恋は底ぢから (集英社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087498295

感想・レビュー・書評

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  • 中島らものエッセイ。らもの恋愛学も部分的に収録されていて面白い。稲垣足穂を引用して、『結婚するということは、恋愛という“詩”から日常という“散文”へと下っていくことである』っていう文章を読んで、結婚もしてないのに「ほぉ~」と唸ってしまった。

  • 「ガバラの豚」をお借りして何これ面白ーいてわくわくしちゃったので中島らもさんのエッセイ読んでみたかったんです。読了して何か残ったかと言われると「むっちゃ共感ーっ」みたいなのは別段無かったけど、どうしようもなく女好きで刹那的ならもさんの生態を覗けて愉快でした。

    記憶に残った言葉:
    「アクセサリーで身を飾るというのは、少しだけ自分を『失ってみせる』ということである(中略)それは、自分のことについてしゃべればしゃべるほど、言葉によって自分が虚構化されていく、あの喪失感によく似ている。また別の言い方をすれば、土人はありとあらゆる物を身につけて本来の自分を空無にしていくことで、ある種の聖性に近づこうとするのだ」
    「恋は詩で日常は散文」

  • チビの女神さまへが秀逸。
    一瞬の中に永遠を見る、そこにある輝きを汲み取るらも氏の考え方に
    共感と感銘を受けた!

  • p.110 アクセサリーで身を飾るというのは、少しだけ自分を「失ってみせる」ということである。

    そうなんですよね、自分の失ってみせることがなんだか恥ずかしいと思う私は自分を飾ることが苦手なんです。


    p.69 恋愛を「関係」という見方でとらえてしまうと、そこには至高の瞬間から退屈な日常への地獄下りが待っているだけの話である。

    なるほど、至極納得です。


    p.26 「ツキ」とは偶然性の対極にあるものだと思う。

    なるほど、
    ツキと偶然って一緒じゃ
    全然なくて対極だってのはなるほどと思う。
    なるほどと思わない人は読んだらいい。

  • 好き嫌いの別れる作品だとは思うけれど、
    時折、心をつかまれて切なくて苦しくなる・・・。
    そこには、らもさんの、照れて隠している知性や優しさ、
    そして、生きる苦しさを経験してきたエキスが見事な筆力で
    描かれているからだろうな・・・。

    「その日の天使」というエッセイには、

    一人の人間の一日には、必ず「その日の天使」がついている。
    ・・・中略・・・
    心・技・体ともに絶好調のときには、これらの天使は、人には見えないもののようだ。

    こんなことがないだろうか。
    暗い気持ちになって、冗談にでも“今、自殺したら”なんて考えているときに、
    とんでもない知人から電話がかかってくる
    ・・・中略・・・
    それは、その日の天使なのである。

    あぁ・・・こういう出会いあるなぁ。
    あれが、あの日の天使だったのか。
    と、天使たちに感謝したくなる。
    偶然に見えて、実は必然で現れた天使たち・・・。

    この本には、もうひとつ、大好きなエッセイがあります。
    「恋づかれ」という一編。
    大人の恋のせつなさが、読みながら苦しくなるほど美しく描かれています。

    もし誰をも愛していないとしたら、結局僕は「いない」のだ。
    闇の中で、「想い」だけが僕の照らしてくれるような気がする。
    それ以外のときは僕は一個の闇であり、一個の不在でしかない。

    こんなふうに、恋をして苦しむ、らもさんこそ、天使だなぁと思うのでした。

  • 不細工で、女たらしで、アル中でラリ中の
    中島らもさんが、恋愛について語っています。

    熱っぽかったり、冷めた姿勢だったり、
    色んな立ち位置から、恋愛について語っていて面白いです。

    中島らもさんらしい、皮肉も混じっていて・・・

  • 初期の傑作エッセイ!大のオススメです!!
    とにかく読んでみそ!

  • エッセイとはまた違う作品ですが
    ご自分の実体験を織り交ぜて書かれているところやおもわず笑ってしまうような文章にいいなと思いました。
    ですが下品な表現があったりするので好き嫌いは別れそうだなと感じました。

  • 一番はじめの「チビの女神さまへ」が好きです。(中島らもは、小柄な女の子が好きでした。)痛々しいともいえる恋愛感情が伝わってきます。あとは、恋愛などをテーマにしたエッセイ、小説などなどです。

  • 中島らもの文体は、特別に畏まったものではない。著者の目から察知する世界を、感性のままに描くのだ。シュールでふざけていたり、涙腺を刺激するようなウェットな話まで網羅できるのは、著者ならではの率直な感性によるものだろう。そして、風変わりとも言える独特の語彙が面白いのだ。

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著者プロフィール

1952年兵庫県生まれ。大阪芸術大学放送学科を卒業。ミュージシャン。作家。92年『今夜、すべてのバーで』で第13回吉川英治文学新人賞を、94年『ガダラの豚』で第47回日本推理作家協会賞(長編部門)を受賞した。2004年、転落事故による脳挫傷などのため逝去。享年52。

「2021年 『中島らも曼荼羅コレクション#1 白いメリーさん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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