不良

著者 :
  • 集英社
2.56
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感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087717174

作品紹介・あらすじ

四人の少年たちは、やがて大人になり、暴力と金の世界へ――。
北野武のド直球勝負作となる青春バイオレンス小説!!

中学の入学式、いきなり喧嘩で相手を圧倒したキーちゃん。なぜか気に入られた茂は、埼玉出身の悪ガキ鈴木、魚屋の佐々木と共に四人で毎日遊びまわることになる。飲酒喫煙、喧嘩カツアゲから刃物を使った暴力沙汰まで、とにかく悪戯や悪ふざけを越えた遊びで悪名高い集団に。しかし中学も終わりに差し掛かった頃、キーちゃんは姿を消す。どうやらヤクザになることを決めたらしい。キーちゃんの代わりに番長と見られるようになった茂の立場は微妙に変化し、高校に入ってからも様々な火の粉が降りかかるようになる。ある日、揉め事の最中、茂にちょっかいを出し続けていた岡田の腹を佐々木が出刃包丁で刺してしまい――。チンピラから成り行きでヤクザの世界に入り込んでしまう少年たちの姿を描く、青春バイオレンス小説。
表題作の中編「不良」に加えて、単行本完全書き下ろしとなる短編「3-4X7月」も収録。

【著者略歴】
北野武(きたの・たけし)
1947年1月18日生まれ。お笑いタレント、司会者、映画監督、俳優。1980年代初頭に起こった漫才ブームの中で社会風刺を題材としたシニカルな笑いでツービートは人気を獲得、『THE MANZAI』『オレたちひょうきん族』(共にフジテレビ)などに出演し番組が大ヒット、一般人、芸能人問わず未だに発言や行動に多大な影響力をもつ人物の一人。 1990年代頃より司会業や映画監督業が中心で、中には20年以上続く番組がある。精力的に執筆活動も行っており、近著に『キャバレー』『北野武第一短篇集 純、文学』『首』などがある。

感想・レビュー・書評

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  • 中学校の入学式、喧嘩で圧倒する生徒がいた、キーちゃん。主人公・茂はそのキーちゃんに気に入られ、他クラスメート二人と共に、4人、仲良くなる。不良からチンピラ、やくざへと成り上がる少年たちの姿を描く。
    モデルとなる人がいて、自伝的なものも含まれるかな。喧嘩、やられたらやり返す、暴力の嵐、悪いことばかりなんだけれど、青春の爽やかさもあり。『アウトレイジ』ほど過激さはない、懐かしき日、思い出のお話かな。

  • 『不良』
    中学でキーちゃんに気に入られた茂は、カツアゲに精を出す不良になった。キーちゃんはヤクザになり、茂たちもヤクザになる。
    上納金稼ぎにクスリを打ったり、賭場を荒らして、どうしようもない人生を送り、キーちゃんはクスリでおかしくなってしまった。茂は不良友達の焼き鳥屋でくすぶっている。

    『3-4X7月』
    頭にデッドボールを受けた高校球児は次の打席にホームランを打った。その次の試合もホームランで連続サヨナラ勝ち。次の試合は負けたものの、ドラフト1位指名確実のピッチャーからホームランをまたまた打った。
    スカウトにも注目され、スポーツ新聞も取材にやってくる。とうとうドラフト3位で指名され、胴上げされたときに頭を打つと、すべてはデッドボールの衝撃で見た夢だったとわかる。

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    『不良』はどうしようもない人生を歩んだとしても人はなかなか死なない、みたいな話だった。魚屋のお父さんがかわいそう。
    『3-4X7月』はよくある夢オチだけど、とても面白かった。『世にも奇妙な物語』感がある。

  • 途中でやめたので、
    時期を見てまた読み返してみる予定

  • タイトル通り。軽く読めます。

  • 北野武作品の原点な気がしましたね。
    アウトレイジって、ひょっとして、この先にある別の組の話だったりするかもですね(笑)

    1960年代、中学校の入学式で出会った4人。この出会いが一生を決めてしまった。放課後は北千住、浅草界隈でカツアゲ、喧嘩に明け暮れ、馴染みの喫茶店で珈琲や酒、たばこ三昧。。。この生活がいつまでも続く訳はなく、成長とともに岐路にたち、それぞれの道へ……ぐるっと回って腐れ縁ってやつですかね(笑)また、いつものメンバーで生きていくことに。楽しかったのかなぁ~彼の一生は……。

