海の見える理髪店

著者 :
  • 集英社
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感想 : 560
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087716535

感想・レビュー・書評

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  • 読んだことがある気がしてた。うん。
    やっぱり読んでた。
    やっぱりアウトプットは必要ね。
    長編かと思ったら短編集だった。
    なんていうか、こう…本文を読みながら行間を読んでいく感覚。
    その後が気になったのが「空は今日もスカイ」、「海の見える理髪店」が良かったな。

  • いろんな人との出会いを6話の短編に綴った物語です。
    表題になっている「海の見える理髪店」は、人里離れた海の見え所に理髪店を開いた店主の所に、昔別れた息子が結婚を前に散髪に来ます。この物語は、せつないものがありました。
    「成人式」は40代の夫婦が、5年経った今も15才で死んだ一人娘を忘れることが出来ません。食事を作ると3人前作ってしまう妻、何かするときは娘のことを思い出す夫。この夫婦が、凄く若作りして生きていれば娘が出席する市主催の成人式に出て行きます。一見滑稽ですが身につまされるものがあります。

    【読後】
    荻原浩さんの本は、音読で読んだ「花のさくら通り」について2冊目です。とても楽しく、読後感が良く、展開が早く、時には涙が出てと、変化があり楽しく読む事が出来ました。

    【音読】
    2021年12月11日から12月26日まで、大活字本を音読で読みました。この大活字本の底本は、2016年03月集英社発行の「海の見える理髪店」です。本の登録は、集英社で行います。大活字文化普及協会発行の大活字本では、第1巻~第3巻まであります。

    海の見える理髪店
    2017.02大活字文化普及協会発行。字の大きさは…大活字本。2021.12.11~12.26音読で読了。★★★☆☆
    海の見える理髪店、いつか来た道、遠くから来た手紙、空は今日もスカイ、時のない時計、成人式、の短編6話。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    【バックナンバー】
    荻原浩さんのバックナンバーは、私の本棚より「タグ」→「タグの一覧を絞り込む」に「荻原浩」と入力。または、その中から荻原浩を探してください。そうすると著者荻原浩さんの本が一覧表示されます。私は、本を登録するときには、著者名と登録した年(2021)で登録しています。冊数が多いシリーズ本については、シリーズ名でも登録もします。

  • 表題作
    わけあって、海沿いで理容店を営む店主。生き別れた年頃の息子は名を伏せ理容師の父の元へ客として訪れる。
    店主の目線で話は綴られている。息子の心情に触れるところがない。
    はじめは、あまりにも饒舌な店主に違和感を覚えた。いつ息子と分かったのだろう。最後のほうで「原田様のお若い声の予約が嬉しくて」とあるから、たぶんそこで。
    自分の半生を息子に聞かせる(聞いてもらう)つもりで、意を決したように感じた。人を殺めてしまった過去がある店主は一生父と息子として会うことはないだろう。
    赤い錆びれたブランコの所は切なかった。思わず表紙を見たら裏表紙にはブランコの上から半分のイラストにあった。ああやっぱり、と思った。
    そこで私は、無性に小さい頃の思い出の品が頭に浮かんだ。母がミシンで作ってくれた、母とお揃いの洋服。黒地に小花模様、母はツーピース私はワンピース。今も、どこかにあるだろうか。見たら一瞬で泣ける。なんでだろう。そんな気持ちにさせてもらった。
    親子にも色々ある。

    いつか来た道
    好みだったのはこれ。
    母と娘のお話。母から価値観を押し付けられ、ずっと呪縛で苦しみ続けてきた。
    だか長いことぶりに訪れた母は認知症にかかっていた。
    杏子は絶対に言わない言葉を言う。
    「また来るから」と。
    親が病んで衰えてわだかまりが解けてゆく。親子とはこういうものかな。

    空は今日もスカイ
    読めど読めど、活字としてしか頭に入ってこなくて、挫折しかけた。ふわふわして付いてゆけなかった。今、少々疲れてるので頭が働かない(私の読書力不足)。

    成人式
    両親の気持ちは分からないでもない(同じ状況ではないのでなんとも言い切れないが)。
    辛い場所には立ち寄りたくない(見たくもなくなる)私…なので、理解し難い感があった。
    しかし、最後は前向きにという気持ちは同じ。

    全体的に、思っていたイメージと違った…。
    タイトルと装丁の印象から、癒され系(私の思う)と想像していたが、けっこう鋭かった。

  • 2年近く市民図書館の本棚を見つめていたはずなのに、なんと再読だった。
    自分の忘却力?に慄いた。

    いやしかし、表題作だけは読んだ記憶があった(短編集のため)。読み始めてすぐ、伊坂幸太郎の「死神の精度」(連作短編集)の中の最後の一編「老女と死神」に似ていると思ったのだ。伊坂幸太郎作品の方が、それまでの短編の内容が伏線になっていて、正直面白かった。

