いちご同盟 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
3.54
  • (311)
  • (459)
  • (790)
  • (117)
  • (26)
本棚登録 : 5192
感想 : 541
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087497571

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」が好きだったことをきっかけに読みました。この本を読んでから、この曲を聴くといつも良一と直美を思い出します。

    わたしもピアノを割と真剣に習っていたので、良一の表現力が一皮剥けていく感覚に、自分の経験を重ねたりもしました。

    初めて読んだときから6年が経ちましたが、何度読んでも、どうしてだか分からないけど涙が出てきます。この気持ちは何なんだろうか…。

  • やむいもに薦められて読んだ一冊。
    非常に良い小説。感動した。

    ◆青春小説
    直美と良一、徹也の関係がむず痒いような、少し痛いような、でもほんのり甘い部分のある青春小説である。良一、徹也の二人ともが直美に強い想いを寄せており、直美も二人に対して想いを寄せている。良一、徹也の関係は恋敵のようでもあり、同じ気持ちを共有する親友のようでもある。一言で形容しがたいこの関係を徹也は「おれたちは十五歳だから、一五(いちご)同盟だ。」と定義した。

    ◆死生観
    この小説の根底にあるテーマは、「何のために生きているのだろうか」ということがある。このテーマは、答えのない問いかけの一つである。直美の生命が失われていく中、直美・良一・徹也(直美の父母・その他の人々もそうだろう)は痛切にこの問いかけにさらされる。直美の生は何だったのだろうか、自分の生はなんなのだろうか、と。

    ◆秀逸な描写
    とても描写が秀逸で物語の世界にすっと溶け込んでいける。徹也の野球の描写、良一のピアノ演奏の描写が特に秀逸。緊張感や葛藤が非常によく伝わってくる。

  • これ読んだのは確か中学の頃だったかな。
    自分が小説にハマるきっかけ。
    といったらちょっと大げさだけど、
    小説は別に嫌いじゃなくて宗田理とかも読んでたけど、
    初めて小説で感動したのはこれが初めてだった。

    当時はまだチェリーボーイで、好きな子に告白する勇気も無かった。
    妄想ばかりで、ピュアでアソコに毛が生えたばかりだった頃の俺が読んだ純愛小説。
    タイトルのいちご同盟はストロベリーではなく15(いちご)と言う事で、15歳の少年少女の恋と友情の物語。
    そして、それに絡んでくる死と生。
    余命いくばくもないヒロインと主人公。惹かれ合う二人、そしてヒロインを好きな幼馴染。
    三角関係もヒロインの未来がなければ成立もしない。

    後で知るんだけど、この作者の三田誠広さんは死生観についての本もかかれていて(死のアポリアって本)純愛小説の裏にただよう、死や家族といったテーマが非常に綺麗だった。

    ただね

    純愛小説と言うジャンル(青春小説かも)はやはり人生の一時期にしか読まないジャンルじゃないかな、と思うよ。

    食事の嗜好が変わるように、歳を取れば考え方も、恋愛感も変わった。
    セックス抜きで恋愛を考えきれない大人になった今、この本を読んでもきっとそんなに心に響かなかっただろうな。
    やはり、あの当時に読んだからこそ心に残る作品になったのだと思う。
    そう言う意味では珠玉の一作。
    まだ15歳前で恋愛に焦がれる感受性のある少年少女は是非読んで欲しい。
    おっさんやおばさんも青春時代にもどる気持ちで読んで見るのもいいかもね。

    俺はこの本は二度と読むつもりはない。
    当時読んだ事を最期にしておきたいから。
    年齢重ねて懐かしくなって昔みたアニメとか本とか見直すことあるけど、
    大人になってみたら実は案外微妙だったりするもんで
    そゆのって興ざめ。
    この本は15歳の時に心がぽっかり空いたまま、本を閉じた時のまま
    15歳の時より15年以上たって、細かい本の内容は忘れた。
    でもあの感動は覚えている。そんな本てあるよね。

  • 将来について悩む繊細な少年が野球部のエースの徹也から試合の様子を撮ってくれといわれたことをきっかけに重症の腫瘍で入院している直美と出会いう中で生きることの意味についてつかんでいきます。その様子がとても心に響きました。

  • どうしようもない権力に怒り
    どうしようもない非力さにイラつく思春期。
    そのエネルギーはちょっとの角度の違いで
    とんでもない方向に走ってしまう。

    はあ・・なるほどそれで「いちご同盟」なのか・・・
    「いちご白書」とは違うのね(^_^;)

    中学生っぽくない会話がちょっと違和感あるかなあ。

  • 学校の先生に「この本は三角関係」と言われて気になって読んだがそんな軽い話ではなかった。

  • 思春期の心が、丁寧に優しく描かれている。まるで自分がそこにいるかの様に思えた。
    うまく言葉で言い表すことができないが、友情といえ単語一つにおさまる話ではなく、それぞれの気持ちがバランスをとって話が展開していく。
    主人公の北沢が、ベートーヴェンの田園を弾くシーンは、本当に音楽を理解し、殻を破ったんだなと感じた。
    直美が、病気になったから、あなたと出会った。この運命に感謝すべきなのか、というシーンは、本当につらい。病気にならなければ出会わなかった、病気になったから出会った。
    時代を、超えて読み継がれて欲しい。

  • 直美の死を受けて、前向きな2人の考え方がすごく大人びてて立派だなと思った、いちご同盟が素敵な言葉。15歳はこんなに大人びているんだろうかと少し疑問も残る
    重たい話だけど、最後はどこか希望が持てたような前向きに感動を与えてくれた本でした。

  • 中学生の息子に勧められて読んだ一冊。
    主人公の環境は、こんなにお互いに無関心すぎる家族があるんだろうかとさびしくなってしまった。自殺にどうしても目が向いてしまう感覚、いちご同盟の意味、直美との出会いでその後も生きていこうと強く思えたこと、良い読後感だった。

  • 昔の小説のような
    生と死と友情と恋愛を描いた内容
    登場人物と同年代の子たちが読むといいのかも
    あっという間に読み終えた

全541件中 21 - 30件を表示

著者プロフィール

(みた・まさひろ)小説家、武蔵野大学名誉教授。1948年生まれ。1977年、「僕って何」で芥川賞受賞。主な作品に、『いちご同盟』、『釈迦と維摩 小説維摩経』『桓武天皇 平安の覇王』、『空海』、『日蓮』、『[新釈]罪と罰 スヴィドリガイロフの死』、『[新釈]白痴 書かれざる物語』、『[新釈]悪霊 神の姿をした人』、『親鸞』、『尼将軍』、『天海』などがある。日本文藝家協会副理事長、日本文藝著作権センター事務局長も務める。

「2022年 『小説集 徳川家康』 で使われていた紹介文から引用しています。」

三田誠広の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
灰谷健次郎
綿矢 りさ
宮部みゆき
綿矢 りさ
宮部 みゆき
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×