  • 私が武さんの本を初めて読んだのは18の時です。
    そのとき読んだのは「全思考」でした。活字なんて大の苦手だったはずの自分が、使命感にも近い焦燥に駆られて夢中になって文字を追っていました。

    自我も芽生えたてで、男としての自覚を持ち出したばかりの裸の自分にとって、武さんの任侠哲学は精神の土台に据えるには十分な魅力がありました。

    それから今に至るまで、折を見ては著書を漁ったり、いわゆる北野映画を観たりしています。

    本書を手に取ったきっかけは、武さんの約6年ぶりの新作「首」が公開されたことです。本作は武さんが2019年に刊行した同名小説が原作で、「戦国時代に織田信長の跡目を狙って武将たちがさまざまな策謀を繰り広げる一大エンタテインメント」と紹介されています。評判は相変わらず良いのにも関わらず観客動員も少なく公開期間も短いというのが、武さんの気取りない性格を象徴しているような気がします。

    私の言葉遣いから伝聞の色が拭えないのは、その通り、観ていないからです笑。

    興味はあったのですが、そもそも映画館に行く習慣がなく機会を逃しました。(2時間座席に拘束されることですら大儀に感じるようになってしまった自分は現代人の象徴のような気がします。)

    その代わりと言っては何ですが、比較的最近の著作であった本書に手を伸ばしたというわけです。

    本書のあらましを簡単に書くと、ごく普通の家庭で育った少年「茂」が、中学の入学式でヤクザの家庭で育った「キーちゃん」に出会うことで、次第にその道に魅せられていくという話です。

    武さんはよく「ヤクザ」の世界を作中に描きます。生と死が常に隣り合わせにある任侠世界の潔さが、血の赤ともに良く映えます。本書も例外ではありません。
    「キーちゃん」に侠気の美しさを見た「茂」がその自分の審美眼を疑わず、ヤクザ道を歩む運命に従う様を見ていると、こんな生き方ができたらかっこいいだろうなと空想してしまいます。一方、将来を投げ打ってまで任侠道に忠義を誓うバカはいないだろうとも思います。実際問題、「茂」は「キーちゃん」とは違い、順当にいけば何の不自由ない暮らしが保障されていたわけですから。

    「茂」は武さんに似ています。武さんは、本書の発売記念インタビューの中で、「キーちゃん」にはモデルとなる人がいたと言っています。それを見て憧れた武さんはまさに「茂」で、だから「茂」は作中でキーちゃんの生き様を疑わなかったのだろうなと思います。

    自分がその人のかっこよさを決して疑わなかったように、そして今ある自分を疑わないために。

    ---- 追伸----
    最近ワンピースにハマっています。
    ルフィーはアニメ界随一の侠客です。
    大好きです。

  • 後半難しかった、人間関係が

  • ふむ

  • けっこうエグい読み物最後までたどり着くのか不安でした。

  • 北野君、巧いじゃない~足立区のマンモス中学校の入学式当日に喧嘩していたのがキーちゃんだった。席が後ろの僕は当然のように子分になり、タバコを吸い、酒を飲み、カツアゲをする日々。キーちゃんは、中学卒業を待たずに、組長をしている兄貴の子分になり、佐々木は父親の魚屋を手伝い、父親が癌で死んだ僕は都立高校に入ったが、朝と夕に魚屋のアルバイトをした。佐々木の親父の具合が悪くて、仕入れができない朝、無免許でトラックを運転した佐々木は通行人をはね、退学処分を受けた僕は少年院から帰ってきたキーちゃんの子分となって、やくざ稼業に明け暮れることになる。北千住が大きな組に飲み込まれ、更に関西から来た広域暴力団に飲み込まれ、抗争に巻き込まれ、自分らも薬中になって、元の不良に逆戻り、キーちゃんは鉄橋から飛び降りて溺れ死んだ~短編の3-4X7月も面白かったね

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著者プロフィール

ビートたけし。1947年、東京都足立区生まれ。72年ツービート結成。89年『その男、凶暴につき』で映画監督デビュー。97年『HANA-BI』でベネチア国際映画祭金獅子賞を受賞。著書多数。

「2020年 『浅草迄』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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