2.43 清陰高校男子バレー部

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087715231

作品紹介・あらすじ

きっと、おまえとなら越えられる──。田舎の弱小男子バレーボール部に、東京の強豪校からワケあり選手がやってきた。目指すは全国! まぶしいほどに純粋、てれくさいほどまっすぐな長編青春小説。

感想・レビュー・書評

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  •  2.43,2m43cm。
     それは,高校生,男子バレーボール全国大会のネットの高さ。

     黒羽祐仁(くろばゆに)は,紋代中のバレー部に所属している。男子バレー部の練習日はあってないようなもので,ほとんどが幽霊部員の弱小部活であった。

     そこに,東京から灰島公誓(はいじまきみちか)が転校してきた。
     幼稚園で一緒で,年長のときに東京へ引っ越したが,すっかり背が伸び,その頃のイメージはない。
     技術の高いセッターだが,転校前の中学校で,灰島のせいで部員の自殺騒ぎがあったという。

     また,七符清陰高校に進学してからも,すぐにバレー部の仲間としてまとまれるわけでもなく……。


     物語は,祐仁(ユニ)と公誓(チカ)の中学生時代から始まっていて,王道スポーツ青春物語です。
     人当たりがいいけれども何事にも真剣になれず,なあなあで済ませてしまうタイプのユニ。
     バレーに対する情熱と努力と技術は人一倍だけれど,ものの言い方が尖っていて,仲間を作れないチカ。

     このユニチカの二人を軸に,小田と青木の3年コンビ,2年棺野と女子バレー部の末森荊,章ごとにそれぞれの物語があります。

     読んでみた感想としてはめっちゃ面白い,青春物,群像劇もの大好きなオイラの琴線に触れまくりです。
     けれど,続編ありきで,読み終わったときに,ここが始まりだ,ようやく清陰高校のチャレンジはスタートしたのだという感じがします。

     さあ,次も読もう。

  • ハイキュー!にハマっているので本屋さんで見かけて、似てるなーと思いつつ後日読んでみました。

    ポジションがセッターだとかライバルのスター選手とか春高目指す無名校だとか、たしかにいろいろかぶってる気もするけど(パクリというわけではなく)主人公がワケあり天才少年なんていうのは「バッテリー」でも「風が強く吹いている」でも「一瞬の風になれ」でも(これは準主人公だけど)そうですしね。こういう青春小説は大好物。

    地方色ゆたかなところが特徴なのかな。
    たくさん登場人物出てくるけど、みんな魅力的です。イラストもイメージに合っててかわいい。
    バレーの描写もルール説明も含め文章だけでもちゃんと伝わってきた。熱血主将の小田くんが好きだ。

    棺野くんと荊ちゃんのその後がめちゃくちゃ気になります!

  • バレーなんて全く興味のなかった黒羽は、転校生の灰島に影響されて部活動を開始。壁井ユカコさんらしい、憧れと妬み、そして青春あふれる作品でした。やー、面白かった!こーゆーの好きだわ……スポーツものはたまにいいのに当たるときますね!
    灰島のかたくななまでのバレーしか考えていない人間っぷり、黒羽はそれより柔軟なだけに周囲と自分との距離感にかゆみを感じたり。そんな二人が中学では「失敗」し、高校でバレー部のみんなと出会う。二話は別の先輩のラブコメなんですが、これがまた好きじゃー!愛いやつらすぎます……!お互いにコンプレックスを抱えつつ、ついつい見てしまう感じがええ。ラストにも出てきてくれてうれしかった!お互いに欠けたところのある登場人物たちが、その空白を埋めるのではなく、抱えたままもだえて、でもジャンプしていく様が快感。おすすめです!

