- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087605884
作品紹介・あらすじ
女王となったメアリーは、カトリック国家維持のためスペイン王子フェリペと結婚。一方、宮廷に戻ったエリザベスは、健康と美を取り戻し人びとを魅了する。悪天候に大凶作、フランスとの争い、民衆を震え上がらせる"異端者狩り"。国民がメアリー女王に反感を覚える事柄が続き、誰もが女王を見限ろうとするなか、エリザベスがとった行動は?女王の道化ハンナの運命は?息を呑む王冠を巡る愛憎劇。
感想・レビュー・書評
-
うううん、まあ、収まるところに収まりました。歴史小説ですからね。
メアリー女王、気の毒です。でも、あの人のお陰で、そうでなければわりと穏やかなイングランドに宗教改革の嵐が吹き荒れて酷いことが起こったので、実はあまり好きな人ではないので……。まあ、もともと半分スペイン人ですからね、しかたがないのかもしれないけど。彼女の望んだ通り赤ん坊が、王子が生まれていたら何か違っていたのかな。
エリザベスはこの小説ではかなりの策略家というか最悪に嫌な女として描かれている(けど主人公はそんな彼女にも強く惹かれているけれど)けど、やはりメアリーと比べると偉大な女王の素質があったと思うので(彼女のお陰でようやく過激な宗教改革の混乱が収まるので)、最後の場面ではやはりほっとすべきなんでしょう。
私は最後まで主人公の夫を好きになれなかったせいか、主人公の後半の心の揺れと決意にちょっと共感しにくかった。
まあ、でも一気に読める楽しい本でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
力作の後編です。
激動の16世紀イングランド。
メアリー女王とエリザベス女王の二人に仕えることとなった女性ハンナの波乱の人生。
ヘンリー8世没後の混乱期。
キリスト教徒内部でプロテスタントとカトリックのせめぎ合いが続き、どちらも命がけ。
聖なる道化として宮廷で女王の側近くにいるハンナは、派閥と無関係なので、女王の慰めとなります。
スパイまがいのこともするのですが、それぐらい女王たちの方もお見通し。
ハンナ自身は、キリスト教徒でさえないユダヤ人であることを隠している恐怖が、ずっとつきまとっているのですが。
本を読んで育ったハンナは、当時としては自立心の強い、婚約者にとっては面倒くさい女性。
やっと結婚したものの、さらに思いがけないことに‥?
荒波のなか、ぐっと大人になっていく展開に。
メアリー女王は、30代も後半になって政略結婚。
年下のスペイン王子の肖像画をひと目見て恋した可愛い女でしたが、不運な成り行きに‥
カトリックの信仰を守ることだけが支えとなり、異端の処刑でブラッディ・メアリーと怖れられることに。
妹のエリザベスは命の危険に晒され、異母姉のメアリーに迫られて礼拝には出るものの、改宗は拒み通す。
恐怖で再三病気になりながら、回復して宮廷に現れたときには、人々を魅了。
どちらも父には否定された女性の身で、自らの地位や国のあるべき姿を必死に考えていた‥
それを思うと、ハンナも現代からタイムスリップしたような女性ではなく、激動の時代を体感しつつ生きたのかな、と。
人のさまざまな感情を濃く描きつつ、歴史の大きな揺れ動きを実感させる展開。
面白く読めました! -
架空の道化ハンナの視点から語る、ブラッディメアリーことメアリー女王と、後のバージンクイーンことエリザベス女王の物語。
メアリー女王が自身の信仰のために、今まで権威のあった教会や枢機卿、そして善良な市民を異端という理由だけで火炙りにしてしまうのが恐ろしかった。
父ヘンリー8世紀や弟エドワード王の頃は安全だったものが、メアリー女王に変わった途端に異端となり、簡単に命が散ってしまう。
メアリーはイギリスに正しい信仰を取り戻そうと当然の行いをしているだけなので、意義を唱えようものなら側近でも命取りになる。
次第に国民の支持も得られなくなり、夫にも見捨てられ、息子も産めず、貴族たちはエリザベスの元に集うようになる。
アンブーリンに不幸にされた母のように、アンブーリンの娘に同じ目に合わされるのが辛いだろうな。でもこの時代の国民のほうが辛いだろうと思う。
生きた心地がしないだろうな。
エリザベスがやけに男を、特に人の夫を誘惑する悪女のように描かれていた。
スカーレットヨハンソンはメアリーブーリンよりエリザベスの方が合いそう。 -
メアリーとエリザベスの因縁の対決は、メアリーの病死によりエリザベスに軍配が上がった。
良き女王になれる片鱗を見せていた上巻のメアリーの描写に心が踊ったのだが、残念だ。
だが、ヘンリー8世など、まわりの男達に全て振り回されていた母親世代に比べて、二人はより歴史の中心にいて、強く逞しく聡明であったように思う。この後も血なまぐさい歴史が続くが、イングランドはエリザベス女王の時代を迎える。(恥ずかしながら、ブラッディメアリーとメアリースチュアートを混同していた。系譜を見ながら読了) -
優しかった女王メアリー。しかし夫に裏切られ、世継ぎもできないとなると、だんだんと悲しみの狂気に取り付かれ・・・
歴史ではどっちかというと逆だが、メアリーを善、エリザベスを悪サイドでかいているところが面白い。
全編上巻と同じような感じだが、最後のほうのセリフとかけっこういい子といっていて印象に残る場面がありました。そこを読むためにつらつらやってきたのかなとおもうとけっこう感慨深くはある。 -
16世紀ヘンリー8世亡き後のイングランド。
即位したエドワード6世が病弱だったため、メアリー王女とエリザベス王女の継承者争いの話。
宮廷の道化師として仕える主人公ハンナに語らせる形式となっている。
ハンナはメアリーとエリザベスの両者の板挟みとなりながら、自分自身の恋愛・結婚と葛藤しながら宮廷に仕え、王女たちの激しい争いを目の当たりにする。
道化師に語らせることで、客観的に争いの様子がわかり、読みやすいと感じた。
ネット上のあらすじにあるように、確かに一言でいえば「英国版大奥」もっともである。 -
前巻に比べて失速感は否めませんが、やはり面白かった。
宗教間での諍いは何だか本当に悲しくなる。
皆がそれぞれ、自分の信じている神様を信じる事が出来る現代、選べる現代になるまでに
沢山の血が流れたのですね。 -
サブタイトルからいって、もっとブーリン家の面々が登場してくるのかと思ったらそうじゃないのね。
『ブラッディ・メアリー』の異名から、どんな怖い人なんだろうと思っていたけれど、(やったことはもちろん恐ろしいけど)実はかわいい女性、そしてかわいそうな女性だったんだな、と。まあ、あくまで小説なんだけど。
語り手が前作と違って渦中の人物じゃないから、その分物語の視野は広がった感じ。 -
なかなかおもしろい・・・でも、図書館に「上」がなかったので
先に「下」を読んだ。
現在、Audible で英語で最初から聞きはじめた。
ハンナの性格の肉付けがしっかりとされているし、あまり
(私の中では)具体像が浮かんでこなかったメアリ1世の苦悩が
克明に書かれていて悲しいものがあった。
(どうしても The Tudors の役者さんたちの顔を思い浮かべてしまうけど・・・)
たしかにブーリン家の姉妹の次の世代といえばそうなんだけど
どうせならば、姉妹の娘の話だったらおもしろかったのに・・・
(「ブーリン家の姉妹2」とするならば)
英語では、The boleyn Inheritance という話が続編として
でていて、これもまたおもしろいのだ!
Audible で3度聞いてしまった。