- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087717679
感想・レビュー・書評
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自分が初めて読んだ深緑野分さんの作品が今作のようなダークでゾッとする話だったので、お帰りなさいという気持ちで読みました。戦場のコックたちやベルリンは晴れているか的な話を期待しているとあれ?と思うかもしれないけど、こういうダークな作品ももっと読みたい。全話世にも奇妙な物語でドラマ化されてもおかしくない。
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Amazonの紹介より
現代日本、近未来、異世界――様々な舞台で描かれる圧倒的絶望。
この物語に、救いの「カミサマ」はいるのか。
見たくない、しかし目をそらせない、人間の本性をあぶり出すダークな短編集。
現実世界から異世界まで、時にコミカルに、時に恐怖を掻き立てたりと、独特な世界観で、あらゆる「絶望」を味わえました。
全7話からなる短編集です。
初めの方では、現代を舞台にしているので、物語の世界に入りやすく、恐怖がダイレクトに伝わってきます。
後半になると、異世界や近未来といった設定になっていくので、なかなか世界観を掴みにくいなという印象でした。
その分、独特な世界観で、世にも奇妙な物語を読んでいるような感覚もありました。
個人的に印象深かったのは、「伊藤が消えた」「見張り塔」「新しい音楽、海賊ラジオ」でした。
第1話「伊藤が消えた」では、ルームシェアをしている三人をメインにしたミステリーです。ある日、実家に帰ろうとした一人が帰ってきていないと他の二人に父親が電話で伝えます。
家を出たはずなのに行方不明となった一人。徐々に会話から見えてくる真相が面白く、第1話目として良いスタートを切っているなと思いました。
演劇を見ているかのように段々と「形」になっていく様、三人の友情が壊れていく様、その先の結末が絶望ながらも楽しめました。
第4話「見張り塔」では、戦争を舞台にした物語です。見張り塔で敵を見張り、敵と戦っている少年兵12名。隊長の命令に従いながら、日々敵を撃っていましたが、そこにはとんでもない秘密がありました。
真実がわかった時の絶望感や少年兵達の心情に言葉も出ないくらい、嫌な気持ちになりました。
作品の中では、一番良かったかなと思いました。
最終話「新しい音楽、海賊ラジオ」では、陸がほぼ海に覆われてしまった近未来?を舞台にした物語です。二人の若者が「音楽」を求めて旅する物語でしたが、それまでの物語とはうってかわって、爽快さが加わるので、最終話に相応しい読後感がありました。
絶望の中に一筋の光が射したような希望のようなものを感じ、心地よい気持ちにもなりました。
その他の話でも色々な「絶望」を体験でき、ちょっとわかりにくい世界観もありましたが、短編集ながらもゾワリとさせてくれました。
深緑ワールドを存分に楽しめた作品でした。 -
どれもこれも、一瞬で世界に引きずり込まれ、もっと読んでいたいと思いました。戦争ミステリー作家のイメージがあったので、こんなバラエティーある短編も書く作家だとわかって嬉しい驚きです。どの作品もズシンとダーク。けれど最後の「新しい音楽、海賊ラジオ」を読んで「カミサマは滅多にいない」けど、「カミサマは絶対にいない」わけではないと思わせてもらえました。こんな時代にこそ読んでよかったラスト。素晴らしい物語でした。
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ショートショートストリー的な短編集、最後の一行のどんでん返しや戦争の無情さSF的な近未来的なお話読み手の心をつかんで離さないお話ばかりダークゾーンの世界へあなたもぜひ入ってください。
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深緑野分『カミサマはそういない』を杉江松恋が読む「人生のほろ苦さを色とりどりの紙に包んで」 | レビュー | Book Bang -ブックバ...深緑野分『カミサマはそういない』を杉江松恋が読む「人生のほろ苦さを色とりどりの紙に包んで」 | レビュー | Book Bang -ブックバン-
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【今月の一冊】深緑野分の紡ぐ物語たちに震撼する傑作「カミサマはそういない」|@DIME アットダイム
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