  • 荊ちゃんと棺野のコンビが可愛かった。

  • もう、自分には絶対に戻ってこないあの頃に浸れる、本の醍醐味。
    人生、いつからでもやり直せる…というけど、こればっかりは取り戻せないもんなー。
    それに、絃子ちゃんも言ってた男子独特の雰囲気、あの感じ。それもやっぱり女子では体験できない気がするし。
    次が楽しみ。

  • 高校男子バレー部もの。

    東京から福井の中学校に転校してきた灰島。就学前には一緒に遊んだ記憶がある黒羽は、灰島とまた一緒になれたのが嬉しかったのに、久しぶりに会った灰島は他人を寄せ付けない雰囲気。
    東京ではバレーの強豪校でならしていた灰島。
    黒羽もバレー部だったが、その時バレー部はきちんとした活動もせず、練習さえサボりがち。しかし、灰島のバレーをする姿に、黒羽が、そしてチームのみんなが、全中にむけてがんばり出す。
    バレーの才能はあるが、人の気持ちがわからない灰島。
    身体能力は抜群なのに、性格がヘタレな黒羽。
    一度まとまったチームは、その能力の差を見せつけられて、またバラバラになってしまう。
    高校に進学した彼らを待っていたのは・・・


    それぞれに不器用で、バレーにひたむき。高校での先輩達も個性がひかっていていい。バレーを見たくなる、応援したくなる物語。

  • なんて素敵な青春小説!スポーツに夢中になっている子どもたちにとんと弱い私にはたまらない1冊だった。
    清陰高校バレー部の子たちそれぞれみんな良い味出していて、男の子の世界に憧れる気持ちを久しぶりに感じた。こういう雰囲気は女の子では出せないし体験も出来ない。だからこそ、荊ちゃんの気持ちが痛い程に分かった。
    もっともっと、清陰高校男子バレー部を見ていたかったなぁ!最後のページに辿り着くことが寂しく感じた。

  • 頼りなかった足元を固めて、バレーに打ち込む環境が整うまで。

    スポーツものは憂いも成長も場内でが好みなので
    、場外のあれこれが吹っ切れたのはよかったなあと思う

    お姫さまと騎士のじれじれも気になる。
    女バレも番外編で書いてほしいな。

  • 続きが気になる〜〜!!!
    彼らが高校生でなくなるその瞬間まで、ずっと応援したい。
    男子っていいなあ。

    私は運動部が強い高校に通っていたのでバレーボールではないですが、スポーツの応援に駆り出されました。
    そのときに何度も思っていたのは、「何故彼らはこんなにも人の目やプレッシャーがあるのに集中できるのだろう?」ということです。
    この作品はそんな彼らの心の移りが描かれていました。
    フィクションで描かれるスポーツは技術の面を強く描き出すことが多いと思いますが、この作品はプレーをしている彼らの心情を中心として描いています。
    だから彼らに親近感がわくし、自然と応援したくなります。

    私は棺野くんが好きで、彼の優しさやひたむきさがとてもかわいらしく感じられました。
    他にも愛すべき登場人物たちがたくさん出てきます。
    彼ら一人ひとりについてゆっくりと考えてみるのも、とても楽しい作品です。

    私の家はみんなバレー経験者で、父と母は町のクラブに通っているほどバレーが好きでスポーツの中で一番馴染み深いのがバレーです。
    いつも、録画したプロや日本代表、春高の試合が家のテレビで流れています。
    バレー選手の体格や手、雰囲気は作中の通りそのままなので、この作品でバレーに初めて触れた方はぜひバレーの試合を見て欲しいです。
    今の若手俳優さんのようなかっこいい選手がいっぱいいるので(笑)
    逆にバレー経験者の方でも、この作品は楽しめると思います。
    バレーの面白さがそのまま作中にあります。

    続きがとにかく気になります。
    春高…春高行って欲しいなあ…。

  • 分かりあうってのはとっても難しいことだね。
    高校生活という、短くて貴重なこの時間に、精いっぱいぶつかり合える姿を見て、とてもうらやましく思う。
    私には無かった時間。

  • 地方の弱小バレー部の青春小説。

    お互いの力を認め合っていて、大切な仲間だという認識がありながらもなかなか歩み寄れないユニチカのコンビがもどかしくもあり、どこか微笑ましくもある。
    黒羽のお馬鹿さん加減は彼の良いところでもあるけど、もうちょっとどうにかならんものか。

