赤毛のアン

  • 集英社
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (536ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087740073

作品紹介・あらすじ

「ロミオとジュリエット」の台詞をアンがしゃべる。「不思議の国のアリス」や「マザーグース」が引用される。聖書も、そのほかのシェイクスピア作品も。原作に隠された夢見る少女・アンの物語の真実を明かして、スリリングな読むよろこびに誘う、決定訳。巻末に豊富な訳者ノートを収載。

感想・レビュー・書評

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  • 4月からBSプレミアムでやっている「アンという名の少女」をみて、あ、おもしろいな、と思い原作を”やっと”読んでみた。なぜか今まで食指がうごかなかった「赤毛のアン」。今回読んでみて、こんなにおもしろい小説だったのか、と読めて幸せだ。これはTVのアン、親友のダイアナ、ギルバート、この3人の役者さんがとってもいいせいもある。ギルバート、かっこいいわー。原作の雰囲気ととても合っている。そして訳は松本侑子さんので読んだが、訳文もよかった。

    アンが11歳半でプリンスエドワード島のカスバート兄妹にひきとられてから、16歳までの、アンの成長物語だ。アンはとにかく空想がちで、アンのゆくところ小事件あり、という感じだが、それも幼いころのみなしごとしての境遇を乗り切るための自衛手段だったんだんだな、と思う。ここまでおしゃべりが続く人も現実にはいないと思うが、このアンの空想のおしゃべりがとても楽しいのだ。

    そして今回読めたのは、きっと自分が、マリラ・カスバートの立場で読んでいるせいなのかな、と思う。小学生のころ読んだらきっと違った感覚だろう。四角四面のマリラは、こんなヘンテコな女の子を自分が好きになってしまうなんて、と思うが、アンのおしゃべりにおもわず笑いがこみあげ、しかもそれをきずかれないようにした、などという表現が何度も出て来て、そこがよかった。マリラの心の変化に思わずほほえんでしまう。

    それに「赤毛のアン」は童話ではなく、大人の小説なのだ、と検索などでも出てくるが、マリラたちは最初からアンに教育は受けさせるつもりで、女性だって自活の手段は持ってないと、というマリラの言葉や、学校でも生徒の自主性を重んじる先生のもとでは生徒たちが伸びた、などなかなかに社会をよく見た描写がある。

    設定年代が19世紀後半、当時の女性の服が袖がふくらんだものだ、とか、既製服は存在せずまずは生地を買って仕立てを頼む、などちょっと「大草原の小さな家」を彷彿させる。

    ドラマは原作にはないエピソードなどもあったりして、大胆な脚色だが、基本の空気は原作を損なっていない。


    1908発表
    1993.4.25第1刷 1993.10.12第6刷 図書館

  • 今まで手をつけてなかったアンシリーズ
    去年からシェイクスピアに手を出していて派生的に
    「赤毛のアンに隠されたシェイクスピア」を読んだので
    松本さん訳でトライ

    アンはとてもとてもおしゃべりで夢見がちというイメージしか
    持ってなかったけどとても努力家で働き者で勉強が大好き!
    周囲の人たちも数名を除いて素敵な人ばかりでこれはファンが
    たくさんいるのも納得!と思わずにはいられない作品…

    アンや他の登場人物がなにかを語ると教訓や名言があれよあれよと
    出てくるのであまり読むスピードが上げられなかった

    特にアンとダイアナの関係は自分にも似た友人が以前はいたので
    引きこまれた、「腹心の友」は同性じゃないとなかなか無理で
    (夫は「人生の同志」だけど「腹心」ではないような気がする)
    私と友人は最終的にアンとダイアナのようにはなれなかった
    現実は物語のようには行かないな、と思いつつ読了

    でも後書きを読むと作者モンゴメリの最後は
    あまり幸福なものではないようで少しばかりショック

  • 再読・・・なんか久しぶりに読んでしまいました。
    松本さんの訳は丁寧で、新鮮です。
    こんなに多くの文学作品からの引用があることも、
    アンの心情と絡めるとなかなか興味深く読めますね。

  • 何回読んでも笑えるし泣ける。
    本の装丁も素敵!

  • 鉄板でした。 大変面白く、幸せにしてくれること間違い無しです。 

  •  古典です。アンは私が外国の児童文学の主人公では2番目に好きな女の子です(1番はあしながおじさんのジュディ)
     昔から大好きで読み返している本ですが、大人になってから松本侑子訳を読んで、更に新たな面白さを知りました。装丁もとても綺麗です
     マシューがダイアナの名前を「不信仰だ」と言った理由は、名前の由来がギリシア神話から来ているから(キリスト教にとっては異教)というエピソード等。たくさんの隠された話は、今までの訳では省かれていたものでした
     マシューがアンに「1ダースの男の子よりも、アンがいてくれたほうが良いよ」と語りかけるシーンでは、いつも涙が出てきます

     女の子のバイブルとして取り上げられることが多い本ですが、多くの女の子が憧れるのはダイアナのように刺繍をしてパイを焼き家庭に治まる女の子であり、進学して職業婦人になるアンではないというところにも、大人になってから気がつきました
     そしてこのアンは作者のモンゴメリ自身でもあります。女の子の夢と希望に満ち溢れた本ですが、モンゴメリが晩年は夢見る少女アンを書くことに疲れていたこと、職業婦人として働くことに疲れて自殺したことは意外と知られていません

     子供の頃に読んだときは田舎の慎ましい生活や風俗、文化、ファッションに憧れていましたが、大人になってから読むと逆境にもめげず、明るく人生を切り開いていくアンに引きつけられていることを感じます

  • ずっと以前買った本。久しぶりに出して読んだ。買ったときは途中で挫折した。訳者は原文に忠実だといってるし訳注もたくさんあるのだけどわたしには「わたしのアン」ではなくお隣の・・・たぶん名前の終わりにeが付かないアン・シャーリーみたいだった。

  • 花岡さんの訳の文庫も持っていますが、ハードカバーで欲しかったので、松岡さんの訳のこの本も集めています。
    「赤毛のアン」シリーズは、私のバイブルです。

  • 私を「挿絵のない本」のおもしろさに目覚めさせた本。小学生の私にはほとんど初めての長さだったけれど、アンやダイアナの姿や、麦わらのにおいや、森の木陰や花畑を思い浮かべて、とても楽しかったのを覚えている。あれ以来読み返したことはないけれど、もう一度読むならこの版で読みたい。

  • 花岡訳、掛川訳、ほかにも読んだけど、この松本訳が一番すき。
    注釈が丁寧!読むと一層アンに近づける気がする。あと装丁がキレイ。
    何度読んでもマシューの死の場面には涙。

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著者プロフィール

1874年、カナダ、プリンス・エドワード島に生まれる。幼い時に母と死別、祖父母に育てられ教師になる。『赤毛のアン』シリーズのほか、小説、短篇集を残し、世界中で多くの読者の心を捉えた。

「2022年 『赤毛のアン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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