星の王子さま (集英社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087604948

作品紹介・あらすじ

沙漠の真っ只中に不時着した飛行士の前に、不思議な金髪の少年が現れ「ヒツジの絵を描いて…」とねだる。少年の話から彼の存在の神秘が次第に明らかになる。バラの花との諍いから住んでいた小惑星を去った王子さまはいくつもの星を巡った後、地球に降り立ったのだ。王子さまの語るエピソードには沙漠の地下に眠る水のように、命の源が隠されている。生きる意味を問いかける永遠の名作の新訳。

感想・レビュー・書評

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  • 2024.05.01 『星の王子さま』サン=テグジュペリ

    良い本というのは読んだあとの余韻が凄いなと思うのですが、『星の王子さま』は、まさに余韻のすごい本でした。

    なんでもっと早く読まなかったんだろうと思うほど、1-2時間で摂取できる本にも関わらず、読後は人生通して寄り添ってくれる名作。
    そりゃ70年経っても語り継がれる作品ですわと。

    「大人と子供の違いとは?」
    「習慣とは?権威とは?」
    「飼い慣らすとは、そこに絆が生まれるということ?」

    小説でありながら、絵本のようで詩のようで、ある種哲学書のような側面も持ちます。

    --ここから少しネタバレ--

    砂漠に不時着したぼくが、小さな星を旅立ち、いくつもの星を旅して地球に辿り着いた星の王子さまと出会う物語。

    地球にたどり着くまでに回る星は、
    「権力がほしい王様のいる星」
    「承認欲求の強い大物気取りの男がいる星」
    「恥ずかしさを忘れるために酒浸りになる男のいる星」
    「すべてをお金で見るビジネスマンのいる星」
    「規則だからと電灯をつけた消したりする点灯人がいる星」
    「本に乗っていること以外興味のない地理学者のいる星」
    と一風変わった星ばかり。

    ただ読者は、この星に住む人達は変でありながら、自分の中に潜む一部分と向き合うことになります。
    読むときの年齢や状況で、感想が変わってくると、よく言われる所以はこのあたりにあるのではないでしょうか。

    『星の王子さま』は、大人について様々言及をします。

    「大人というのは何もわかっていないから、子供の方はいつも説明しなければならなくてうんざりしてしまう」
    「大人は数字が好きだ。新しい友達ができたよと言っても、大人は大事なことは何も聞かない」
    「大人を相手にするときは子供は寛大でなければならないんだ」


    このあたりは、過去に回ってきた星の人間から王子さまが得た教訓なのでしょう。


    そんな中、『星の王子さま』の中で最も語り継がれる台詞であろう、一文が出てきます。

    「ものは心でみる。肝心なことは目では見えない」と。
    これは、王子さまにキツネが言う台詞なのですが、

    主人公も眠っている王子さまを両腕に抱いて歩いた時、
    「ここに見えてるのは殻なんだ。いちばん大事なものは目には見えない。」と同じようなことを思います。


    花畑にある一輪の花に特別な意味はありません。
    夜空にある無数の星の中で輝く、1つの星に特別な意味はありません。

    ただ、そこに自分が育てた「花」、友人が住んでる「星」と、ある種、飼いならした関係になると、そこに特別な絆が生まれます。

    これは人間関係にも言えることなのだろうと思いました。

    改めて、読後感が爽快なお話でした。
    本編ともあまり関係がないけれども、『花の自尊心』という言葉が気に入りました。

  • 読むたびに心に響く箇所が、その時々の自分の心持ちによって違うのが不思議。大事な事を教えてくれるキツネや、プライドの高いバラが好き。昔、箱根にあった星の王子さまミュージアムへ行ったことも思い出す。原文でも読んでみたいな。

  • 2024/03/06読了
    ゆるゆると読み進めても、面白いし、へたうまな挿絵も可愛らしくて、楽しめる本。
    だけどじっくり読めばいろんな解釈ができそうだし、自分の考えと比べてみたり、王子さまの質問を自分自身に問いかけたりしてみると、いろいろな気づきがある、難しくて面白い本だと思う。
    本は読み終わったらすぐ売る派の私だが、この本は人生を通して、さまざまな場面で繰り返し読んで楽しみたいと思った。