    ユニチカも良いけど、私としては荊ちゃんと棺野の話がやっぱり好き。
    女としての自分が疎ましくて、どんどん自分を追い越していく同級生の男の子に嫉妬しながらも焦がれてしまう・・・こういう思春期の少女の心の揺れみたいなものにすごく惹かれる。
    男勝りな女の子とひ弱な男の子が成長する中で、力関係なんかも逆転していくその過程が、少年少女特有でなんか良いなぁと思う。

    そして登場人物達が話す福井の方言も◎

  • 壁井さんらしい、さわやかだけどどこか歪んでる青春もの。

    途中で腐るかとおもいましたが腐り切らなくてよかったです。淡い恋心みたいな感じは好きなのでこのままでいてほしいなぁ。

  • さわやかで、楽しくて、時にじーんとくる、青春スポーツ小説。
    図体はでかいが(笑)、中身は子どもっぽいくらいの純真さ。
    ほほえましく、純粋に応援したくなる。
    方言も優しく、あたたかい。
    読む手が止まらなくて、でも読み終えてしまうのが惜しかった。
    http://koroppy.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/243-7455.html

  • 真っ当な青春小説でした。みんながスタートラインに立ったところでおしまいだったのでその後が気になりますが、問題と言える部分が全て解決したから、物語の完結としては、上々だと思います。
    ホント春高出られるから良かったけど、そこは庇うとかそういうんじゃなくてさ!黒羽!とちょっと説教したくなりました。
    しかし、黒羽はいい主人公だった。
    おまえのエースになりたい。とか、そういう台詞一つ一つがすごく直球で、青春らしいわくわくが止まりません。
    いい本でした。

  • 久し振りに読んだスポーツ青春もの。好きだなあ、こういう作品。バレーボールには全然詳しくないけど、面白かった。ちょっとユニがめんどくさい奴だけど、それもあるからいいのかしらね。続編楽しみ

  • どの話もありえないくらい尊くて良い…
    こんなにも純粋で爽やかかつ酸っぱい成分多めな青春小説ありますか?テスト期間挟んでしまったから一気読みできなかったのがすごく残念、、表紙からすでに爽やかさ満点で最高でした。

    棺野×末森の切なすぎる純情にやられ、これまた切なすぎる恋心の行方に くぁー甘酸っぺぇ…となり…エピローグの両片想いにはきゅんきゅんが止まらない…爽やかな青春小説なはずなのに腐の心が騒ぐのも止められない…3章の最後に青木が言った「下心」というワードと「わからんくていいわ」…一体どういう意図なのか…小田の「俺といるの楽しい?」って可愛いかよ!きっと青木も叫んだ(尊すぎ)
    そしてそしてユニチカ!!
    小田が言ってたように今のふたりの関係性もそれはそれでいいんだ…まだユニが追いかけている…最高なんだ…(2023.10.)

  • 2人の思いが通じるところがよかった。

  • ハイキュー!!を読んだときに感じたあの感動が再来する。
    どうしてやったことのないスポーツなのに、こんなにもワクワクして、こんなにも胸がドキドキして、こんなにも彼らと同じように熱い気持ちになれるのだろう。

    この作品に出会えてよかった。
    ほんとうに、一期一会。
    あぁ、だけど、この本に、作品に、できることなら自分が学生のころに出会っていたかったと、その思いだけが、ただただ悔しい。

  • 【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

  • アニメ化もした青春バレー小説。
    いくつもの“ペア”が登場する作品で、その関係性がどれも素敵!細やかで丁寧な心理描写に迫力あるバレー描写。読んでいて共感できるところも多く、こんな人がいたなぁ、いたらいいなぁ、と自身の過去をつい振り返ってしまいます。
    灰島の過去に触れる東京でのシーンは何度読んでもぐっと来ます。好きな場面は多すぎて書き切れないほど!アニメはもう少し丁寧にやってほしかったな、と思いつつ、1クールなら仕方ないかなとも。
    何度も読んでいる、大好きな作品です。

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著者プロフィール

第9回電撃小説大賞〈大賞〉を受賞し、2003年『キーリ 死者たちは荒野に眠る』でデビュー。その他の著書に、『鳥籠荘の今日も眠たい住人たち』(電撃文庫)、『エンドロールまであと、』(小学館)など多数。

「2009年 『NO CALL NO LIFE』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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