遠き落日 上 (集英社文庫)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087495768

感想・レビュー・書評

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  • 小飼弾推薦。野口英世の悪行と?ムダな努力(しかし人類には必要だった無駄足)が描かれている。こう考えると「無意味な人生」などないということがわかる。

  • 野口英世の伝記
    幼き頃の火傷で左手が不具に。しかし、その不遇の境遇をバネに勉学に勤しみ単身私費で渡米し幾多の苦労を乗り越え大学助手までに至る。

    千円札の偉い人程度しか知らなかった。
    勉学、語学、忍耐力が人並み外れて優秀だった一方で、金遣いが荒くエゴイストであり、友人には是非ともなりたくないような人物だった。

    千円札にもなる人はさぞかし立派な御仁であろうと思っていたところのギャップがあり面白い。

  • 野口英世の半生が、リアルに綴られ、決して伝記で取り上げられるような良い面だけではなく、だらし無く、偏った人物像が浮き彫りにされる。どこまでも人間染みていて、しかし、鬼のような努力とそれを経て結果を出していく才能、物怖じせぬ行動力からは、読んでいて勇気や力を与えてくれる。勉強に集中し続けるのは、中々できることじゃない。でも、それをやり遂げる人間が一事を成すのだろう。良いインスピレーションをくれるノンフィクションである。

  • 非常に面白く、すぐに読み終えた。
    どの方のレビューにもあるように、こんなにとんでもない人がなぜ日本のお札にいるのか?と疑問である。
    野口はまわりの人に恵まれた上、まわりの人の援助した結果を自身の努力で裏切らない。この点は立派だ。
    著書の野口英世の分析が医師的であるため、妙に納得してしまった。
    渡邉氏の本を読んだことはなかったが、今後も渡邉氏の書いた伝記も読んでみたいと思う。

  • 小さな頃に読んだので内容あまり覚えてないですが。。 先日渡辺さんが亡くなられて失楽園と同じ作者だと知りました。色々書かれているんですねー…、他の作品も読んでみよう。。

  • 良くも悪くも野口英世の人物像の印象を変えられた一冊だった。教えられてきた野口英世は美談ばかりだったが、この本を読んだ後では努力はものすごいが金遣いの荒く、偏屈屋であるイメージしかない。ただしそれでも野口が当時の日本人医者の業績としては目を見張るものがあり、葛藤に常に打ち勝っていた力強さを感じられた。

  • 「私にはわからない。」と言葉を残し,黄熱病に倒れた野口博士の生涯を綴った小説。なりふり構わぬ努力で勝ち得た細菌学上の偉業を知るとともに,成功に基づく思い込みや自信の恐ろしさを考えさせられる。過去に読んだ伝記よりも,人間味あふれる博士の姿が描かれている。しかし金銭感覚については,私はわかりたくない…。

    *推薦者(農教)K.N
    *所蔵情報 https://opac.lib.utsunomiya-u.ac.jp/webopac/catdbl.do?pkey=BB00328494&initFlg=_RESULT_SET_NOTBIB

  • 野口英世の伝記小説です。

    一般的に野口英世のイメージは清貧で努力家。幼い頃の火傷により、左手が不具になったが、一生懸命勉強し、ハンディキャップを克服したという、二宮金次郎的な印象が強いと思います。

    この本を読んでそんなイメージとのギャップにびっくりした。

    エゴイスティックで周囲の人間から借金をし、しかもそれを踏み倒す。
    人としてどうかと思うような一面をもった野口英世像に衝撃を受けました。

    ただ、性格がどうであれ、貧乏な産まれから必死に勉強し、海外留学をして、偉業を達成する。そのバイタリティは尊敬に価します。

    下巻が楽しみです。

  • 数多い野口英世の伝記の一つ。ありのままの英世を包み隠さず描写した本書の内容は、子供のころに読み、思い描いた英世像とはあまりにもかけ離れすぎていてショッキングではありますが、その意味で、対象を偶像化し物語を美化しすぎるきらいのある伝記もの一般とは一線を画していると思われます。人間くさくてどこか憎めない英世の人物像、彼の辿った足あとが示す彼自身の人生の浮沈がありありと伝わってきます。個人的にはR15ぐらいの作品ではないかと思います。

  • 小学校の本棚にあった偉人の伝記シリーズ。児童向けの伝記に書かれている野口英世は、貧困に耐え、左手の火傷によるハンディキャップに打ち勝ち、勤勉で、最後は志半ばにして黄熱病で倒れる。といった美しい描写だった。『遠き落日』に書かれている英世は確かに上のとおりだが、同時に千円札に載るような人物なのか?と疑問を持つほど素行に問題のある人物でもあった姿が書かれている。左手のハンディ、幼いころの極貧生活など様々な要因から英世が持った強いコンプレックス、そのコンプレックスからなる強烈な個性。今までの野口英世のイメージが変わった本。

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著者プロフィール

1933年北海道生まれ。札幌医科大学卒。1970年『光と影』で直木賞。80年『遠き落日』『長崎ロシア遊女館』で吉川英治文学賞受賞。2003年には菊池寛賞を受賞。著書は『失楽園』『鈍感力』など多数。2014年没。

「2021年 『いのちを守る 医療時代小説傑作選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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