お縫い子テルミー

著者 :
  • 集英社
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感想 : 62
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  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087746884

感想・レビュー・書評

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  • 2編の物語が収められています。

    表題作「お縫い子テルミー」は流しの仕立て屋をしているテルミーが主人公です。
    幼い頃から祖母に仕立ての技術を教えこまれた彼女は、祖母・母・自分の女3人で居候先を転々としては仕事をしてきた、という変わった生い立ちをもっています。
    そんな彼女が生まれ育った島を離れ、東京にやってきて、はじめて恋をした。
    せりあがってくるような切なさに、読みながら涙が滲んできました。

    「ABARE・DAICO」は小学5年生の小松少年のひと夏の物語。
    小松少年の一人称で進む物語は、少年の憧れや優しさが素直に描かれていて、かわいらしかったです。
    いつのまにか自分も小松少年になったような気持ちになっていて、彼が大きな不安に押しつぶされそうなとき、私まで息が詰まったように苦しくて、顔をしかめながら読んでいたのでした。

    どちらの物語も清々しく、前向きな気持ちになることができるラストシーンでした。
    テルミーも、小松少年も、これからどんな大人になるのかなぁ…と少し楽しみになりながら読了。

  • 栗田さんの本三冊目。今まで読んだ本の中で一番現実的な話だった。「お縫い子テルミー」と「ABARE・DAICO」の二作。
    「お縫い子テルミー」は、学校にも行かず他人の家に住まわせてもらっていた15歳のお縫い子が恋をする話。変わった環境の下育ったにもかかわらず、頭が良く機転が利き、なによりも強い少女の姿に好感が持てた。胃が気持ち悪くなる程の恋がびんびん伝わってきた。
    「ABARE・DAICO」は小学5年生の男の子の話。こちらもしっかりしていて強い子の話。学生の頃の友情は大きな力を持つなぁ。

  • 表題作も面白かったけど、『ABARE・DAICO』の方が好きかも。
    かっこよくて頭のいい友人を追い越したくて、友人のやったことのないことを成し遂げようとする主人公。それは例えば知り合い全員の名前を覚えるとか、国語辞典を全て読むとかささいなことだけど、そうやって何かを成し遂げようとする主人公の姿がまぶしくていいなと思った。

  • 「彼女のことを、ある意味で仲間だと感じた。[...]人生あきらめが肝心とみずからに言い聞かせているところがだ。だめだとわかった瞬間からすべてが始まる。でもうまく始められてなくて困っている。彼女も、私も。年齢は関係ない」(56ページ)

    住み込みでお縫い子をしている主人公。
    必死に生き抜く彼女と、彼女を取り巻く同様に必死な人たち。
    ゼロから這い上がろうと、逞しく道を切り開く彼女の物語り。

  • 流しの仕立て屋をはじめて三ヶ月がたつ。

  • 著者のことはしらなくて
    詳細忘れましたが読みもので「お縫い子テルミー」のことがでていて、読みたくなり図書館で
    借りました。

    ちょっと暗い気持ちになったり
    ドキドキしたり、前向きな気持ちに
    させられたり。

    小説読んでもあとから振り返ったら
    話の内容を忘れてることが
    結構あるんですが、
    2つとも印象に残るお話で
    個人的にはかなり良かったです。

  • 2015/05/25 読了
    お縫い子テルミーだけ読んだ。

  • 2話収録。
    流しのお縫い子のはなしだったが、特殊な環境の主人公にする意味が見いだせなかった。
    あるようでない不思議世界を描きたいんだろうとは分かるんだけど、小川洋子さんのようにそこに不自然さを感じさせないほどの力が無いのかも。
    小学生を描いた2編めのほうが清々しくてよかった。

  • いいですね。
    無駄な説明のない簡素な文体で、スルッと読めました。
    何か秀でる才能や特技があるって、生きていくうえでとても重要な事ですね。お勉強なんかどうでもいいんですよ、ホントに。
    手に職があって、“好き過ぎて吐き気がする”ほど人を愛せるなんて、最高じゃない?

    もう一編のABARE・DAICOも面白かったです。

  • この人の本、初めて読みました。
    知らない人の本読んで久々にこれはって思った。
    おもしろかった。
    お縫い子テルミー、ナイスな名前やなー。
    ゆいたくなっちゃう。お縫い子テルミー。

    もう一個の話も良かった。
    成長しようとしてる男の子はかわいい。
    好きと思う。

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著者プロフィール

直木賞を受賞した恋愛文学の旗手から、早熟の天才少女作家まで。いま、もっとも切実な恋を描く6人の女性。

「2008年 『コイノカオリ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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