    なのでこの本、続く短編は読んでいないと思っていたのだが、どれを読んでも、「あ、読んだ」と…。

    どの話も家族がテーマになっていて、読みどころもあるのだが、短編のせいか物足りないまま終わってしまう感じがする。
    直木賞受賞作で期待したのだが、自分の力量が足りないのか…。2020.4.20

  • 短編集はもともと苦手なので辛めな点数になる。

    海の見える理髪店
    評価4
    父親と子の物語。淡々と話は進む。小さいショックを受けるエピソードがじわじわと重なり、読み終わったあとに大きな余韻を残す。そんな展開。

    いつか来た道
    評価4
    16年振りに会った母親は認知症を発症していた。
    人生を支配し続けた母親の現在を受け止めた時、マユちゃんとようやくサヨナラすることができた。赦しの物語。

    遠くから来た手紙
    評価2
    本当に遠くから来た手紙...
    夫婦の危機に陥った原因がそれほど深刻ではなさそうなので、微笑ましい話なのかと。逆に言うと少し物足りない。

    空は今日もスカイ
    評価2
    とても疲れた頭で読んだためか、少し展開についていけなかった。
    フォレスト、フクシに救われるといいけど。おとうさんからもうぶたれないといいけど。

    時のない時計
    評価2
    父の形見の時計を時計屋に修理してもらう話。
    父がどんな人なのか?実は子は父親にあまり興味がない。わかってるつもりで知らないことばかり。
    時計屋の、家族と時計にまつわる話を聞きながら、父の思い出をたどる。修理代は高くついたけど、父を想い父を理解するというプライスレスな経験ができた。
    それが時計が偽物だと告げられたのに私が「なにやら嬉しそうだった」理由…なのかな?たぶん。

    成人式
    評価4
    数ページ読んで、鈴音と同じ年頃の娘を持つ僕はキテしまう。なんとか最後まで読むが、やはり泣いてしまう。
    夫婦再生の物語。大きな救いがあってよかった。
    でも、こんな娘の成人式は、たまらないよ…

  • じわりと胸が苦しくなる、切ないストーリーの短編集。どの話にも、ハッとする驚きが仕掛けられていた。全編を通して喪失の痛みが描かれているので、苦い気分になります。

    表題の”海の見える理髪店”は、何とも言えない気持ちになって読み応えがあった。特にメンバーズカードのくだりから、ラストの2行がとても切なく、ため息がこぼれました。

    ”いつか来た道”
    取り返せない時間の重みを感じた。救いのある展開だったけれど、もっと早くに分かり合えなかったのかとモヤモヤします。

    ”遠くから来た手紙”
    一冊の中で、一番明るく小休止という感じ。
    気持ちがほぐれます。

    “空は今日もスカイ”
    ここから好転していくのだろうなと予想できる、力強いラストで良かった。

    “時のない時計”
    他の物語と毛色が違う。時計屋のせいか、なんだか奇妙な感じがする。止まった時の中に、ずっといてはいけないという事が伝わってきました。

    “成人式”
    どんよりとした気持ちが、サッと明るくなっていくようで、この本の締め括りに相応しい話でした。

  •  温かい美味しいお茶を飲んだ時みたいな気持ちになりました。

     これからまた頑張っていこうと。

    そんな感じです。

  • よくこんな短編でまとめられたなーと思うほど奥の深い話だけど、全体的にちょっと苦しさとか切なさが勝つかも。

  • 6つの短編は、どれも普通に暮らす人にありそうなエピソードを淡々と描いたような作品で、著者から強く訴えるものはあえて排除してある感じ。
    読者それぞれが自分の経験と感性で何かを汲み取るか感じとるべき物語りなのだろうと解釈した。

  • 家族を描いた短編集。
    表題の「海の見える理髪店」と「遠くから来た手紙」「成人式」が良かったかな。
    「時のない時計」も時計の修理を頼む側、受ける側、両方の人生が思い出される感じで良かったけど、最後の一言いらんやろ~って思った。
    「成人式」はウルッときちゃいますね。

著者プロフィール

1956年、埼玉県生まれ。成城大学経済学部卒業後、広告制作会社勤務を経て、フリーのコピーライターに。97年『オロロ畑でつかまえて』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2005年『明日の記憶』で山本周五郎賞。14年『二千七百の夏と冬』で山田風太郎賞。16年『海の見える理髪店』で直木賞。著作は多数。近著に『楽園の真下』『それでも空は青い』『海馬の尻尾』『ストロベリーライフ』『ギブ・ミー・ア・チャンス』『金魚姫』など。18年『人生がそんなにも美しいのなら』で漫画家デビュー。

「2022年 『ワンダーランド急行』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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