夢の中の魚

著者 :
  • 集英社
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感想 : 35
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087745023

感想・レビュー・書評

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  • 再読。
    鉱物シリーズの洪を主人公にしたスピンオフ。

    この本を高校生の時に読んで、進路が決まった位、影響を受けた本。

    東京姫のいやらしさ(色々な意味で)が遺憾なく発揮されていて素晴らしい。初めて読んだときも思ったけれど、外から見る葉山さんが優秀だ。

  • 韓国の情報屋である「東京姫」と呼ばれる洪。普通なら特殊性癖とマイナス視されるところを逆手にとって動く彼の、相棒として選ばれたのは在日三世の厭世的なパクだった。
    洪の指示を理由も聞かずただこなすパクだが、彼も何も考えない木偶ではない。
    東京姫と本当の相棒となるまでの日々。ほぼ恋愛にも似た蜜月の駆け引きを、国際政治に置き換えて描く作者の力量には敬服します。笑

  • 「魚」というのは、比喩なのか?文字通りとらえて良いのか、悩みます。パクさんの無関心さが良いな~。

  • 日韓漁業協定にかかわる情報戦。鉱物シリーズ派生の、情報のためならなんでもする東京姫とその相棒のお話。マニアックすぎてびっくりする面白さ。タイトルもいいね。

  • 洪の中身が垣間見得た一冊。
    本編ではグズグズモヤモヤしてる葉山がここでは出来る男だった。
    つか赤いダッフルは誰の趣味なのか気になって仕方ないです。
    三十路過ぎた男が赤いダッフル…けしからん、もっとやれ。

  •  正しく、日本で生活する韓国人スパイである主人公は、目的のために手段を選ばない男で、そして目的に対して情熱を抱いている。日夜犠牲を払いながらスパイ活動を行い、しかし人生を楽しんでのけようとする姿勢が清々しい。軽妙な語り口と微細な日常から情報を得る手腕が見事で、連作短編集であるのと相まって、ついついページを捲る手が軽くなる。また、日本は平和ボケしてるんだな……、と感じてしまう、表沙汰にはできない秘密裏の軍事行動もちらほら登場する。現在の日本の平和の影で払われているだろう代償を思うと背筋が震える。
     そして、無骨で無口な相棒とのやりとりがまた楽しい。お互いに足りないところを補い合い、相棒とならどこまでも行けると確信する姿が眩しい。

  • 鉱物シリーズを読んでしまったので、スピンオフの夢の中の魚を読んでみました。本編でちらちら出てた供と相棒のお話。底意地の悪い供とそれに流されないパクとのやり取りの中に、二人の微妙な信頼関係の上になりたつかけひきが垣間見えて面白かったです。本編も早く続きが読みたいなあ。

  • 鉱物シリーズ外伝。

  • 洪は情報のためなら何だって利用し裏切り捨てる人なんだろうけど、パクのことも手駒のひとつとして使う必要があるなら容赦も躊躇いもなく切り捨てるんだろうけど、それでも広大な東京という海を、ともに泳ぐものを必要とする、その弱さとずるさが途方もなく魅力的な人です。
    しかも彼のきらびやかなヒレに掴まって泳ぐ者でなく、自ら淀んで汚れたヘドロを泳ごうとする力強く美しいヒレをもつ者でないと並び立つことを認めない。
    そして、彼に選ばれたパクが洪を選ぶことを待つということは、けっきょくパクの意志ひとつに最後はゆだねているんですよね。
    自ら網を織り、餌を撒きながら、決して自らが動かない。
    そのぞくぞくするようなゲームに、淡々と寄り添い続けるパクが、これから洪とともにどうやって変わっていくのかも本当に興味深いと思います。

  • ちょこっと出てくる葉山が大変おいしい。

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著者プロフィール

大学時代は安全保障問題を専攻。大学卒業後、防衛庁に就職し、調査専門職として勤務。退職後、フリーライターを経て1999年に北朝鮮問題を題材とした『プラチナ・ビーズ』で作家デビュー。2001年『スリー・アゲーツ』で第3回大藪春彦賞を受賞。

「2018年 『焦土の鷲 イエロー・イーグル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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