ジャージの二人

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 493
感想 : 126
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087746778

感想・レビュー・書評

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  • 映画の原作なので読んでみました。特に大きな動きのない小説・・・。

  • 表題作と続編「ジャージの三人」の二編を収録。群馬県の山中、浅間山近くの標高1100メートルのところにあるレトロな山小屋が舞台である。祖父母が戦後に購入し、増改築を繰り返してきた古い山小屋だ。「ジャージの二人」は、その山小屋へ後片付けのために向かう父親に同行する僕が主人公。どこかやるせない、男二人の殺風景な山小屋暮らしが描かれる。「ジャージの三人」は一年後の同じ山小屋での暮らし。今回は別れる予定の妻を同行して、父との三人旅だ。同じような暮らしが続くのかと思いきや、一泊だけですぐに帰ってしまう妻。その後で、「僕」が見つける妻の残していったブランド物ジャージを部屋で見つける様が印象的。前作の「ジャージの二人」があるからこそ生きる話で、こちらの方が僕の心情と男の限りないやるせなさを吐露していて好きだ。発表年から考えると、その後の作品「パラレル」(2004年6月文藝春秋)へとつながる一連の私小説的風景とも読みとれる。

  • 出口の見えない状況で、現状を打開しようとせず決断を先送りしたまま山荘で時間稼ぎのような、現実逃避のような暮らしをする息子と父親。何も起こらないし、起こさない。道は一つしかないのに、選ぶ勇気がないのか見てみぬふりで自分をごまかすような。でも、きっとそれが現実なんだと思う。

  • H22.8.4

    別荘って、いろいろ大変なんだよね。
    お布団も畳も湿気てカビ臭くなるし、食べるモノだって・・・

    別荘を建てるお金で、何回でもホテルに宿泊した方が絶対にいい!!
    と主婦は特にそう思います。
    浮気に使う人も多そうだしね~

  • なんか、ゆる〜い感じで読める。特に何もしてないし、何も起こってない。悩みはあれど、とっても平和な世界。

  • 普段の生活を離れ、だらだらとしている、いい歳した男二人、というのがなんともいえない脱力感をさそいます。しかし、心のすみには普段の生活が離れずつきまとっているようで、もやもやもしたり、とただの脱力系ですまされない作品でした。

  • 堺雅人の映画をきっかけに読んだ。

  • あなたが自分でいいと思うならそれでいいです、というような父と息子の話。そういや、「和」と書いて「かのう」と読む松本の定食屋は安くてボリューム満点だった。

  • 読んでいる間はとても穏やかに時が流れていくような感じで心地よく読むことが出来ました。避暑地で過ごす何てことない休日が私には新鮮で帰ることが決まるととても寂しくなりました。私も家族で別荘に遊びに行きたい。そう思わずにはいられません。別荘なんてないんだけどさ。ログハウスとかを借りて何泊かするのもいいかなーなんて過ぎたばかりの夏を思い、来年の夏の予定を考えてみたり。何もないことから得るものもあるんだろうな。


    この続編と言われているパラレルももう手元にあります。一冊別の本を読んだらまたこの穏やかな世界へ行ってみるつもりです。

著者プロフィール

小説家、俳人。「猛スピードで母は」で芥川賞(文春文庫)、『夕子ちゃんの近道』(講談社文庫)で大江健三郎賞、『三の隣は五号室』(中央公論新社)で谷崎潤一郎賞を受賞。近作に『ルーティーンズ』(講談社)。句集に『新装版・ 春のお辞儀』(書肆侃侃房)。その他の著作に『俳句は入門できる』(朝日新書)、『フキンシンちゃん』(エデンコミックス)など。
自選一句「素麺や磔のウルトラセブン」

「2021年 『東京マッハ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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