- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087710373
作品紹介・あらすじ
中学生の頃、四人の親友を繋げていたのは「宇宙」への果て無き好奇心だった。一度は離れ離れになった彼らは大人になり、大切な人の死をきっかけに再会するが──。16歳の著者が描く、青春群像劇。
感想・レビュー・書評
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16歳現役高校生による、小説すばる新人賞受賞作。
館長の死をきっかけに閉館することとなった科学館。そこで再開したかつての幼なじみたち。
みんな一緒に宇宙に憧れを抱き続けてきたはずが、ぎくしゃくしたままそれぞれの道で大人になってしまった彼らは、何かを取り戻すかのようにまた科学館に集まり、そこに残されたままの謎を解き明かそうとする。
夢に破れた人、夢を諦めた人、夢を忘れた人、夢を迷う人、夢がみつからない人。
”夢”というものが持つパワーや大切さ、苦しさや輝かしさを改めて思い起こさせてくれる物語でした。
あまり作者にはとらわれたくないのですが、やはり現役男子高校生のもつ弾けるような生命力を感じざるを得なかった。
文章はまだまだ未熟で荒削り、小説としての完成度もそう高くは無いもしれない。
けれど、作者が感じていること、伝えたいこと、きっと書かなければならなかったことが強く強く光を放っている。
そういう光に触れられたのが、読者としてはただ嬉しく思えました。 -
途中まではみんな同じ夢、場所に向かってると思っているものだけどある日突然どこかで違う場所に行ってしまう。突然1人になっている気がして怖くなるんだと思う。
それは、夢に向かってるもの夢を諦めたもの夢にやぶれたものいろんな人がいるからだと思った。それはどの時代になっても変わらないことなんだなと感じました。沢山考えさせられる本で悩んでいるときに読むと心が落ち着くような本でした。
この本に出会えよかったです。 -
作者の年齢を売りにする小説がちらほらあるけど、この本は何も知らない状態で読んでも面白いだろうと思った。
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夏休みいっぱいで閉館が決まった町の科学館。
そこにあるプラネタリウムに関わる三世代に渡る友情と宇宙への思いを、教え子世代、孫世代の両方から描く。
教え子世代は、それぞれ社会人として暮らし始めており、高校時代の夢を追っているもの、あきらめたもの、それぞれの思いで科学館の閉館に臨む。そこに、館長の孫で現役高校生も絡み、自分達が本当にやりたいことを模索する。それは、館長たちの若き頃の姿と同じであった。
現役高校生による小説すばる新人賞。なんだか、どこかコミック読んでいるような気になるストーリーだった。今時好まれる話なのかなあ。 -
借りる本に悩んで、目立つよう陳列された中から選択した1冊。
文章読んでて若いな、と思い途中で調べたら、現役高校生が書いた本という事で納得。
序盤(成長して)から幼馴染の女の子2人とも言動が幼すぎると感じていたけれど、読み終えて全体的に人に厚みがないと感じる。
登場人物ひとりひとりに、実在するんだと思わせる重みが欲しい。
夢をもつのも、持ち続けるのも、叶えるのも難しいというのがテーマだが、人が軽いのでのちらもフワフワした印象を受ける。
同年代なら心に響くかもしれない。
すばる賞受賞作品というのも途中で知ったが、私の好きな作者も受賞している賞なので、どうしても比較してしまう…
しかし若い才能は素晴らしいし、今後も頑張って欲しい。 -
夢を見ることは、現実を知ることなのだろう。
夢には希望に満ちいてるような気がしていたのに
現実にはそうでないということを
人はいつ知るのだろう。
そんなことを考えた話だった。
しかし、文章の繋がり、
場面転換とともに変わる一人称。
やや整理されていなくて、
作者においていかれることが多かった。
主要登場人物4人の今いる立場がどういうものなのか、
というのがどうも漠然としていたのは
作者の年齢を考えると無理もないのかもしれない。
16歳、経験値が圧倒的にない。
今後の作品でどんな風に変わっていくのか、
また変わらないもの、守り続けるものは何なのか、
楽しみです。 -
大人になると若いころに悩んでいたいろんなことが小さく見えたりする。なんであんなことであんなに悩んでいたんだろう、と。でもその時にはその悩みが自分の全てを占めているとしか思えない。そして解決されなかった「その時」をこころのどこかにひっかけたまま誰もが大人になっている。良くも悪くも、それが大人になるということ。
同じ時間を過ごした仲間がたとえば何かがあってバラバラになったとしても、きっかけがあればまたもとに戻る事が出来る、そんなひとつの安心をこの物語は見せてくれる。
幼馴染がいつまでもずっと同じ関係ではいられない、という現実を私たちオトナは自分への言い訳にしていないか。青春の渦中にいる作者だからこそ描ける「今と未来」は、青春を思い出の一つとして平面に押し込んでいる私たちへの熱い挑発なのかもしれない。 -