影絵 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087504606

感想・レビュー・書評

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  • 「連」で新人賞なんだな。
    どうして京ことばで貫こうとしたのだろう。
    話の筋は面白いのに、方言が気になって、読みづらい。
    ただ、女性同士の愛を書いているのは先駆的かも。

  • 4つの短編からなる3つは遊郭の話で最後の連は真珠の話で真珠に魅せられ珠を作るきみこと商売人のおさと。おさとの語り部できみこの真珠に対する情熱とおさとのきみこに対する情愛を交えながら話が進んでいく。
    卯の花たくしは汚い少女久子をわざわざ買い、3か月の間で変身させるべく愛情を注ぎ込む老人。
    その中に愛があるのかないのか、手塩にかけた久子を最後は売り、久子のために買い与えた物を闇市に売るべくそのままとっておくように指示するあたり、久子が同年代の男性に恋心を抱いたための仕打ちなのか❓❓商売として最初から育てたのか❓❓と悩む。
    影絵は姉が買われて、そこで出会った男と結婚。異国の地で姉は亡くなり母と2人慎ましく暮らして年月が経ってから結婚相手からの電話で物語が始まる。回想録と今とが折り重なるが話が途切れる感じはなくするすると読めてしまう。
    姉の旦那が似た女性を見つけ、姉以上の女性の品格を身につけ愛人としてしまうあたり書き方がうまくできている。
    夜汽車は遊郭の家に産まれて、恥ずかしい思い、軽蔑までしていた靭子が2人の妓を他店に引き渡す使いを頼まれた事から話は始まり、家業の事で乙の成績をつけられ、自分は違うと気高く居直るが、その妓たちの稼ぎで自分は裕福に暮らしていけるのだと知り、2人の今後の行方まで心配する心を持つようになる。1番短い話で内容が濃い話となっている。

  • 短編が4つ。
    「卯の花くたし」大陸へ娼妓達を紹介する仕事をしている男が一人の娘囲いを磨き上げていく。
    「影絵」姉は娼妓となり大陸へ向かい若くして亡くなる。姉の死に対しての変化していく気持ちをつづる。
    「夜汽車」娼妓芸妓紹介所の娘として生まれ大きくなるに従って家業を忌み嫌うようになっていく。ある時二人の買われた娘を大阪に連れて行く事になる。
    「連」真珠に魅せられた女とそんな女に魅せられた女の話。

  • 表題作の他、婦人公論女流新人賞を受賞した「連」など4編を収める。
    「連」は谷崎の「春琴抄」や「痴人の愛」「卍」などを彷彿とさせる一編。女ながらに真珠屋を商う語り手のおさとと、類稀な技術を持つ連師裙子との、真珠を間にした妖しい絆を描いている。技術は確かながら、どうしようもなく強情でわがままな裙子に100%奉仕するおさとの愛はまさしく谷崎的。
    一方刹那的な少女の運命を描いたのは「卯の花くたし」。無愛想で不器量な久子は、家の貧しさから芸娼妓に売られるところを、満州からきた謎の男松之助に引き取られ、その手によって美しい女に磨かれていく。
    ☆婦人公論女流新人賞

  • 初読:2008/08/30

  • 貧しい家計を救うため、身を売られた娘たち―。遊廓を経営する男に女として開花させられ、挙げ句の果てに残酷な仕打ちを受けた久子、急死した栄子…。娼妓の世界を描く作品集。

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著者プロフィール

1926年高知県生まれ。『櫂』で太宰治賞、『寒椿』で女流文学賞、『一絃の琴』で直木賞、『序の舞』で吉川英治文学賞受賞。おもな著作に『陽暉楼』『錦』など。2014年没。

「2016年 『まるまる、フルーツ おいしい文藝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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