伊豆の踊子 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
3.29
  • (21)
  • (51)
  • (120)
  • (19)
  • (6)
本棚登録 : 773
感想 : 72
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087500011

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 川端康成独自の文章であり、心情や文章の意味を理解できないこともあり、何度も行ったり来たりして、考えながら読んだ。何度か読み込んで、情景を細かく想像すると、きっとたくさんの感情に気付けるんだろう。当時の時代背景も照らし合わせて読み返したいと思う。

  • 「伊豆の踊子」は十数年ぶりに再読。旅情と青春を感じさせて、案外良い。初めて読んだ時もそう感じたはず。

    他には、新潮文庫版には未収録の「死体紹介人」が薄気味悪くて良い。

    川端康成は、基本的にあっさり薄味だが、晩年の「眠れる美女」や「片腕」のように、たまに薄気味悪い小説を書く、という印象。


    以下は「死体紹介人」のあらすじ。

    会ったことのない女の死体を解剖用に大学に売り払うが、その女の妹が骨を受け取りに来たので他人の骨を渡す。その妹と同棲するようになるが、姉と同じく肺炎で亡くなる。その死体の前で、火葬場で知り合った女と抱き合う。

  • 川端康成 「伊豆の踊子」「温泉宿」「十六歳の日記」「死体紹介人」ほか 短編集。驚きの連続だった。

    荒木飛呂彦の表紙イラスト以上に、川端康成の孤児根性や死者への執着 に驚く。「伊豆の踊子」が映画のイメージと違うことに驚く。あまりにグロテスクな「死体紹介人」に驚く。

    「十六歳の日記」あとがきの記述が 川端康成 理解のヒントになった。「家とか家庭とかの観念は私の頭から追い払われ、放浪の夢ばかり見る〜死者の叡智と慈愛を信じている」

    「伊豆の踊子」自分の孤児根性に嫌気がさした主人公が 踊り子の少女に癒され、他人の親切を受け入れられるまで を描いた。踊り子に 家や家庭のない自分を見たのだと思う

  • 表題策を含んだ短編集。踊り子がスタンド使ってる表紙という触れ込みに踊らされて購入。
    伊豆の踊り子はエリート学生の主人公が踊り子に見惚れて踊り子達と一緒に旅をする話。身分の差が憚る恋、と一言で言えれば簡単だが、恋に落ちたという自覚の描写もなし。多分そういうことではないのだろう。だからこそ、綺麗な話として読める。踊り子が茶屋のおかみさんや宿の人に蔑まれるが、それが余計に主人公の踊り子に対する庇護心というか、この人を特別に思うのは自分だけだという選民思想的な感情も抱かせる効果があるのだろう。
    個人的なお気に入りは死体案内人。同室だが顔見知りでもなんでもない女の死をきっかけに起こる話。こんな話を思い付く著者の才能を感じる。
    解説でもあるが、醜さの中の美しさを見出だす作者の才能が随所に現れている。文学とはいえ、文章のきれいさと話の面白さによりするすると読める。

  • 2017/3/10-20読了。

  • 美しい日本語

  • 太鼓の音が聞こえなくなるとたまらない気持ちになる主人公を可愛らしいなと思ったり(伊豆の踊子)、なんでこんな風にぶった切るんだろうと不思議に思ったり(招魂祭一景)。

  • 図書館で、荒木先生の絵!と思って勢い余って借りてしまったもの。表題作のみで読了としてしまい、誠に恐縮ですが…

    伊豆の踊子が短編だとは知らなかった。映画化してるんだから、てっきり1冊まるっと伊豆の踊子なのかと思ってた。

    お話の内容は、文学として書き残すほどのものだろうか、とは思うのだけど、これが本人の実体験に基づいて生み出されたものなら納得。

    何よりも、美しい日本語と表現豊かな文章が魅力的。一般の文学もややラノベ化しているような昨今、こういう美しい言葉の作品に触れるとなんだか幸せな気持ちになる。こういう美しい文章を紡ぐ現代作家さん、どなたかご教示ください。。。

    次回は同じくらい有名な、雪国に臨んでみたい。

    --

    20歳の旧制高校生が伊豆の旅で出会った清純な踊子・薫…。多感な青年の淡く純粋な恋ごころを描いて、みずみずしい青春の抒情を漂わせる名作。初期作品集。

  • 242.2008.7.14

  •  完全にわかったかと言われると疑問だけれど、読むたびに掴める量が増えている気はする。
     「伊豆の踊り子」もだけど、「十六歳の日記」と「死体紹介人」の方が記憶に残った。
     違う表紙のを買えばよかったと、少し後悔。

全72件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

一八九九(明治三十二)年、大阪生まれ。幼くして父母を失い、十五歳で祖父も失って孤児となり、叔父に引き取られる。東京帝国大学国文学科卒業。東大在学中に同人誌「新思潮」の第六次を発刊し、菊池寛らの好評を得て文壇に登場する。一九二六(大正十五・昭和元)年に発表した『伊豆の踊子』以来、昭和文壇の第一人者として『雪国』『千羽鶴』『山の音』『眠れる美女』などを発表。六八(昭和四十三)年、日本人初のノーベル文学賞を受賞。七二(昭和四十七)年四月、自殺。

「2022年 『川端康成異相短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

川端康成の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
谷崎潤一郎
三島由紀夫
フランツ・カフカ
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×