の街 -
この本、何冊かったかわらない。ふらりと入ったときわ書房で平積みされていたから思わず購入。何回読んでもこの世界観いいなぁ。
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新宿。Bar。男女の間で揺れ動く心の機微。
都会の喧騒の中で、実は人情深い登場人物たち。
飲食提供店の内部事情も見え隠れしていて、興味深い。
この作品が直木賞を受賞したのは、40年以上前だが、今も尚、面白い。
舞台となっている1970年代の新宿。
その人情風情が、現在も残っていることを願う。