- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087717679
作品紹介・あらすじ
変な予感がするんだ。
扉の向こうで、何か恐ろしいものが、僕を待っている気がして――。
目を覚ましたら、なぜか無人の遊園地にいた。園内には僕をいじめた奴の死体が転がっている。ここは死後の世界なのだろうか? そこへナイフを持ったピエロが現れ……(「潮風吹いて、ゴンドラ揺れる」)。
僕らはこの見張り塔から敵を撃つ。戦争が終わるまで。しかし、人員は減らされ、任務は過酷なものになっていく。そしてある日、味方の民間人への狙撃命令が下され……(「見張り塔」)
など全7編を収録。
現代日本、近未来、異世界――様々な舞台で描かれる圧倒的絶望。
この物語に、救いの「カミサマ」はいるのか。
見たくない、しかし目をそらせない、人間の本性をあぶり出すダークな短編集。
【プロフィール】
深緑野分(ふかみどり・のわき)
1983年神奈川県生まれ。2010年、「オーブランの少女」が第7回ミステリーズ!新人賞佳作に入選。13年、入選作を表題作とした短編集でデビュー。15年刊行の長編『戦場のコックたち』で第154回直木賞候補、16年本屋大賞ノミネート、第18回大藪春彦賞候補。18年刊行の『ベルリンは晴れているか』で第9回Twitter文学賞国内編第1位、19年本屋大賞ノミネート、第160回直木賞候補、第21回大藪春彦賞候補。19年刊行の『この本を盗む者は』で、21年本屋大賞ノミネート、「キノベス!2021」第3位となった。
感想・レビュー・書評
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ちょっと感動の涙を流したり(宇宙兄弟)、口から砂糖が溢れ出る経験をしたり(3月のライオン)青い春に心を打たれ、図書館で借りたけどどうしても手元に欲しくて購入したり(風が強く吹いている)作品が続いたので、心が癒され過ぎまして。
トラウマになるような本を読みたいなぁと思って手に取ってみました。
初・深緑野分さんの作品でした。
以下、ネタバレを含むかも知れません。わかりませんが…。
7つの短編からなる物語で、時代背景や語られる国も文体もバラバラでアンソロのような印象を受けましたが、どれもそれぞれ色の違う絶望。
読んでいて、目を背けたくなるような表現はないと思いますが、読後のなんとも言えない不快感。気持ちが何となく不安、不穏になるような…。気持ちが悪いとか、胸糞が悪いとはまた違う。
この物語の先に行き着くところは…というざわざわ感を最終的に残していきました。
あまり読まないタイプの内容なので、ちゃんと世界観を理解しきれていないかも知れませんが。
一つ一つのお話が短編に止まらない、確立された世界があって。違和感と不安をもう少し詳しく読んでみたい気持ちと、これ以上は入り込まない方がいいのかも…という気持ちになりました。
トラウマになる程の衝撃的な内容ではありませんでしたが、なんだろう…すっごく不安な気持ちになる!
