- Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087498110
作品紹介・あらすじ
僕にはヒカルがいる。しかし、ヒカルは僕にしか見えない。伝言ダイヤルで知り合ったサキ。でも、知っているのは彼女の声だけ。あとは、冷たい視線と敵意にあふれた教室、崩壊寸前の家庭…。行き場を見失い、都会のコンクリートジャングルを彷徨する孤独な少年の心の荒廃と自立への闘い、そして成長-。ブランク・ジェネレーションに捧げる新しい時代の青春文学。第13回すばる文学賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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戦争(敗戦、日本、核、赤、星)弱く、大事なところは逃げて見ぬ振り
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少年から大人へ。
自分の弱さや不運な境遇を認めることは怖いこと。でもそれを乗り越えないと次の景色は見られない。受け止めるとか理解するとかそんな高度なことはもうちょっと大人になってからでいいから、とりあえずどうにでもなれ!と吹っ切れてみるのもアリかもしれない。
結局は自分との戦いなんだな。 -
もつれたあやとりは、優しくほぐさなければほどけないのに、僕はパニックになるたびに力まかせに引っ張って、よけいもつれさせていた。
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中学校の時、虐めにあっていた。誰も話す人がいなくて、ひたすら、キモイ、死ねと言われ続けた。自分にもヒカル居たらいいなと思っていた。なので、キリンを友達として作った。ヒカルほど完成度は高くなかったけど、心強かった。
20年以上たった今でも動物園に行くたびにキリンを見ると、思い出す。昔の恋人のような感じで。 -
辻仁成の処女作。情景の描写比喩が細かく多い。
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高校の時に辻仁成にどはまった。なんでだっけ?と思って、改めて手に取ったけど、今の私にはその理由は思い出せなかった。それはさておき。イマジナリーフレンドのヒカルを頼りになんとか生き続ける少年・透。転校生で故郷もなければ、幼馴染もいなくて、学校は監獄。世界はねずみ色でドン底。希望も光もなく、どうしようもない中で唯一の楽しみは電話の向こうの彼女の存在。半端に賢くて、半端にバカは生きるの辛いよな。僕だけの友達はちっとも救いにならない。赤川次郎のふたり、花のあすか組、風葬の教室が頭を過ぎる。