  • 「ものは心で見る。肝心なことは目では見えない」というキツネの言葉が印象に残った。
    ストーリー自体はあっさりしていて読みやすいが、ところどころに作者の当時の人間社会に対しての主張のような表現があった。
    王子さまが地球上に10万匹もキツネがいる中で1匹のキツネと絆を作り、飼い慣らし、愛着が湧くようになるシーンは普段自分が何気なく生活している中で、自分の周りにいる人たちや、生き物、家などに愛着が湧く出会いや過程をあまり考える機会を作ってないなと思わされた。

  • 読もうと思ってずっと読んでなかった本。
    他人からの評価や売上の数字なんかは本当は取るに足らないことで、自分にとって愛すべき何かより大事なものが他にあるだろうかと実感させてくれた。ひとつひとつの言葉が深くて、一回読んだけでは味わいきれてないと思う。
    完全な個人的実感ですが、肉体がなくなってもその人はいなくなった訳ではないんだなと。王子の軌跡を一緒にたどっていて最後には胸が熱くなった。

  • 思ったよりあっさりしてる話。そこには掴みきれない人生の本質があるのだろうか。一回読んだだけでは落とし込めない魅力があった。

  • 社会人6年目。7年ぶりの再読です。
    忙しい毎日でどれだけ擦り減っても忘れたくないマインドがここにはあります。
    生きる楽しさの本質、かけがえのない存在とは何か、人生においてとても大切なことを教えてもらいました。

  • 再読。何年か前に読んだ時はキツネの言葉だけが刺さったことを記憶している
    今回は小惑星の大人の言葉に大人の自分を重ね合わせる
    なんか虚しいような気持ちになった
    数字にしか興味のない大人になってしまっている

  • 3年の積読をやっと消化した。

    2005年、『Le Petit Prince』の著作権が切れて翻訳ラッシュが起きた。本書もその一環で刊行された。よって390円+税と大変お求めやすい。邦訳は10数種類あるけど「星の王子さま」と冠しているのが1番多い。直訳すれば、ホントは「小さな王子さま」とのことだが、池澤夏樹は「Petitに込められた親愛の感じはそのままでは伝わらない」と言って「星の王子さま」を採用している。私も支持する。

    というところから始まって、一つの単語の訳をどうするかによって、一つの世界そのものが大きく変わるということを、本書は証明している。1番大きいのは「(狐と)仲良くしてくれ」と従来言われていた訳を「飼い慣らしてくれ」としたところだろう。以前読んだ池澤夏樹娘との対談「全部本の話」を読めば、此方の方がより正しいと、私も思う。


    ‥‥と、書いている途中、どうして21年にこれを買ったのか思い出した。「図書2021年8月号」で「星の王子さまのいない星」(吉田篤弘)という文章を読んだからだ。うわっ、自ら作った課題から3年間逃げていた。逃げていたこと自体を忘れていた。かつてこれで、何度自分を誤魔化してきたのか、つい思い出しそうになる。フランス人の好きな台詞を借りれば「これも人生」。

    その時自らに課した課題を要約すれば以下の3点である。
    ① 「かんじんなことは目に見えない」は王子さまが言った言葉ではないのか?
    ②だとしたら、この本の主人公は誰なのか?
    ③王子さまは何故地球に来たのか?

    これらの問いの最後には、当然次の問いが控えている。
    ④王子さまは目的を達して帰っていったのか?

    ①は最初は狐が言ったのである。でも王子さまは、すぐさまそれを自分なりに解釈して「ぼく」に語っている。
    だから②の答えは王子さまなのだ。
    ③と④に関して言えば、私なりの解釈を持っているけれども、なんかまだもやもやしている。まさか、ここまで「難しい」文学とは思わなかった。あと数回読まないとハッキリしないかもしれないので、此処には書かない。

  • ・比喩がすごい
    ・一つ一つの星にいいところがある
    ・花の美しさに騙されてはいけない

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