- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087602357
感想・レビュー・書評
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他も人も散々書いているが、これは読み手を選ぶ小説だと思う。
大まかな章分けこそあるものの、50ページ前後にわたって段落もなければ、鍵括弧もなく、読点を多用した長文は視点がコロコロと変わり、その上時系列も飛ぶ。
翻訳云々以前に原文の難しいのだろうと思う。
悪文と言われればそれまでかもしれないが、読者を挑発する冒険的野心に満ちた作品ではないだろうか。
文体にさえ慣れてしまえばグイグイと読むことができると思う。
解説よると代表作「百年の孤独」とは遠い位置にある作品ということだったが、個人的には「百年の孤独」に連なるような印象を受けた。
「壮大な長さに及ぶ孤独」という点は共通している。
一族であるか一人の男であるかという違いはあれど、主題は似ていると思う。
「百年の孤独」にもあった非現実的で幻想的な挿話も相変わらずだった。
登場人物も少なく、描写も繰り返されるところがある「族長の秋」の方が孤独の深さを感じ易いとは思う。
ただし冒頭にも書いたように文章のアクが強すぎるため、あまりお勧めはできない。
そういうことを含めると星は一つ落ちるかな。
文学的には「百年と孤独」と評価を二分するくらいの傑作であることは間違いない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ラテンアメリカには独裁者小説というジャンルがあるそうな。よくいえば濃密、悪くいえば暑苦しくくどい描写が延々と続く。なんせ、改段もろくにないのでページにびっしりと活字が詰まっていて読むものをたじろかせるほど。好みは分かれるだろうけど、いったん引き込まれると最後まで一気に読まずにはいられません。