新バイブル・ストーリーズ

  • 集英社
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本棚登録 : 89
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087734614

感想・レビュー・書評

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  • 人はなぜ、争うのか
    人はなぜ、排除したがるのか
    人はなぜ、理解しあえないのか

    人は一人では生きていけないのに

    求めているのに、理解しあえず
    求めているのに、争いは絶えずうまれる
    求めているのに、排除せずにはいられない

    故に、古の人も、現代人も、孤独だ

    「バベルの塔」、「よきサマリア人」、「サムソンとデリラ」、「スザンナ」
    が心に残った。
    聖書には、人間の苦悩が網羅されている。
    「神と私」の話ではない。
    「70億分の1 人間としてのわたし」をみつめるヒントが詰まっている。

  • 著者は聖書ができるもっと前、民衆の伝承までおもいをはせ、聖書の物語を語りなおしている。その編集意図は、聖書の魅力的な人物の内なる動機をさぐることと、ぼくたちはどうやったら異なる人と、やさしく、敬意をもってつきあえるのかさぐること。ひとりひとりに向けた物語。それは宗教が宗教になるときのはたらき。

  • 聖書をもとにした、聖書で語られているかのようなお話。
    2016/5/17

  • 聖書の物語を、聖書が誕生する以前に戻って語り直したもの。だから神様は出てこない。人間の物語になっている。「アダムとイブ」は蛇の視点で語られていたりする。で、気づく。何千年も前の人も、現代に生きるぼくらも何も変わらない。自分とは違う人に寛容になれない。認められない。そして争う。
    「バベルの塔」「サムソンとデリラ」はお気に入りだ。

  • 聖書の元となった伝承を分かりやすく書いたもののようだ。ノアの箱舟とか、何となく知っている話もあり、残虐な王様とかいかにも昔話にありそうな感じ。上に立つものは権力のとりこになり、民衆からは嫌われるというのは昔からあることなのだ。そういう意味じゃ人間は成長しないってことか。

  • 紀元前、ヨーロッパでは様々な民話が語り継がれていた。。
    これらがキリスト教の聖書へと変化していった。
    だったら、聖書をもとに民話を作り直してみたい・・。
    そんな狙いの本みたいです。

    正直、聖書なんてほとんど読んだことないし、宗教に無縁の生活なので
    訳者がこの人じゃなかったら読まなかったかも。

    でも、ひとつひとつの話になんともいえない力があって、魅力がある。
    ひとつの実験といってもいいかもしれないです。

  • 「善きサマリア人」と聞いたら、「え、聖おにいさんでイエスがそのTシャツ着てた…表紙で…!」と思う私でも読めました。
    柴田さんの訳だとなんでも安心して読める。

    学生時代に、「あなたは聖書をどこまで信じているの?イエスがいたことは?復活したことは?海が割れたことは?アダムとイブは?」みたいなことを聞かれて(勧誘で)、どこまで信じているんだろうとその時考えたんだけど、やっぱよくわからなくて。
    うーん、でも、私たちの物語、人々の物語、なんだね、聖書って。名前がどうあれ、そういう人はいた/いて欲しかった/必要とされてきた/だから語られた のかなぁ、と。

  • さちこに借りっぱなし!

    「ノアの箱舟」「バベルの塔」「アダムとイブ」など
    どっかで聞いたことあるな~という
    新・旧約聖書を翻案した叙事詩風の短編集。


    アマゾンのレビューでは高い評価の本書。
    確かに良書なのですが、
    面白くないわけじゃないけど、
    読むのに1ヶ月もかかってしまいました。

    最初の方は面白いんだけど、
    「で?」と言ってしまいそうな物語もあったり。
    感受性の枯渇と言えばそれまでだけど、
    一遍一遍に人間の真髄が描かれていて、
    考えさせられる物語なので、
    忙しいときには不向きだったみたい。

    柴田元幸さんの訳は読みやすいうえに、
    詩的で気に入りました。

  • 聖書のオマージュ的な短編集です。キリスト教に関心や接点がなくても十分楽しめます。
    バベルの塔なんて、9.11を彷彿させるような・・・。

    アダムとイブの楽園を、蛇の視点から語ったり。

    ロジャー・パルバースは、宮沢賢治の英訳なんかもしてます。論文なんかもイケてます。

    社会とか、人間の本質みたいなものを、角度を変えて見せてくれる。童話としても読めるし、寓話としても読める。
    文体も平易だし、すごく読みやすい。
    ただ、値段が高いです。

    基本的にキリスト教的な考えで構成されているけれど、キリスト教を知らない人なら、それに気づかないんじゃないかっていうぐらい、うまく現実世界に取り込んでます。

    Excellent!!!

  • 聖書の元となった話を、語りなおす

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著者プロフィール

作家、翻訳家、演出家、映画監督。東京工業大学名誉教授。1944 年、ニューヨーク生まれ。カリフォルニア大学ロサンゼルス校 (UCLA) を卒業後、65 年ハーバード大学大学院に入学。ロシア地域研究所で修士号を取得。ワルシャワ大学とパリ大学に留学後、67 年に初来日。長編小説や戯曲、短編集、随筆集など多くの著作を出版、上演している。76 年オーストラリア国籍取得。『英語で読む銀河鉄道の夜』(ちくま文庫)など宮沢賢治作品の英訳のほか、映画『戦場のメリークリスマス』で大島渚の助監督を務めたことでも有名。

「2023年 『『風の又三郎』を英語で読む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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