レビュで書かれている方がいますが、そう、世にも奇妙な物語的な感じ!(語彙力…)
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現代日本の話から近未来、異世界で起きる奇妙な話を集めた短篇集。同居人が実家に帰る途中で消えた「伊藤が消えた」は話の展開が読めるが、舞台が現実とは離れて行くに従って奇妙の風味が強くなり薄気味の悪い読後感が残る。戦争中の監視塔での話「見張り塔」や異世界の中で異世界に迷い込む「饑奇譚」での風の動きが感じられる世界の描き方でそういえば「オーブランの少女」もそうだったなと思いだした。海に侵食された世界で音楽を求める少年の小さな冒険「新しい音楽、海賊ラジオ」が世界観と未来を感じる締め方が好み。兄が魅入られたのは神様か魔か「朔日晦日」の雰囲気も好きだ。
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深緑野分『カミサマはそういない』を杉江松恋が読む「人生のほろ苦さを色とりどりの紙に包んで」 | レビュー | Book Bang -ブックバ...深緑野分『カミサマはそういない』を杉江松恋が読む「人生のほろ苦さを色とりどりの紙に包んで」 | レビュー | Book Bang -ブックバン-
https://www.bookbang.jp/review/article/7041992021/09/26 -
【今月の一冊】深緑野分の紡ぐ物語たちに震撼する傑作「カミサマはそういない」|@DIME アットダイム
https://dime.jp/gen...【今月の一冊】深緑野分の紡ぐ物語たちに震撼する傑作「カミサマはそういない」|@DIME アットダイム
https://dime.jp/genre/1286098/2022/01/05
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初読み作家さん。
色々な世界観でこれだけの短編が書けるのがすごい。明るい話ではないけれど、大人のファンタジー。 -
ダークなお話は苦手だけど、ベルリンは晴れているかの深緑野分作なので、信頼できるとおもい読んでみた。
7つの短編集。それぞれがなんだか知っているような、わかるような気がする世界で魅了された。「見張り塔」が一番印象に残った。
最後の「新しい音楽、海賊ラジオ」が希望を感じられるラストで、読後感は後味が悪くない。と、個人的には感じた。
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どれもなかなかの絶望をもたらしてくれる、なんともいえない後味の7編を収めた短編集。
舞台が現代日本で読みやすくだんだんまさかと思わせてくれるテンポのよくキャッチーな「伊藤が消えた」を先頭に置いて、急にガラッと現代日本ではなく幻想的でアメリカホラーチックな雰囲気を醸し出す「潮風吹いて、ゴンドラ揺れる」が続く構成が、個人的にうまいなぁと思った。
ガラッと世界観変えてきてさあついてこれるかな?みたいな。
いろんな世界観を用意してくれているので、好みの短編が人によって分かれそうなのも面白い。
ちなみに私は「潮風吹いて、〜」と「見張り塔」が好きです。「飢奇譚」もなかなか。
基本的に全部絶望的な終わり方をしているんだけど、最後の「新しい音楽、海賊ラジオ」はある意味異色というか、ディストピアではあるんだけど、最後に相応しくどこか爽やかで希望の見える印象を与えてくれる。
ただ、最後の一文をどう解釈するかで希望があると見做せるか絶望的と見做せるかが分かれそうで…また私はこの一文がどう意味なのかよく分からなかったので、わかる人こっそり教えてください…と思っちゃう。
この最後の一文の意味次第でこのお話の印象変わりそうなんで…
備忘録がてら各話タイトル
・伊藤が消えた
・潮風吹いて、ゴンドラ揺れる
・朔日晦日(ついたちつごもり)
・見張り塔
・ストーカーVS盗撮魔
・飢奇譚
・新しい音楽、海賊ラジオ -
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伊藤が消えた
潮風吹いて、ゴンドラ揺れる
朔日晦日
見張り塔
ストーカーVS盗撮魔
奇奇譚
新しい音楽、海賊ラジオ
深緑野分さんの小説で読んだことがあるのは、
『この本を盗む者は』だけなのでこの本で
2冊目でした。
今回も大筋は荒唐無稽な話。
でも、胃に嫌な感じが残る話ばかりで
個人的にはイヤミスの短編集という感想です。
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【収録作品】伊藤が消えた/潮風吹いて、ゴンドラ揺れる/朔日晦日/見張り塔/ストーカーVS盗撮魔/饑奇譚/新しい音楽、海賊ラジオ
救いのない、絶望を描いたディストピア小説。 -
意外にも初読である深緑野分さんの短編集。
近未来や異世界が舞台となっているダークファンタジーやホラーで、不思議な世界に巻き込まれてしまった主人公を追うようにその雰囲気を存分に楽しめました。この読後感は世にも奇妙な物語っぽさも感じさせる。
次はずっと気になり続けてる「戦場のコックたち」読もう。